第七章:事後処理-9
やって来たのは再び王都セルブ。約一週間の馬車旅を経て来たわけだが、今回は任務なんて堅苦しいもんの為に訪れたわけではない。
目的は一つ、スーベルクの息子マルガレンを私の側付きとして引き取りに来たのだ。
といっても色々と問題があるようで今すぐに引き取るという訳にもいかないらしい。主にマルガレンが養子とはいえ元貴族であったり、それを引き取るのが貴族位を持たない領主だったり。
その為何日か王都に宿泊する事になるのだが、今回は私と父上だけではない。
「さあクラウン! 早速買い物に行くぞ!!」
そう、姉さんも一緒だ。当初は私と父上の二人の予定であったのだが、それを姉さんが知るや否や「私も行く!」と言って聞かなくなってしまった。
まあ、今回は先程も言ったように任務だったりがある訳ではないので割とアッサリ付いて来る事になったのだが、
「姉さん、買い物は後です。まずはマルガレンが居る教会に行きますよ」
「む、そうなのか……」
「時間はたっぷりあるんです。やらなきゃならない事は先に終わらせて後でゆっくり楽しみましょう?」
「ああ、そうだな! ならばさっさと用事を済ませるとしよう!」
弟に諭される姉の構図。私の前では割とポンコツを発揮するこの姉が、剣術学校では並ぶ者無しの強者なのだから世の中分からない。
そうして二人で宿を出る。教会はここからそう遠くはなく、歩いてもせいぜい十分少々。そう時間は掛らない。ところで、
「わざわざ姉さんまで付いて来なくても良いんですよ?用事があるのは私だけですし」
「何を言う、お前の側付きになる者への挨拶なのだろう?ならば私とて無関係ではないではないか!使用人として雇うとなれば顔も合わせるだろうしな」
「まあ、それもそうですね」
言われてみれば確かに。側付きとはいえ使用人としての雇用。父上や母上、勿論姉さんにだって当然顔を合わせる。今の内にそれを済ませておくのも悪くないだろう。
…………マルガレンが姉さんに圧倒されなければいいが……。
そうして私と姉さんは王都の中街を歩いていく。商店街を通り抜け、中央にある噴水広場を抜ける。
そう言えば、前はここで女の子が布教かなんかの演説をしていたが、今日は居ないのか? まあ、居たとしても得体の知れない感覚に苛まれた者同士、好き好んで近付いたりはしないし、向こうだって会いたくはないだろうが……。
そして更に道なりに進み、見えて来たのは特殊な形の建物。他の民家や商店、宿屋とは雰囲気すら違うその建物は一際大きく、小さいながら鮮やかなステンドグラスが輝いている。
「着きましたよ。ここがマルガレンがいる教会です」
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