第十九話 実験戦闘

「クソっ!どいつもこいつも使えん!」


「まあ、そうカリカリするなデントよ。」


「しかし!」


「安心せい。こちらにはまだ手はある。デントはそいつらとあと念のためこの薬を使うといい。」


「……よろしいのですか?」


「お前が使いこなしてみせよ。」


「はっ!」




敵も簡単には諦めていない。



俺らは最深部に向かって残りの配下達を片付けながら進んだ。




「ギルマスもなかなか戦えるんだな。」


「これでも元A級ハンターだからな。」




ギルマスは名の知れるハンターで、現役時代は単体で中級竜三体を倒したそうだ。教科書にも載っているとのこと。




「とにかくギルマスは凄いお方で現役時代は二つ名:戦場の女神と…」


「やめろ、恥ずかしい。もうその名で呼ぶなと言ったはずだ。」


「サーセン。」




この話をしてくれたハンター 和泉いずみ 洋介ようすけとギルマスは見た感じ仲が良いらしい。

いつか付き合いそうだなこの二人。




というか俺らの方にもそんな戦場の女神みたいな人がいたのを思い出した。

そうしてる間に出口に着いた。そこには緑に発行した人造魔獣が入っているカプセルが何個も連なる広い場所に出た。




「ここが最深部。」




前に人影が見えた。その人影はこちらに近づいてくる。




「よく来れたな。」


余り期待されてなかったのか?そんな事気にしてる場合でない。


出てきたのは上位悪魔アークデーモンだ。




「来てたら凄いのか?」


「ああ凄い。」




智一の質問に素直に答える悪魔。




「これは貴様がやったことなのか?!」


「そうだ。素晴らしいだろう騎士団長。」




悪趣味だとしか言いようがない。一同全員がそう思った。

もう一人こちらに来る。指名手配犯のデントだ。




「お前たちには到底理解できない代物だ。」




なぜが自慢気に語る指名手配犯。




(何でこいつが自慢気なんだ?)




上位悪魔アークデーモンを含めた全員が思った。




「まあいい。貴様らは上位悪魔アークデーモン様の作品によって消されるのだから。」


フラグを立てたお前がまず死ぬ。高確率で。

お約束の神様がそうさせる。だから余計な発言はしない事を意識している。




「俺は上位悪魔アークデーモンを相手する。智一達やギルマス達は他を相手してくれ。」


「待ってくれよ。たかが中級配下一人に150人ぶつけろってか?」


「どうやら一人じゃないらしいよ。」




エルは気づいていた。ミナも魔力の増幅で気づいたそうだ。


周囲のカプセルが割れてその中にいた人造魔獣らが動き出した。未完成では無かった。




「あ、アガガガガ」


「ギギ…」




大百足オオムカデ飛龍ワイバーンを合わせたものや骸骨スケルトンの集合で鯨みたいな形をしたのもいる。また人を中心にしたのもいた。


それを見て言葉を失う者、嘔吐する者が現れた。普通これを見て気分を悪くするのは当たり前だ。




「そういうことね…」




俺を心配していたギルマスも俺の言葉が確信に変わった事を察した表情をしていた。




「一人で大丈夫ですか?」


「厳しくなったら呼んでよ。」




ミナとエルが心配の言葉をかけてくれた。温かくて嬉しい。




「安心しろ。死ぬつもりも負けるつもりもないからさ。」


「ご武運を祈るよ。」



「舐められたものだな。たった一人で上位悪魔アークデーモン様に挑もうとは。」


「効率の良い安全策さ。それにお前らが人造魔獣を外に解き放とうとしているのは知っている。加えて殺した人間も実験に使おうとしているんだろ。」




簡単な推理だ。




「把握済みということか。まあ、その自信は褒めてやろう。絶望に変えてやるから期待してろ。」


「期待に応えてくださいよ、上位悪魔アークデーモンさん。」




「戦闘態勢を取れ!人造魔獣討伐後、速やかに指名手配犯 デント・トントルを確保し上位悪魔アークデーモンの討伐に迎え!」


「「「はっ!」」」


「お前ら、やれ。」




配下の一声で人造魔獣らが動き出した。




「いっちょぶちかますか。」


「はい!(ワン!)〈ええ。〉」




「殺ゲーし合ムいの始まりだ。」




悪魔と俺、そして人造魔獣・配下達とエル 智一 ユンタ ギルマス一同の戦闘が開始した。




        




         「負かす。」


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