第三十七話 最強な女子会

ティムパークにて




「ワフッ、ワウ!」


「ギギャアァァァァ!!」




遊具を楽しむユンタとルーク。他のティムモンスターとも仲良くしている。待たせてしまった分満足いくまで遊ばせてやろう。


さっき貰った資料を開ける。


智一の言った通り、元々ブラックではなかったらしいが県が調査する三か月前くらいから社内にて変化があったらしい。その対象に父親あいつがいて俺が苦しむ羽目になった。


ただ、パワハラをしていた上司や社長らにも異変があって酷くおびえていたらしい。


「ある人に頼まれた。」それ以外の事は口にしようとはしなかったと。


母親の方も調べてもらったが、どうやら夜逃げしてから一週間後に何者かによって殺されていたらしい。


頭部を弾丸で貫かれていたそうだ。

その年代層に恨みを持つ輩がいたということ?


「資料の方どうも。」


「いいんだよ。それに俺も忘れていたからプラマイゼロだ。」


「サンキュー。」




謎の男が二人に寄ってきた。




「ちょっとよろしいですかな?」




遊覧船を降り、遊園地を出る。




「まだ時間がありますしどうしましょう。」


「近くに動物公園があるからそこに行く?」


「賛成。」


「モフれる?」


「勿論です。」


「ナイス天音。」


「それじゃあ行きましょう!!」




少し離れたサンモールで爆発が起きた。昨夜巫女と淳也が犯人を捕まえたところだ。


そこには暴走した車両魔物モンスターカーが壁に衝突しながら進んでいた。




(様子がおかしい。薬物使用者ってことかな。もし淳也君なら、多分こうするだろうな)




巫女が一番最初に動く。それに続くように他もついていく。




「街壊されたくないし、それに人は多い方がいいでしょう。」


「皆で事件解決です。」


「巫女様の面倒を見る係なので。」


(まったく、しょうがないなぁ。)


「じゃあ行くよ!」




立体駐車場四階




「きゃああああ!」「あぶねっ!」




一般人を巻き込むような危ない運転をしている。所々車や壁、柱にぶつかる。その後ろをパトカーが追いかける。




「ブロロロロロロ!!」


「くっ!」


(くそっ。提供者が昨夜の間に捕まっちまったせいで警備員の目が鋭くなって、薬物購入してるのバレちまった。何やってんだよあいつら。)




立体駐車場三階に来て大暴れしながら下へ下へと降りようとするが行く先で警察官が待ち構えている。


メガホンを持った警察官と横にモヒカンマッチョのハンター二人が待ち構えている。




車両魔物モンスターカーを速やかに降りて同行しなさい。繰り返す、速やかに降り同行しなさい。』




犯人は横へ曲がって隣の駐車場に飛び移ろうとしたがそこも塞がれていた。上からも来たので完全に包囲された。




「どうすりゃあ…ってうおっ!?」




突如、車両魔物モンスターカーの前輪が伸びて人の腕のようになった。




「薬物の使用者は魔物の方だったか。」



車両魔物モンスターカーは止まっている車をはねのけながら道を開き、駐車場の端の方で止まった。




「おい、まさか。」


「飛び降りるつもりか。」




車両魔物モンスターカーは駐車場から飛んだ。




「いやあああああ!!」




犯人は予想もしない行動にかなりビビっている。車両魔物モンスターカーは猫のように着地した。




「くそっ、地上班だけじゃ抑えられないぞ。」




「なんといしても食い止めるぞ!」




警察官たちは銃を取り出し、付与:麻痺、鈍化、睡眠の銃弾を射撃する。


弾丸は目標にぶつかって破裂し妨害させる。




「ブロロロロ...」




しかし、暴走しているため感覚が麻痺して効果が見受けられなかった。


地上班のハンターが攻撃を仕掛ける。そのハンターはこの間淳也たちをいいように見なかった奴だ。




「身体強化!」


「くそが、これ食らってくたばれ!!」




そいつの拳が頭部にヒットした。一番効いているのは中の犯人だと思うけど。


しかし車両魔物モンスターカーは少し怯んだだけでダメージはほとんどなかった。




「くそが。なら入るまでなぶり続けるまでだ。」




そいつは間合いを確認しながら確実にダメージの入れられる魔法と物理攻撃をタイミングよく合わせている。




「ブロロロロン!!」




車両魔物モンスターカーは頭の無い人型に変形して相手に命中率低下と一酸化炭素中毒にする黒汚煙ダストスモークを発動し闇魔法:狂牛角撃タンタロスの準備をする。




「視界を奪ってきたか。雷魔法:雷化戦術ライジングバトラ!」




車両魔物モンスターカーの猛攻に次々とやられていく警察官達。




「おい!生きてるか?」


「なんとかんね。霧払いも効かないみたいだし、なんて密度。」




二人がよそ見している間に上からハリウッド映画みたいに降ってきた。




「ブロロ!!」


「まず!」


「術式:鐘音すずなり




敵が地面に叩きつけられた。さらに周りの煙も下に沈む。




「調節できるようなっておいてよかったよ。」


「そうでなかったら今頃大量殺人犯ですよ。」


「あんたらは...」


「兄さんは私たちに手を貸して。」


「はあっ?なんであんた...」


「死にたくなければ、貸して。」




圧をかけるエル。




「…はい。」


「お姉さんは重傷者の手当てを。」


「は、はい!」


「おいちょっと、怪我したらどうすんだよ?」


「怪我しないように避ければいい話でしょ。」


「エル最近わかってきたね。」


「巫女といると結構なんでも行けるんじゃないかって思えるんだよね。」


「二人とも話している暇あるならさっさと戦いなさい!!」


「それじゃ、救護は頼んだよ天音。」




術式を解除して車両魔物モンスターカーが立ち上がる。




「ブォンブォン!」




敵は闇魔法:悪魔機心ジェビルエンジンを使い、悪魔のようなオーラを纏って高速で走ってくる。




「来るぞ!!」


「その心配はないよ。」


「!?」




車両魔物モンスターカーがエルらにぶつかる瞬間動きが止まった。炎の鎖が縛り付けていた。




鎖十字ジャッジメント獄炎フレア 束。」


「これで満遍なく仕掛けられるね。」


(レベルがちげぇ…こんなにも差があるのかよ。)


「そぉれっ!」




巫女の意外に痛い殴り蹴り攻撃が炸裂する。




「弱点がむき出しになったよ。」


「ほら、兄さんの出番。」


「俺?!」


車両魔物モンスターカー弱点は電気だから一番有効なんだよ。今そんなに魔力消費したくないからお願いできる?」


「っんがあ!もうわかったよ。やりゃあいいんだろ?やりゃあ。」




兄さんはフロント部分に飛び乗って力を溜めた。




「ぶっ壊れろ。雷魔法:雷豪指ボルテックスフィンガー!!」




雷化戦術によって強化された高威力の雷系物理魔法は敵の全身に響き渡った。


車両魔物モンスターカーは跪いて倒れ爆発した。




「ふう。任務完了。」




車の下から犯人が這いずってきた。しかし警察がすぐに取り締まってくれた。


最近この街では違法薬物の流通が増加傾向にあるのがわかる。俺らだけでなく国自体がもっと目を光らせるべきだと思う。


しかし、それで常に緊張し続けなければならないのは皆辛い。だからその分は暗殺者らが頑張って安定させていかなければならないのだ。そういう意味でも安定のための用心棒は少なからず必要である。


多分ね。




「動物公園また今度にして帰りましょうか。」

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