第7話 兄という人
どうやら家に兄が戻ってくるらしい。
そしてどうやら兄は刑務所に入っているらしい。
学校から家に帰ると、父親は泣きながらそのことを僕に教えてくれた。
僕にはなぜ父親が泣いているのかが分からなかった。でも泣いているのだからきっと大切な話ということなんだろうと思って、真面目に聞いているふりをした。
話をよく聞くと、怖い人から命令されて、兄は当時付き合っていた彼女に詐欺をしていたらしい。思ったよりも悪いことをしていて僕は驚いた。
僕は兄が高校を卒業して、自衛隊に入ったところまでしか知らなかったから、急にそんな話をされてもよく分からなかった。
僕は別にとてつもなく兄が嫌いなわけでもないし、母親が違うからといって何を思うわけでもないけど、とにかく他人というふうに思っていた。
僕のお金とゲームを盗んだことは一生忘れないけど。
とにかく兄が戻ってくれば父親が僕に怒る機会はより減るのだろうなと思い、少し心が楽になった。
でも兄が理由でけんかが多くなるだろうとも思って、少しお腹の下が痛くなった。
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