第11話「苦痛」

 さて、物語が10話まで続いたということで、ここからは魔王の生い立ちに着いての話をしたいと思う。

 過去に一体何があったか、なぜ、何に復讐をしたいのか、魔王はどうして生まれたのか…それを今お教えしよう。


――ここから1000年前の話――


「お母さん、ご飯まだー?」


「はい、今作るね」


 魔王は元々貧乏な家の元に生まれた普通の子供だった、名前はブラック・ヘル、10歳までお母さんと普通の日々を送っていた、あの悲劇の日までは…

 ある日、グラン族と言う今で言う借金取りの様な人達がヘル家に押し寄せてきた。


「おい!10000ゴールド(5000000万円)はまだか!!!」


「待ってください、あと少しで集まるんです…」


「知ったことか!早くしろ!!!さもないと命は無いものと思え!!!」


「どうしたの?お母さん…」


「…いや、なんでもないわ、あなたは部屋に戻りなさい」


「分かった…」


 しばらくやり取りが続いた。

 だが引き返して貰えずお母さんは連れ去られ、後日無惨な姿の母が家に送られた。


「えっと、ブラック・ヘルくんかな?私はここら辺の偉い人なんだ」


「うん、どうしたの?今お母さんが帰ってこないから居ないんだよね…」


「なんて言えばいいか分からないけど…落ち着いて聞いてね、君のお母さん…死んじゃったんだ」


 いきなり知らされたこの言葉に彼は言葉を失った。


「え、?」


「…」


「最近ここに大きな男の人が来なかったかな?」


「…変な怖いおじさんが来てたよ」


「やっぱりか…あの人はとっても悪い人なんだ、お金の少ない家を狙っている悪い人」


「そうだったんだ、お母さんはもう帰って来ないの?」


「…うん」


 そう言ってその人は去っていった。

 そう言われて泣き崩れた、お母さんはあの日にグラン族に殺された、ボロボロの家の中でひたすら泣いていた、雨漏りが体に染みる、ずっと泣いていた、すると雷が彼の元へ落ちた、その途端に何かが変わった、魔王の呪縛がかかった。

 この日、彼は魔王としてこの世界に、お母さんを殺したこの理不尽な世界に世界に"復讐"をすると誓ったのである、何者にも変え難い苦痛を背負いながら…

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