えちえちお姉さんの誘惑が加速してる

「ねえ春人くん」


「なんでしょう」


「女の子の体に興味はない?」


「……」


 春人が陽菜の部屋でくつろいでいると、陽菜は突然提案した。


 突拍子もない提案に春人がぶったまげていると、陽菜は春人へ距離を詰める。


「春人くん」


 陽菜はただ春人の名前を呼び、左手を春人の方に回して、右手で自分のシャツの裾に触れる。


「なにしようとしてるんですか、陽菜さん」


 その様子を確認した春人が陽菜を咎めるが、陽菜は動きを止めない。


「服、脱ごうかなって」


「え……」


 春人が困惑していると、玄関から優香が突然姿を現す。


「陽菜さん、身体以外にも魅力的だってせっかく言ったじゃないですか。結局それなんですか」


「ほかに魅力があったとしても、わたしの最大の長所はこれだから」


 優香はそれを聞いて呆れた様子で笑う。


 しかし、そこに嫌悪はなく、ただライバルを見る目みたいだ。


「陽菜さんにそんなことされるとわたしの勝ち目がなくなるので、全力で止めますよ」


 春人は二人がなにを言っているのか理解できず、困惑するばかり。


「春人も、陽菜さんに誑かされないでね」


「……よくわかんないけど、努力する」


「無理に抵抗しなくてもいいのよ」


 陽菜はにこにこと満面の笑みで春人を懐柔しようとする。


「駄目。春人、陽菜さんに変なことされそうになったらちゃんと抵抗してね」


 まさに板挟みとでも言うべき状況で、春人は混乱する。


 付き合いが長いのは優香だが、陽菜も春人の相談に乗ってくれたという恩もあって無視することはできない。


 どちらの言うことを聞くべきか春人が戸惑っているうちに、優香は話題を転換する。


「そういえば春人、陽菜さん。今度一緒に遊びに行きませんか?」


 その提案から、優香と陽菜の仲が悪いわけではなく、さっきの言葉が冗談であるということがわかって、春人は胸をなでおろす。


「家計厳しいから、わたしが奢ったりみたいなことはできないけど、大丈夫?」


 陽菜の回答は、どこかズレたものだった。


「奢ってもらうために誘ったわけじゃないです」


「ああ、ごめん。そうだよね、優香ちゃんは――」


 陽菜が納得して笑うのを見て、優香の視点は春人の方へ移動する。


 自分が指されているということがわかり、春人はしゃべりだす。


「僕はせっかくだし遊びに行きたい」


 次に、優香の視点が陽菜の方へ動いた。


「わたしも」


 かくして、三人で遊びに行くということが決定。三人はそれから具体的な計画を練り始めた。

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