第2話 相談に乗ってやっている風のこき下ろしをする奴~以前の会社の上司・大竹由三~

こいつは最悪。

今までで一番悪質だと個人的には思う。


大竹は私がやっとの思いで内定を取って最初に勤めた印刷会社の上司であるが、

「俺は仕事に厳しい人間だ」と、胸を張ってパワハラをしてくる男だった。


身も心もブタそのもので、大した技量もないくせに職人風を吹かせ、態度だけは人間国宝。


「一を聞いて十を知れ」「仕事は目で覚えろ」などとテレパシー受信能力の習得を強制して、ロクに指導もせずに業務を私に押し付け、失敗すると当然のように新人である私の責任にして怒鳴り散らすクソヤローだ。


そんな仕事の上でも人間的にも全く尊敬できるところのない大竹に私はそもそも自発的に悩みを相談した記憶はない。


ではなぜケースとして取り上げたかというと、面倒見がいい上司であることをアピールしたかったのかどうか知らないが、

「困っていることがあったら言ってみろ」と、こちらが悩んでいるであろうことを白状させたり、困っているであろうことを直接相談してもいないのに返答してきたりしたからだ。


しかし、その返答が半端なくムカつく。


「なぜいつも怒られるかわかるか?怒られることをするお前が悪いからだ」


「わからないわからないじゃない。わからなきゃダメだ!」


「お前の悩みなど大したことはない。世の中お前より苦しい人間などそこら中にいる」


そもそも、相談に対する答えになっていない。


そしてこれだけ頭にくることを言ってきた後には、

「そんなんじゃあお前この先お先真っ暗だぞ、どうすんだお前?まあ知らないけどね」などと結んできたりして、

「まあ知らないけどね」って言うなら、いちいち偉そうに言ってくるな!という感じである。


「お前のためを思って言ってやるけどな、お前もう終わってるぞ」

と言われたこともあるが、これは今思い出しても殺意がしばらく冷めない。

「お前もう終わってるぞ」と言うのがどう私のためになるのか?


厳しいことを言ってるつもりだったのかもしれないが、こちらとしては相談に答えてやってる風のこき下ろしでしかなく、無理やり悩みを言わされた上に奈落の底に落とされたとしか思えなかった。


そもそもあの会社での私の悩みは、大竹というバカが上司であることだったのだ。

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