第14話
「商人に力を借りるのは難しそうだぞ......」
アエルはそういう。
「ええ、先に素材だけでも集めよう」
「ギルドで金を稼ぐのか」
「私たちだけで町に必要なだけの素材を手に入れるのは難しいよ」
そう私がいうとアエルは腕組みをした。
「そうだな。 探して手に入れるしかないか」
「となると、人が入らない場所だろうね」
「人外地か...... でも私たちの町を広げすぎると魔族の領地と近くなる」
アエルは眉をひそめた。
「ええ、その危険は避けたいから、別の場所。 ダンドンさんに聞いてみよう」
「ここか......」
私たちは山岳地帯へとやってきていた。
「ダンドンがいっていた場所だ。 テクシア山、確か昔ラクエス国が領土を拡充しようとして、ここを進み近くに町をつくった。 でもモンスターが増え続け壊されたって」
アエルがそういう。
「ああ、私たちの町から近いから、ここを開拓できればいいね」
「そうだが、国があきらめた場所だぞ。 かなり強いモンスターがいるんじゃないか」
アエルがあたりを見回している。
私は【遠隔透視】《リモートビューイング》を使った。
(かなりの数のモンスターがいる。 一度倒すのは可能だが、増えるモンスターをどうするかが課題か)
「とりあえず壊されたという町までいってみよう」
山を歩いていき、【遠隔透視】《リモートビューイング》でモンスターを見つけ排除していく。
しばらくあるいたところで、廃墟を見つけた。
「あれか......」
石の壁を抜け町にはいる。 かなり壊されているが、一通り区画整理がされていて、そのまま使えそうではあった。
(人がいなくなったら壊さないのか...... どうもモンスターの生態がわからないな)
「壁はあるな。 瓦礫をどけて、建てなおせばこのまま使えそうだが......」
「ああ、でもモンスターをどうする?」
「そうだね。 とりあえず上からみてみるか」
【浮遊】《レビテーション》で空に浮いて辺りをみる。
「あそこに湖がある。 だからここに町をつくったのか」
「だがみろ。 モンスターがうじゃうじゃいる」
アエルがいう方には確かに周囲にはモンスターが多い。
「あの程度排除は簡単だけど...... なぜ壁が壊されてないんだ?」
「確かに...... 壁の破損はそれほどじゃないな。 登ってきたのか、あれ!!」
「ああ、きっとあれのせいだ」
向こうの空からなにかが飛んできている。 大きな羽を持っている。
「ワイバーンだ! あれに上からやられたのか!」
その竜のような爬虫類は翼をはためかせ、こちらに近づいてくる。
「ガオオオオ!!」
「こいつはかなり強い! 高所から炎をはくから、剣や槍で殺すのは難しい! 上位魔族が召喚することもある!」
「アエル地面から石を尖らせて」
「わ、わかった!」
ーー地に関するもの、汝の身を固く尖らせよーー
「ビルド、ストーンファング」
「【空念力】《エアロキネシス》」
羽を切り裂くと次々とワイバーンは地面に落ちていくと、尖った石に串刺しになる。
「あのワイバーンを、こんな簡単に......」
「だが、空から攻撃を受けるならここで住むのはむずかしいな」
「そうだな。 地面の下にでも町をつくらないと......」
「下...... それだ」
「えっ?」
「【召転移】《アポート》」
転移させると、土くれの山ができた。
「なんとかできたな......」
(やはり能力を使ってきたことで、私の力も増している......)
「すごいな。 でもここからどうする?」
「まず、ここから川へ上下水道を作る。 あとは四角い大きな石の箱だ。アエル土を砂と小石に変えてくれる」
(浄化槽は複数必要だろう)
「よくわからんが、わかった」
アエルは石の水路と大きな四角い石の槽をいくつかつくった。
「はぁ、疲れた」
座りこんだアエルをみながら、できた四角い石の箱に砂と小石をいれ、浄化槽をいくつかつくる。
「これで浄化槽と、上下水道の水路はできた」
「それからどうするんだ?」
「ええ、みてて【念力】《サイコキネシス》」
さっきできた穴に、つくってもらった石の水路と浄化槽を入れた。
「この町に太い柱をたてその上に石の天井をつくるんだけど、さすがにこれはアエルにもつくれないから、私がやるしかないか」
近くにある巨大な岩山をみる。
「嘘だろ...... あんなの! 無理だぞ!」
「【念力】《サイコキネシス》【遠隔念動力】《テレキネシス》」
巨大な岩山を浮かせる。
ゴゴゴゴゴ......!!
「うあああああ!!」
「アエル...... 集中力がおちる、静かに......」
アエルはあわてて両手で口を押さえた。
岩山を分割して、大きな柱と屋根になる厚い板を切り出した。
ズウウウン!!
柱を町に数本たてその上から屋根を乗せた。
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