第15話
近くのモンスターを排除しながら、一か月後にはダンドンさん職人たちと、魔族たちを呼び町をつくり始めた。
「すごい!」
アエルが感嘆している。
(確かにダンドンさんたちはかなり腕のたつ職人だ。 資金も少ないのに、町になってきた)
「なんとか形にはなったな」
ダンドンさんは汗をぬぐいいった。
「ええ、これで人さえよべれば、立派な町になります」
「うむ。 しかし何か産業とよべるものが欲しいな」
「それなんですが、私が周囲を探ったところ東の方に、この鉱物が埋まっているようなんです。 少し特殊なんですがみてもらえますか?」
(この世界はほとんどもとの世界と同じ鉱物なんどけど、これだけなんか違う。 電波を発している)
鞄から、とりだした鉱石をみせる。
「おお! これは確かに魔鉱石だ! これがあれば魔石を加工できるぞ!」
ダンドンさんは興奮気味にそう鉱物をみていった。
(魔石か!)
「それなら鉱山をつくり、そこから魔石をつくることができますね!」
「ああ! 魔石は高額で売れる! それならここを維持するのも十分に可能だ!」
「でも、人がいない。 あっちの町でもまだ住むところはあるからな。 一応出入り口を警備する人間も必要だろう? そんな人間がいるのか?」
アエルがそういった。
「うむ、確かにな...... だが貧困者は大勢いる。 彼らなら来てくれるはずだ。 交易で得た利益で冒険者を雇えばいい」
「なるほど、そういう人たちを集められますか?」
「そうだな。 貧困者の区画は各町にある。 そこを当たってみよう。 あそこなら、いやダメか......」
「他にあるんですか?」
「いや...... ラダトスという大きな貧困街があるんだが、そこは危険なんだ。 裏社会の人間が統治していてな。 国も手がだせん。 ギルドに行けば情報を得られるかもしれんが......」
「わかりました。 ダンドンさんは集められるだけ人を集めてください」
私たちは町をダンドンさんに任せて、ギルドに向かった。
「ラダトスの町ですか......」
ギルドにいきその話をすると、受付のマムラさんは露骨に眉をひそめる。
「なにか情報はないのか?」
アエルがきくとマムラさんは考えている。
「......そうですね。 ラダトスの町関連の依頼もあるにはあるんですが、ほとんどが手付かずのままなんです」
「つまり、冒険者も触れない、ということですか」
「はい...... それほど危険なんです。 普通のモンスター討伐よりも」
「とりあえず見せてもらっていいですか」
「え、ええ」
だされた依頼書を確認する。
(誘拐された人の捜索、盗まれた宝石の奪還、逃亡犯の捕縛、違法薬の押収、古代遺跡より盗掘された遺物の回収か...... ほぼ犯罪絡みだ)
「その町を統治しているのが裏社会と聞いていましたが、組織なのですか」
「ええ【グール】と名乗る組織で、あらゆる犯罪に関わっています」
「グール......」
ラダトス関連の依頼を受け、ギルドをでる。
「本当にいくのか、あの話が本当なら厄介だぞ」
「ええ、マムラさんの話だとその町はなぜか魔法を封じるらしいね。 その話が本当で魔法を使えないなら、国も手出しがしづらいのも納得だ」
(まあ、私のは魔法じゃないから関係はないけど......)
私たちはラダトスの町へと向かった。
その町へと向かうと、山の斜面に段々と建物が並ぶ町がある。 そこはモンスターを阻む壁もない。
「どういうことだ? 壁がないぞ」
アエルが不思議そうにいう。
(周囲にはモンスターがいるけど襲われてないな。 こんなに目立つのに...... とりあえず姿を消して入ろう)
【偏光念力】《ルクスキネシス》を使い姿を消し町へとはいる。
そこは掘っ立て小屋がところせましと並んでいる。
「魔族の町と変わらんな」
「ええ、ひどい所......」
そこを歩くものたちも障害があるもの、痩せ細った老人や子供、そして見るからに人相の悪いものなど、おおよそ普通の町とは異なっている。
(社会から捨てられた人たちといったところか......)
「それでこれからどうする?」
「とりあえず、裏の社会があるなら、ここでも裕福に暮らすものいるはず。 上の方にいこう」
(町全体に【催眠】《ヒュプノシス》をかけるか...... いや、もし後遺症などが起こると困るからやめよう......)
私たちは町を歩き、上の段へと向かうと、ひときわ大きな屋敷がみえる。
「ここか」
その屋敷に潜入する。
中へはいると、装飾などがこられた豪華な内装で、貴族の屋敷のようだった。
「ずいぶん豪勢だな。 下で飢えているものたちがいるのに、なんともおもわないのか」
あきれたようにアエルがそういう。
「まあ、一部の人間はこういうものだよ」
「あまり魔族とかわらんな......」
失望したようにアエルがいった。
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