序章:割と賑やかな日常-2
「お疲れ様です坊ちゃん」
私が休憩の為少し離れたベンチに腰掛けると私の側付きとなったマルガレンが私に汗拭き用の布を手渡してくれる。
私はそれを受け取り拭き取れるだけの汗を拭う。しかし、この汗拭き布、余りよく汗を吸収してくれない。この世界にタオルなんて上等な布はない為致し方ないのだが……。
「どうかなさいましたか?」
「ん? いや、なんでもない」
「そうですか。何かあれば仰って下さいね」
マルガレンはそう言うと前世で言う所のウエストポーチに似た物入れから小さな水筒を取り出す。
両方共ちょっとしたスキルアイテムであり、私がマルガレンの誕生日に買い与えた物だ。最初は「気持ちだけで充分です!!」と断られたりもしたが、私の身の回りの世話をするに至って必要な物だからと半ば無理矢理与えた。
物入れにはスキル《拡張》が、水筒にはスキル《熱保存》が付与されており、こういった状況にはうってつけだったりする。少々値は張ったが買い与えて正解だったな。それにしても……。
「アレから七年か……」
「アレから? …………ああ、僕が坊ちゃんに仕えてから、ですか」
そうマルガレンが私に仕えてから七年。時が過ぎるのはあっという間だ。
私は今年で十二歳になり、マルガレンは十歳になった。まだまだ尻の青い子供ではあるが、それでも自覚出来るくらいには成長している。
あの時のように何か特別な出来事があった訳ではないが、その代わり自身の能力を意識して高める事に労力を割く事が出来た。体力や体格は勿論、魔力量や剣術技術、そして何よりスキルの数と熟練度。
現時点で私が出来る最良の選択を出来ていると自負している。
スキルに関してもこの七年でかなり増えた。七回の誕生日に同じ数のスクロール、小遣いを貯めて買ったスクロール、それと犯罪者を影でこっそり〝お仕置き〟した時の戦利品。
主に最後が増えた要因になるだろう。
まあ、流石に殺しはリスクが高い
そしてその結果現在私が所持するスキルは──
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人物名:クラウン・チェーシャル・キャッツ
所持スキル
魔法系:《炎魔法》
技術系:《剣術・初》《短剣術・初》《大剣術・初》《ナイフ術・初》《槍術・初》《手斧術・初》《弓術・初》《体術・初》《投擲術・初》《窃盗術・初》《
補助系:《体力補正・I》《魔力補正・I》《筋力補正・I》《防御補正・I》《抵抗補正・I》《敏捷補正・I》《集中補正・I》《命中補正・I》《器用補正・I》《幸運補正・I》《隠匿》《思考加速》《高速演算》《演算処理効率化》《魔力精密操作》《気配感知》《気配遮断》《魔力感知》《動体感知》《罠感知》《鍵開け》《威圧》《魔力障壁》《焼失》《品質鑑定》《解析鑑定》《天声の導き》《
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しめて五十六個。《強欲》に内包されているスキルも合わせれば六十六個。一般的な視点で言えば既に異常な数だ。
中でもこの補正関係を網羅出来たのはかなり僥倖と言える。この年齢でこの数の補正関係を習得出来たなら私の身体能力は成長するにつれ格段に向上するだろう。正に僥倖。
技術関係は主に犯罪者から奪った物だが、思った程増えなかった。犯罪者の傾向なのか、皆同じスキルばかりを取り揃えていたのが原因だ。全く、没個性な犯罪者共が……。今後の犯罪者狩りは考えなければ。
と、現状の私はこんな感じだ。さて、次に、私の今の謎の交友関係を整理しようか。
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