第12話 え、、、なんか浮いてる?

トウリside


 しばらく経ち職員室から白髪の生徒が出てきた。


「終わったか」

「ああうん。明日から通うことになりそうだね。学校で会ったらよろしく」

「ああ」


 短い会話を済まして風紀室へと向かう。


 生徒たちはもう寮へと帰ったのか賑やかな声は聞こえず。数分で風紀室に到着し、取り敢えず彼を座らせた。因みに茶は無い。早めに話を終わらせる予定だから。


「では聞こう。まず名前と学年クラスを」

「えっと、、、星銀ほしがねアオです。2年Sクラスになります、、、?」

「、、、!」

「?」


 年上だったのかと当時は衝撃を受けたのを今でも覚えている。


「いや失礼。気にしないでくれ。あの状況になった経緯を教えてくれ」

「経緯、、、と言っても喧嘩を売られた、といいますか、、、何というか、、、道に迷ってたんです。そこであの場所でたむろしてた彼らが居て、それであいt、、、じゃなかった、彼らが俺の顔を見るなり抱かせろだなんて言ってくるもんですからついぷちっときて、、、ああなりました」

「、、、、、、分かった」


 ゆったりした口調に反して彼の目は今でも根に持っている者の顔だった。まあ無理もないか、誰しも初対面の者にその様なことを言われればキレる。


「手を先に出したのは?」

「、、、俺ですかね?」


 口を先に出したのは彼らですが、、、と苦し紛れに付け足した。

 正直あの倒れていた者達の方から手を出したのだと思っていたので自分の思い違いだった事実に衝撃を受けた。


「、、、幸い病院送りになるほどの者は居なかったから停学だとか謹慎は無い、せいぜい反省文を書くぐらいだ。それに加えてあいつ等はよく喧嘩しているからな、、、この際反省文100枚書かせてやる」

「100枚、、、(あいつ等どんだけやらかしたんだ?委員長が黒いぞ、、、)」


 冗談半分本気半分を最後に混ぜると引いたような反応が返ってきた。さてと切り替える。


「大体話は聞けたし、残りはあいつ等に聞く。寮まで送ろう」

「え?あ、はい、、、ありがとうございます」


 何でそこまで、、、という表情をしているのを見て軽く笑う。しかし既に俺は扉の方へ向かっていたからか、笑ったことは気づかれなかった。


 その後つつがなく寮まで彼を送り届けた。途中、晩御飯を食べにきた生徒たちとすれ違いざわざわしていたが明日には広がるだろうと思う。


「ここまでありがとうございました」


 ぺこりと礼を言った星銀は寮へと入り姿を消した。


 俺は仕事が残っていたため去る姿を見届けることなく風紀室へと戻った。



~生徒たちside~


「え?なんだあのイケメン」


ザワザワ ザワザワ


「風紀委員長様と居たわよね?」

「間違いない」

「俺も見た」

「あんなイケメン居たか?」

「あんな記憶に残りそうな方が居たら忘れないと思うけど、、、」


ザワザワ ザワザワ


「うわああっああっっくぁあsk」

「落ち着け」

「無理だよ!何だよあのふつくしい空間は!」

「(ふつくしいww)」

「新しいカプが誕生する予感!」

「やめてあげろよ」

「やめねぇ!俺は一目惚れしたんだ、、、あのカプに!」

「なにも知らねえだろお前」

「、、、、、、」

「急に黙んな」


ザワザワ ザワザワ


「作らなきゃ!(使命感)」

「何を作るの?」

「親衛隊!」

「えー風紀委員長居たんなら風紀委員かもしんないよ?」

「その時はその時で影で支えるんだ!」

「じゃあ僕はそんな君を支えるね」

「え?」


ザワザワ ザワザワ


「はっ!どこかでいい雰囲気のカップルが出来そうな予感!」

「お前そんな事も出来んのか、、、腐男子って凄い」

「それほどでも、、、」

「、、、」

「あ、カメラ磨かなきゃ」

「急な切り替え」

「明日は、、、いや、今日も明日もいい日になりそう!」

「よかったな」

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