第七章:事後処理-1

 翌々日の夕方。それが私の目覚めた時間だ。


 何故こんな時間まで眠っていたのかと言われれば大体予測はつくだろう。


 先々日の不正証拠入手任務によって負った怪我と魔力の回復、そして極限の疲労と睡眠不足。それら諸々が積み重なりこんな状況に陥っている。


 なんだか久々に深い眠りに着けたのだが、そもそも私は先々日より更に前日から謎の睡眠障害により一睡も出来ないでいた。その原因が判らないまま作戦に挑んだのだが、怪我の治療の為に寄った教会にてその正体が判明した。


 病名「魔間欠過剰排出症」。読んで字の如く魔間欠の使い過ぎにより魔間欠の栓がバカになり魔力が常に漏れ出してしまうという症状で、その副作用として睡眠障害を併発したらしい。


 要は魔力が常に魔間欠から漏れ出している為、体内の魔力が常に循環してしまい、脳が活性化状態のままにあったという。


 原因は言わずもがな、魔力の使い過ぎである。まだ未発達のこの身体で調子に乗って魔力を使いまくり、あまつさえ魔力回復ポーションで無理矢理魔力を補充して更に酷使したのが要因だ。


 私を診断した神官は身体中の骨折に加えこんな状態で運ばれて来た私に対し酷く呆れていたのを覚えている。


 通常この魔間欠過剰排出症というのは私の年齢帯での発症者が多く、その殆どが魔法訓練が厳しい家系の子供らしいのだが、発症したとしても私の様に不眠にまで陥るケースは無かったようで、付き添ってくれた父上が「一体何をさせたらこうなるんですか?」と神官に真顔で怒られていた。


 父上は父上で回復魔法で私の身体を治療した後に帰りの馬車内で「一体何にそんなに魔力を使ったんだ?」と問い詰められた。


 勿論盗賊三人相手に大立ち回りをしたとか、スキルを奪うのに魔力を大量に使ったとか言えるわけもなく、「魔法の練習をし過ぎた」と前にも使った言い訳でなんとか躱した。


 その後の事は記憶にない。何故ならば神官に貰った体内の魔力を落ち着かせるというクソ不味い飲み薬を飲み、体内の魔力が落ち着いた途端強烈な睡魔に襲われて数秒で撃沈したらしい。それすら曖昧だ。


 そして今し方目が覚め、こうして状況整理をしている。うん、問題ないな。ところで……天声。


『はい、ご用件は何でしょうか?』


 一昨日盗賊二人の魂をスキルに還元していたと思うんだが、今どんな状況だ?


『はい。クラウン様が長時間の休眠状態になった為スキル《思考加速》及びスキル《演算処理効率化》の権能が解除されました。よって魂の還元作業に遅れが生じています。』


 ふむ、成る程。コイツは予想外だ。で、後どれくらいで終わる?


『推定残り時間は三時間です』


 三時間……。予想よりも早いな。まあ、アレから二日経っているワケだし、当然か……。


 さて、では確認事項も済んだし、父上に会いに行くか。色々話し合いもしたいし、何より父上には私を助けなかった報いを受けて貰わねば。覚悟していて下さい父上。

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