第4話~刺客現る~②

見事なチームワークだと評価してやりたいところだ。


私たちとは大違いだな。


「それが本当なら、あいつらを分断しないと勝負にならないな」


「ですが、どう分断しますの? こちらの攻撃手段はほぼないに等しいですわよ」



「あいつらを直接狙うんじゃなくて、爆弾とかの罠を置いて誘い込むのはどうだろう?

あいつらを直接対象にしてるわけじゃないから、上手くいくんじゃないかな」


「アナタ、爆弾なんてもってますの?」


「いやないけど」


「では計画倒れですわね」


こいつ、覚えてないな。

この雑居ビルの1階部分がなんだったか。


「ここの一階って酒屋だったよね」


「たしかに……ってまさか、アナタ正気ですの⁉

こんなところで引火させたらお店の人はどうなりますの!

ダメですわ!」


「上がってくる時誰もいなかったから、どうせもうどこかへ避難してるよ。誰だって巻き添えは嫌だし」


窓を開けてあいつらに叫ぶ。


「おーい! そこのバカ二人組! どこ探してんだよ! ここまでおいでー!」


赤井から血の気が引いた……気がした。


「あ、あ、あ……なんてこと……! もうどうなっても知らないですわよ!」


改めて下を見ると、例のテロリストの顔が真っ赤にして叫んでいた。


「トラちゃんを……」


「ふーちゃんを……」


「バカにするなぁーーっ!!」


こいつら煽り耐性なさ過ぎだろ。

……まあその方が良い。


「赤井。後は任せた」


「なんで私がアナタに……。まあ、今は従ってあげますわ!」


「飽くまで狙いは下の酒屋だからね。あいつらを直接狙っちゃいけないよ」


「分かってますわよ!

……あ、あいつらまだ入ってこないんですの?」


外を見ると、ちょうどあいつらがビルへ入ってきていた。


「……来た! よし、今だ! 爆発させろ!」


赤井が火を放つと、ドゥッ! と存外低い音とともに階下が爆発!


これであいつらを分断、あわよくば行動不能にできたらいいのだけれど……。



「やっちゃいましたわ……。これ……誰か一般の方が巻き込まれたんじゃ……」


「今更気にしても仕方ないでしょ。今は自分の命の方が大切だよ」


「そ、そうですけども……」


「とにかく、今のうちに奇襲を仕掛けないと。

また2人一緒になられたら、手も足も出せなくなる!」


しかし、階段は恐らく大火事で降りられない。


となると、どこから降りるか……。

よし、多分裏手にあるであろう非常階段から下に降りよう。


「急ぐよ。この階もいつまで無事かわからないし」


「別に私は炎に焼かれようと問題ないんですけど……。それに」


ガチャリ。

その時、部屋のドアが開いた。


……まだ私はドアに触れてないのに。


……まずい!


「全くー! あんな見え透いた挑発に乗るわけないじゃん」


「ホントホント! バカにしないでほしいよ!」



こいつら……!


まさに今、私が使おうとした非常階段を使って上がって来たのか!


クソっ!


「く、来るなーっ‼」


反射的に発砲する!


……一発がどちらか分からないが髪の短い方、に命中した!


「ふ、ふーちゃん! 大丈夫⁉ しっかりして!」


「大丈夫……! 死にはしない……」


「……こ、この……! 輝木っ! よくもふーちゃんを! 死ね! 死ねよ! お前なんか死んじゃえ!」


ヤバい!


あの銃は鉄製じゃないから奪えない!


撃たれる!


「輝木! こっちですわ!」


弾丸は空中で消滅した。

ナイスだ赤井!


「作戦失敗! 逃げますわよ! ここから下の階に飛び降りますわ!」


「と、溶かしたのか……床を……」


なんと言うバカげた火力。


……まあいいや。

さっさと降りよう。



下に飛び降りたけども。


「うわっ! ダメだ! この階にいたら焼け死ぬ!」


これでは上とどちらが安全か分からない。


「火事に関しては大丈夫ですわ。

私の超能力で炎は退けられますもの。

本当はさっきも言おうとしたのですけれど……。

さあ、階段から下に降りますわよ。

あと、熱気を吸わないよう、しばらく息を止めなさい」


「…………マジか……」


どこまで万能なんだコイツの能力。


作戦の尻拭いをしてもらった形になるが、おかげさまでアイツらの弱点は見えた。


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