第8話 毒は廻る、されど気付かず
今日はこの間、決めることができなかったありがとう集会の出し物の話を改めてしていた。
前とは違って話はうまく進んでいた。
そのはずだった。でもだめだった。
嫌いなS君が騒ぎ始めた。
このお調子者は「そもそも集会をやりたくない」とか言い出した。
本当のことを言えば僕だってすごくやりたいわけではない。でもやると決まったことなのだから、そんなことを言われても困ると思った。
僕は少し強く「うるさいな、そんなこと言っても意味ないだろ」と言った。
でもS君には何の効果もなかった。
僕はイライラしていた。
せっかく今回はクラスが落ち着いたまま決めることができそうなのに、その雰囲気を壊されるのがとても嫌だった。
S君は僕に関係のない悪口を言ってきた。服装がダサいとか、僕が優等生ぶっているとか。
僕はもういいやと思った。
僕はS君を突き飛ばした。
S君はしりもちをつきながら、小さく「えっ」と言って固まった。
僕はもう一度肩を強く押し、「お前もう帰れよ」と言った。なんとなくその方が良いだろうと思って、なるべく平べったい話し方をしてみた。
S君は後ろに下がって、ただ僕を見つめていた。
教室は静まり返っていた。
S君はもう二度とこの日しゃべらなかった。
僕は少しレベルアップした。
毒は廻る、されど気付かず 小市民 @iscream_0407
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