#2(1)

幕の内弁当(割引シール付き)を食べ、風呂を浴びる。

その後で冷蔵庫から缶ビールを取り出して、つまみも用意する。

準備万端、ヨシ!

俺はノートパソコンの前に座って、さっそく買ってきたゲームを取り出す。

ディスクを挿入、インストールする。

その待ち時間にパッケージを改めて見るが、中に説明書すら入ってなかった。

ユーザーに不親切すぎるぞ。

だいたいこれが何のゲームなのかもイマイチさっぱりだ。

タイトルには「ダンジョン都市を作ろう(戦国風美少女SLG)」とあるが……。

ダンジョンで、戦国時代?どんな世界観?って感じだ。

ま、やれば分かるか。


お、インストールが終わったな。

ゲーム開始といきますか。

オープニング……などはなく、タイトル画面。文字のみで特に情報はなし。

「ニューゲーム」をクリックする。

と、最初のCGが表示された。

どこかの和室の一室。

布団の上で誰かが死んでいる。

それはその人の顔の上にかけられた白い布からうかがえる。

そしてそばには少年が一人いて泣きすがっている。


>>明禄8年、犬山家の当主没す。

>>当主の座は孫の新九郎に引き継がれた。

>>まだ齢十三の若い当主ながら、新九郎は犬山荘の差配をすることになった。


どうやらこの新九郎くんというのがプレイヤーキャラらしい。

分かっていたが、チュートリアルなんてものはなく、プレイアブル画面に移行。

「評定」と右上に書かれてあり、左側には選択できるコマンドが並ぶ。

「評定」というのは戦国SLGでよくある政策決定のターンのことだと思う。

そして、背景にあるのは犬山家が治めている村だろうか?確か犬山荘ってログにあったな。

しかし、これは……。

ボロ小屋がぽつぽつと建っているのみ。

陰気な雰囲気が漂っている。

どう見ても寒村だ。

これは前当主の新九郎くんのお爺ちゃんが無能だったのか、それとも別の要因があるのか……。

さて、選択できるコマンドだが、今のところ「ステータス」、「内政」、「外交」、「登用」の4つ。

まずは「ステータス」を確認してみるか。

「所属武将」と「領地」が閲覧できる。

「所属武将」は今のところ新九郎くんのみだ。


名前:犬山新九郎

年齢:13

武器:刀

技能:真眼


ほー、新九郎くん、刀で真眼っていかにも主人公っぽいな。

敵の動きを見切って戦う一撃が必殺タイプの前衛と俺は見た。

顔CGもあったが、エロゲ主人公にありがちな前髪で目元が影になっているパターン。鼻や輪郭などのパーツを見る限りイケメンだろう。

自分を投射する主人公がブサメンだと萎えるからな、これでいい。

お次は「領地」の方。

あるのは「犬山荘」の一つだけ。

こういうリストがあるってことは後々、他の領地を攻めて支配地を増やしたりするのだろうか。


領地名:犬山荘

領主:犬山新九郎

評価:☆

詳細:

 農業、商業が未発達。貧しい。

 戦力が不十分。早晩、妖魔によって滅ぶ運命。

 住民が飢餓寸前の状態にある。


なんか終わってませんか、この村。

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