第二十二話 鬼、再び
『少しだけ体を動かす手伝いをしてやろう。』
何者かが俺の体に力を流し込んだ。
「うっ、うがああああああぁぁぁぁぁぁぁぁ！！！」
全身が軋むような痛みを覚えたが一瞬で忘れた。
「なんだ？！」
「淳也君...？」
「まずい、淳也の中の鬼が暴走し始めた！」
黒い淳也の体を乗っ取った鬼が悪魔を見ていた。
「なんだあいつは？悪魔？とは違う何か？」
鬼の力が大きく増す。それは悪魔を超える密度。
悪魔は一瞬驚いた。
（ここまで力を上げといて我がビビるだと？有り得ない...有り得ない有り得ない有り得ない有り得ない有り得ない！！あんな死にぞこないに...）
「驚かされてたまるものか！！」
悪魔は鬼に向かって物凄い速さで近づいた。
「淳也君！！」
鬼は悪魔に大剣を向けてこう言い放った。
『哀れな...』
悪魔は後ろに回り込んでゼロ距離で死者の群がりで鬼を固定し、空間魔法：次元切りと
けれども刃は鬼の首に当たっていただけで通りはしなかった。
鬼はあまりの力の無さにため息を吐き右手を振るった。
魔法の骸は飛散して悪魔の右腕が消し飛んだ。悪魔は危機を感じて後ろに大きく下がった。
『合成されたことによって能力スキル部分が強化されているが同時に元々の防御力が下がっているな。
悪魔のままだった方がまだマシだったかもな。』
悪魔の右腕は再生した。同時に自分のやった事を否定されて奮起した。
「黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ！！貴様に何が分かる！口だけの劣等種族が吠えるなよ！！」
悪魔は空間魔法と暗黒魔法、切り裂いたり大きく拳を振り回したりと猛攻を出し続ける。
鬼には一切当たらず逆に所々に刃を入れていた。
『魔法と言ったか？複数を同時に操れる技術は大したものだ。しかし怒りのせいで正確性が劣ってしまっているな。勿体ない。』
悪魔の体力は削られる一方だ。
他のハンター達は驚いて硬直してしまっている。
「淳也君って何者なんだ？」
「ギルマスにも後で伝えられる範囲で話しますよ。あとこのことについては一切公開しないでください。あいつの為にも。」
「分かった。」
「はあっ...はあっ...」
（くそっ、我が負ける...また見下されるのか...）
「クソがあああぁぁぁぁぁ！！」
悪魔は体内に魔力を充満させて口から高密度の魔力砲を放った。
『さて、そろそろ終わりにするか。』
魔力砲は鬼の手前２ｍ弱まで迫っていた。鬼は光に飲み込まれる。
『次元斬』
マイナス粒子を全身から収束させて力強く大剣を振った。魔力砲は悪魔目掛けて真っ二つに割れて悪魔の体ごと斬った。
「そん...な...」
悪魔は元の姿に戻り死体となり、デントは気絶し
「「「「うおおおおおおおおおお！！」」」」
ハンター達からの歓声が地下全体に鳴り響く。
喜ぶハンター達に紛れてエル達に近づく。
しかし鬼は慣れない肉体でエネルギーを消耗し過ぎて倒れた。
鬼は消え、淳也が残る。
「淳也君（淳也君）！」
エルやギルマス、洋介や他のハンターも駆け付けた。
「全く、何が一人で問題ないだよ。無理しやがって。」
智一は呆れたのと安心したのが同時に来て苦笑いする。
その後、悪魔の使える素材や安全な敵の道具は他のハンターが採集し、ギルマス許可の元俺らの報酬品となり死体は騎士団が回収。デントは逮捕され地下秘密基地は安全管理完了後魔法によって埋められる。
こうして悪魔討伐および街破壊の依頼は完了し幕を閉じた。
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