自ら選んだ暗殺道の暗殺者、異世界へ旅に出ます。

第三十一話 不死身の影

「フッ。」

ファントムの大振りの腕を軽々と避けるクリア。

「電雷矢（サンダーアロー）。」

そしてその隙をタイミングよく狙うトム。チームプレーが良くできている。俺も合わせやすい。

「やはりファントムには魔法攻撃が通りずらいな。」

「あいにく攻撃系の光魔法は持ち合わせていませんし、暗殺者さんは得意属性を持ち合わせていますが体力が万全でない。」

「不利だな。だが、」

俺は放水玉を上空に出現させ水を流した。

「どうするつもりで？」

「まあ見てろ。」

俺は水のカーテンを作り合成効率化で鬼神斬の属性魔法を持たせた水斬を高速で流水させて水のカーテンの水を巻き込んで威力マシで放った。

配下の弱点も同じであったため壁になろうとして集まった配下は意味を持たずに真っ二つになりそのままファントムにダメージを与えた。

「これは！」

「俺の能力（スキル）を合成して欲しい部分だけくっつけてあとは放水玉の水で威力を上げただけだった。これならダメージが入るだろう？」

「簡単に言ってくれますが結構凄い事をしてますよ貴方。」

「あんまりレギュラーな能力（スキル）じゃないから内密にお願いする。」

「でもこれなら勝率がかなり上がりましたよ！」

「そうでもないよ。」

自己再生でファントムの傷は再生した。

魔法師の配下が現れ、初級魔法：水刃（ウォーターカッター）やファイヤー、中級魔法：漆黒球などを放ち、同時にファントムが飛んで空から氷魔法：氷柱弾（アイスショット）の連射と氷結砲を繰り出した。避けつつ、走りながら念話をする。

『でも零ではない。相手の自己再生も能力スキルの一環である故、与えた傷が大きいほど魔力を消費する。』

『この戦力を考えるとゴリ押し脳筋プレーか集中的一か所に攻撃の二択と言ったところか。』

『いや、三択だ。』

『聞こう。』

『騎士団長さんの言った二択の両方。』

『本気か？』

『まあ、ゴリ押しと言ってもただ馬鹿みたいに攻撃するのではなく...』

ファントムが神速（いだてん）を使用して俺の前に一瞬で現れて殴ってきた。

『暗殺者！』

『問題ない。』

結界魔法と自分の腕に付いているガードサポータを装甲強化で強くしてあとは丈夫な体で受け止めた。

（なんと丈夫な体。そしてそれに適合する能力。）

『方法は…』

『わかった（了解しました。）』

『作戦開始。』

まず俺の装甲強化と結界魔法を大剣に貼り、剣を盾代わりにして守備者（タンク）の代わりをする。

敵を引き付け、攻撃を俺のみに集中させる。

「ほらこっちだよ！」

剣を逸らして受け流し体を回転させながら相手の手に深く傷をつける。そこからマイナス粒子で魔素を吸収し回復する。そうすれば相手は挑発に乗って俺のみ相手をするはずだ。

ファントムの意識が俺に集中し連続で素早く殴ってくる。

「この連撃全部受け止めてやるよ。」

トムとクリアはスピードと攻撃がバランスよく高いので引き付けている間に配下を全て潰してもらう。

「火炎射撃（ファイヤーショット）。」

「はあっ！」

兵士や魔法師は次々と撃ち抜かれ斬られてやられていく。

「これで最後！」

全て倒しきった。

そしたらトムに背中にを打ってもらう。威力を上げて。

「属性威力強化：炎。火球連射（フレアマシンガン）！」

トムの弓から連射される。

（僕の弓耐えられるか？）

ファントムがトムの方を振り向く。

トムの方を向く素振りが見えたらクリアが高速で移動して相手の懐に潜り攻撃を仕掛ける。

「閃光の刃！」

クリアの一撃でファントムの腹に複数の深い傷が付いた。

『しゃがめ。』

『了解。』

ファントムは俺ごと叩き潰そうとしたが遅かった。

ファントムの腹に練り込み衝撃が背中にくるほどの重い拳を入れた。

ファントムは血を吐いた。そのまま剣でわき腹を刺して軸にして上空に飛んでクリアと共に剣を首に突き刺した。

「「はああああああっ！！」」

ファントムを倒した。一応のために素材回収をして炎斬で焼き払った。

「なんとかなったな。」

「ですね。」

グータッチして戦場の絆のようなものがここに生まれた。

「お二人ともー！無事ですか？」

トムも喜ばしそうに寄ってきた。

「ああ。お前は？」

「僕は無事です。」

「そういえば自己紹介がまだだったな。私は妖魔王国市長直属の護衛騎士団隊長　クリア・クリスタルだ。こっちは団員のトム・イプシロンだ。」

「よろしくお願いします。」

「俺は暗殺者　蘭　淳也です。」

「よろしく蘭君。」

「こちらこそよろしくお願いします。あと出来れば淳也で。」

「わかった。淳也君。私の事はクリアであと敬語は不要だ。」

「それでは...」

ファントムの身体から赤い光の柱が出た。

「なんだ？！」

「まさか...」

「心当たりがあるのですか？」

「俺が過去に戦った時にもあった。あの光は蘇生進化だと思う。」

「蘇生進化だと？！そんな...」

ファントムが立ち上がり背中から鉱石の羽が生えて顔に赤いひびが入って目が青く光る。

「何という魔力量。？！何か来る。」

ファントムは口に魔力を集めて数秒の間に魔力砲を放った。

「しまっ...」

正常性バイアス【危険察知能力】が高いため二人の前に出て素手で受け止めた。

「淳也君！！」

マイナス粒子で吸収し、結界魔法で強化しているけどかなりやばいな。

魔力砲は暴発してなんとか防いだ。このままにしていたら迷っている皆や二人に当たって全滅していたかもしれない。

手は焦げ、出血してボロボロになってしまった。

「はあっ…はあっ…」

「なんて無茶なことを。」

「無事ですか？！」

「…なんとかな。けれど次同じのがきたらほぼ防ぐことは難しい。」

しかし、ファントムはすぐに砲撃の準備をしている。

「まずい！次は私たちが守る番だ。」

「やめろ…！」

準備完了を許してしまった。

どうする？この二人じゃ守り切れない。俺が打たれる前に攻撃をして時間を稼ぐか？間に合わない。

！待てよ？これなら時間稼ぎができるかもしれない。

「はあっ！」

俺は残りの魔力で空間魔法：空間曲（スペースベンダ）げを敵の首元に発動させて軌道をずらすことに成功した。

「凄い。」

「でもまた…」

後ろの山一個消し飛んだがおかげで準備が整った。後は…

「こいつはまだ使う予定じゃなかったんだけどな。二人とも目と耳を閉ざして後ろ向いて伏せて。」

「策があるのだな。」

俺は腕輪から転送して巨大なガトリング砲：No13を取り出した。

二人を伏せさせたのは音が大きいのとこの武器の存在と恐怖を知らせないためだ。これで遠慮なく敵を殺せる。

「消えな！」

ガトリング砲が高速回転して大量の弾丸がファントムの体を打ち抜く。鉱石で必死に守ろうとするが、関係なく貫通する。

弾丸一つ一つが爆撃式鋭利弾という特殊弾丸なのでファントムの身体くらいなら容易に貫通できる。

…ほとんど原型がなくなった。

「ふぅ...もう起きていいぞ。」

「？！これは一体...」

「どんな魔法を？！」

「企業秘密だ。」

「でもこれで終わったんだな。」

「…いやまだだ。」

「え？」

ファントムはなんとか立ち上がろうとして体を立たせて全身が赤く輝く。体の中心から高濃度の魔力を探知した。

「今度はなんだ？！」

「まさか自爆する気じゃ。」

「そうみたいだね。推定からしてあいつを中心に半径30㎞内のもの全て消し飛ばすつもりだろう。」

「それじゃあ、近くの街や住民は？」

「…壊滅します。」

「僕らの戦いは結局全て無駄だったのか...」

今日はことごとく運が悪い。ならばせめて結界魔法で少しでも被害区域を小さく...

俺が結界魔法を使おうとしたその時．．．