えちえちお姉さんのえちえちな要求
「最近優香が冷たいんですけど、なにかわかりますか?」
春人は陽菜に尋ねた。
優香が春人のことを陽菜に相談してから およそ一週間、春人は優香が自分に少し冷たくなっているのを感じていた。
陽菜は、さりげなく気づかせるというアドバイスが悪い方向に働いてしまったことに気づき焦る。
言葉に詰まった陽菜の様子を見て、春人はもう取り返しのつかないことなのかもしれないと不安になる。
「そうだね……優香ちゃんは、春人くんに直してほしいところがあるんだと思う」
それ以上のことは告げない。自分の問題点に自分で気づくことも大事だと考えたから。
自分に非があると気づいた春人は、慌てながらもこれまでの自分の振る舞いを思い返す。
しかし、なにが問題なのか全然検討がつかず、頭を抱える。
「本人に訊いてみてもいいと思いますか?」
自分ではわからず、潔く優香本人に確認しようと春人は考えた。
「よくないんじゃないかな……優香ちゃんが直接春人くんに言わないってことは、自分で気づいてほしいと思ってるはずだから」
実際は優香が春人に直接「もう少し積極的になってほしい」と伝えなかったのは陽菜のアドバイスのせいなので、あまり関係はない。
だが陽菜は優香が春人に直接話をして波風が立つのを恐れ、春人を止めた。
「やっぱりそうなんですか……。陽菜さんは思い当たるところはないんですか?」
陽菜は春人に正直に伝えようか迷う。
迷った末、陽菜は春人には直接告げないことに決めた。
しかし、不安げにこちらを見つめる春人に心惹かれて、少し意地悪をする。
「ないことはないけど……春人くんがわたしの言うことを一つ聞いてくれるなら、教えてあげる」
とは言っても教えるつもりはなく、春人でも戸惑うようなお願いをするつもりだ。
「僕はなにをすればいいんですか?」
「春人くんには、わたしの
春人は戸惑った。
陽菜は、狙い通り戸惑っている春人の姿を見て心が満たされた気分になる。
「それは――優香を裏切ることになってしまうので、出来ません」
春人はきっぱりと断る。
陽菜のお願いの内容は伏せるが、もし春人と優香が付き合っていたら浮気と言われるような内容だ。春人は迷うことなく断った。
「じゃあ、残念だけどわたしの思い当たることを話すっていう話はなしで」
「そう、ですね」
春人は落ち込みながらも自分の非を探す。
春人が陽菜のお願いを迷わず断った姿、優香に嫌われまいと必死に思案する姿を見て、陽菜は心を動かされる。
「ごめん、やっぱり話す。ここまで真剣に考えるくらいだから、無理に自分で考えるよりわたしが教えるべきだから」
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