第10話
その後、僕は彼から様々な情報を教えてもらったのだが、それは驚くべき内容であった!オランドの正体と彼がこの街に来た目的について............そして、彼の真の目的について知ることが出来たのである! オランドは、双子の弟のリバムが失踪したことに心配していたようで、彼を捜していたのだという。
そして、この街には弟がいる可能性が高いと踏んだオランドは、潜入捜査をしていたのだという。そして、ついにその手がかりを掴んだのが僕であり、それで僕を拘束し尋問したのだった!しかし、彼はすぐに解放してくれた。
「ということは、アリスと別れた原因も弟のことが関係してあるのか?」
僕が尋ねると、オランドは頷いて答えた。「ええ、そうです。............俺は、未だに彼女のことを愛しています。
弟は失踪する数年前に、この街で目撃されていますが、そのすぐ後に戻ってきたんだとか」
それを聞いた僕は、思わず言葉を失くしてしまった。
まさか、そのようなことが起きていたとは、想像すらできなかったのである。
「つまり、弟が消えたことでリバムとして行動し続けなければならないという事情があったのか?」
僕が尋ねると、彼はゆっくりと首を縦に振ってみせた。「はい、そういうことになりますね」
話を聞いた僕は、衝撃を受けたが同時に納得も出来たのだった。リバムとして生きるという選択を強いられたことによって、彼の人生は大きく変わってしまったのだということを、改めて実感したのである。
その後、僕たちはオランドの案内で街を歩くことにしたのだが、そこで目にしたのは奇妙な光景だった............まるで、ゾンビのような人々が街を徘徊していたのだ!人々は虚ろな目をしており、ひたすら歩き回っているだけの状態だったのである。
僕は、嫌な予感を感じながらもオランドと共に調査を続けていくうちに、衝撃的な事実を知ることになるのだった。
そしてそれが、僕たちの旅を大きく変えるきっかけとなったのだ。
僕は、オランドと共に街外れにある丘の頂上付近までやってきたところで、足を止めた。
「そろそろ頃合いか...........すみませんアダルバートさん、逃げてください」そう呟いたオランドは、背負っていた荷物の中から、何かを取り出したのである。
それは、何やら怪しげな色をした液体が入った瓶であった。
彼はその中身を一気に飲み干すと、笑みを浮かべたのである!そして次の瞬間、彼の身体に変化が起き始めたのだった! 彼の身体はみるみる大きく膨れ上がっていき、骨格までもが変形していく様子を目の当たりにした僕は、恐怖に震え上がった。
すると、次の瞬間にはそこには巨大な怪物が誕生したのである!
その怪物は全身が真っ黒な毛に覆われており、鋭い牙や爪を持っていた...........その姿は、まさに獣と呼ぶに相応しい外見をしていた。オランドだったものは、ゆっくりと立ち上がると咆哮を上げながら、こちらに向かって突進してきたのである!僕は慌てて逃げ出すことに成功したものの、相手は諦めることなく追いかけてきたため、必死になって逃げ惑うことになった。
「くそっ!このままだと追い付かれてしまう!」そう叫んだ瞬間に、背後から伸びてきた手が僕の身体を摑み取ったかと思うとそのまま宙へと持ち上げられたのである!僕は必死に抵抗したがビクともしない状態のまま、地面に叩きつけられてしまった!「ぐあっ!」強烈な痛みに襲われながらも立ち上がろうとするが、相手が素早く飛びかかってきて馬乗りの状態になってしまった...........絶体絶命のピンチに陥った僕は、覚悟を決めるしかなかったのである。
それから数分後のこと............気がつくと僕の目の前には怪物の姿は無く、代わりに一人の人物が立っていたのだ。それは、先程見たオランドとは明らかに違っていた。
なぜなら、その人物は僕がよく知っている人物だったからだ!
「どうして、君がここに?」そう口にした瞬間、目の前が真っ暗になったのである。
目が覚めると、そこはベッドの上だった。隣にはアリスの姿があった。「目が覚めましたか?」彼女は、ホッとした様子で話しかけてきたのだが、僕は頭がボーッとして上手く働かなかった。
「あれ?僕はどうしてここに...........」「覚えていませんか?貴方は、森の中で怪物に襲われたのですよ」そう言われて、徐々に記憶が蘇ってきたのだ。怪物に変身したオランドの姿や、戦いの様子を鮮明に思い出したところで、一気に血の気が引いた。
それと同時に、恐怖心が湧き上がってくるのを感じたのである。
その様子を見た彼女は、優しく手を握ってくれたのだった。「大丈夫です。私がついていますから安心してください」そう言って微笑む彼女を見ていると、不思議と心が安らいだような気がした...........。
それからしばらく休んでいると、体調も回復してきたので二人で街に戻ることにしたのだが、途中で僕はオランドに襲われた場所で立ち止まりたいと思い、彼女に提案したのだ。彼女も賛成してくれたので、二人でその場所へと向かうことにしたのである。
到着した後、僕は周囲を見回してみたのだが特に変わった様子はなかった。しかし、一つだけ気になることがあったのだ...........地面に点々と血痕が続いていたのである!嫌な予感を感じながらも、その方向に進んでいくと、そこには謎の男の死体があった! その男は黒いフードを被っており、オランドが着ていた服と全く同じデザインの服を着ていることから、同一人物であることは間違いないと思われた。しかし、男の顔を見ると驚愕した..........それは、先程出会ったばかりのオランドじゃなく、知らない男の顔だったからである!「まさか..........」僕がそう呟くと同時に、アリスも息を呑んだ様子だった。
彼女は険しい表情で、死体を見つめながら言ったのだ。「この遺体は、一体誰のものなんでしょうか?」
彼女がその先を言う前に、僕は決心したのだった。「この男の正体を突き止めるんだ!」そう言って、僕たちは調査を進めることにしたのである。
まずはこの死体が誰なのかを知るために、身元を特定する必要があったため、僕は死体から所持品を確認したのだが、そこには信じられないものが残されていたのだ!それは、怪物になる前のオランドと同じ指輪だったのだ!しかも、その指輪は僕の記憶に残っているものと全く同じであり、それが意味するものは一つしか考えられなかった。
それは、リバムがこの死体を操っていたという事実である。彼は、自分の分身を作り出してその身体を乗っ取ったのだろうか............そう考えると、一つの疑問が生まれたのである。「アリス、君はオランドとリバムの関係について、知っているかい?」
僕が尋ねると、彼女はゆっくりと首を振りながら答えた。「いいえ、存じません。しかしひとつだけ分かることもあります」彼女はそう言うと、死体を見つめながら言った。「この身体の中には、間違いなくオランドさんの魂が存在しています」
彼女の言葉を聞いた僕は、思わず息を呑んだ。それはつまり目の前にいる男は、彼が死んだ後にオランドによって、魂を抜き取られたということである。
その事実を知った僕は、恐怖に震えたが同時に疑問が込み上げてきたのである!「何が起きてるんだ............?」そう呟くと、同時に拳を握りしめる僕に対して、アリスは静かに語り始めた。
彼女は、僕の手を取りながらこう言ったのである。「今は我慢してください。優先すべきことが、あるはずです」その言葉を聞いた僕は、冷静さを取り戻すことができたのだ。確かに、今は感情的になってはいけない状況であるのは、間違いないだろう。
しかし、僕は心の中では気持ちを燃やしていたのだった! それから数日後のこと、僕たちはオランドが暮らしていた家へと向かったのだが、そこで驚くべき光景を目にすることになるとは、思いもしなかった。なんとそこに残されていたものは、血痕だけでありオランドが持ち去ったであろう荷物や装飾品などは一切なかったのだ! 僕たちは驚愕しながらも、周囲を探し回るうちに地下への隠し扉を発見したのである!恐る恐る中を覗いてみると、そこには驚くべき光景が広がっていた。「これは...........」思わず声を出してしまった僕に対して、アリスは静かに告げたのである。「どうやらここが彼の目的地だったようですね」彼女はそう言って、部屋の中に入っていくと机の上に置かれていた写真を見つけたのである! それはリバムの幼少期の頃と思われる写真で、横には家族と思われる人々の姿も映し出されていた。「彼がリバムなのか?」僕が尋ねると、アリスは頷きながら言った。
彼女は真剣な表情を浮かべながら、こう語った。「恐らく...........そうだと思います」それを聞いた僕は、複雑な気持ちに襲われながらも更に先へと進んで行くことに決めたのだ! その後、僕たちはさらに調査を進めると驚くべき事実を発見することになる!
病弱な彼女と僕の生活を スカイ @sky_8u
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