第5話
そして、ついに王宮に着いた僕たちは、扉の前に立ったのである。
するとその時、突然扉が開かれて中から初老の男性が姿を現したのである!彼は王子達の側近で、国王の側近の一人だという。
「ご無事だったのですね............!」
ほっとした彼の顔を見て、こちらも安心した。
そしてとうとう僕たちは、王宮の中に入ることが出来たのである。
王宮に入ると、すぐに執事がやってきて「国王陛下がお待ちでございます」と告げたので、僕らは急いで謁見の間に向かったのだ。
部屋に入ると、そこには玉座に座る国王陛下の姿があった。
威厳に満ち溢れており、僕は圧倒されそうになったが、王子2人とルナとで一緒に跪いたのである。
しばらくすると、静かな口調で話し始めたのだった。
「よくぞ逃げずに戻ってきてくれた。私はそなたに感謝している。皇太子の無礼、誠にすまなかった...........」そして国王陛下は、深々と頭を下げたのだった。
僕は驚いて立ち上がると「国王陛下、頭を上げてください!」と言ったのだった。
それから、国王陛下はゆっくりと語り始めたのである。「私は、そなたに対して厳しく当たってしまったことを深く後悔しているのだよ.........しかし君は、皇太子である前に一人の人間だ。そして、私には親としての立場もあるのだ。私はそなたがもう少し大きくなってからでも遅くはないと思っていたのだが、それでも今決断しなければならんなと考えてな............」
王子はしばらく考え込んだ後、はっきりと言ったのだった。「私は、父上の跡を継ぎたいと思っています。それが、私の宿命なのですから」そう言って、王子は国王陛下をまっすぐ見据えたのだ! すると、国王陛下は微笑みながら言ったのである。「よくぞ決断したな.............これからが大変だぞ!」
そして、僕たちは謁見の間を出たのだった。
その後、王子が正式に次期国王に決まったのであった!
皇太子殿下との謁見も無事に終わり、二人は笑顔で笑い合っていた。
その様子を見た僕は、二人を祝福してあげたいと思ったのだった。
国王陛下と第一王子は和解し、家族みんなで仲良く暮らすようになった。第二王子は、弟の成長を見届けて安心したのか、学院に戻って行ったのだ。そして国王陛下も、また次期国王となった皇太子殿下のために、全力でサポートすると心に決めたのであった! あれから数ヶ月が経ち、国王陛下はそれでもなお、威厳を保ち続ける姿勢には、敬服するしかなかったのだ.............。
国王陛下が見守る中、近々次期国王となる皇太子殿下は立派に成長し、その実力を発揮し始めていた。
そんなある日のこと.............。
ついに、式典が行われる日がやってきたのだ!皇太子殿下が正式に国王となり、国を挙げて盛大に祝われることになったのである。
式典の会場には大勢の人々が詰めかけていた。そしていよいよ国王となったアルフレッド陛下の名が呼ばれると、大きな拍手が巻き起こったのだ!彼は照れ臭そうな表情を浮かべていたが、堂々とした態度で壇上に立ったのだった!そして、遂に即位式が始まったのである。
儀式が終わった後、王宮内では様々な祝賀会が開かれていた。第二王子もこの日ばかりは出席していたのである。僕は、ルナと一緒に会場内を歩いていると、アルフレッド陛下と鉢合わせた。
アルフレッド陛下は、僕に気づくなり話しかけてきたのだ。
「やあ、君はあの時の.............確か、アダルバートだね?」と言うので、僕は慌てて挨拶を返したのである。
そうしたら、彼は「先日の即位式、素晴らしかったよ!君のおかげだね」と労ってくれたのだ。
そして、彼は「また後日、盛大なパーティーを開くから、ルナ嬢と一緒に来たまえ」と誘ってくれたので、僕は喜んで参加することにした。
会場内は、賑やかで華やかな雰囲気に包まれていた。
皆楽しそうに騒いでいる中で、僕もルナと一緒にその空気を満喫していたのだ。
しかし、僕はふと思ったことがあるのだ。何故アルフレッド陛下が僕の名を知っていたのだろうか? と考え込んでいると、ルナが心配そうな顔で「どうかしましたか?」と尋ねてきたので、僕は慌てて誤魔化したのである。「いや、何でもないよ!」と答えたものの、やはり気になって仕方なかったのだ............。
それから、しばらくの間パーティーは続き、ようやくお開きとなったのだが、僕の心は未だに晴れなかったのである。
そこで、僕は思い切ってアルフレッド陛下に聞いてみることにしたのだ!
すると、彼は笑いながら言ったのである。
「君は、王宮内でも良いイメージで、かなり有名だよ」と。
僕は驚いてしまったが、アルフレッド陛下はそんな僕の様子を、面白がるように笑っていたのだ。
彼は、続けて話し始めた。「私は、即位した後も君のことを気にかけているんだよ?君の力は素晴らしいものだ!自信を持つといい!」と言ってくれたのである。
そのお言葉に、僕は感動したのだ。
それからしばらく彼と話をした後、その場を後にしたのだが、その際にもアルフレッド陛下は手を振って見送ってくれたのだった。
翌日、僕は早速仕事に取り組もうとしていたところ、ローネットが訪ねて来てくれた。
彼女は、昨日の出来事を嬉しそうに語ってくれたのである。僕も一緒になって盛り上がると、彼女との友情がますます深まった気がしたのだ。
そんな彼女に「ルナとは最近仲良くしてる?」
と尋ねると、「もちろん!いつも楽しく遊んでるよ!」と言ってくれたので、僕は安心したのだった。
それからも、僕とローネットは一緒に過ごすことが多かったのだが、ある日のこと...........。
ローネットが、こんなことを言い出したのである。「今度、王宮に行ってもいい?ルナと一緒に遊びたいし」と言ってくれたのだ! 僕は喜んで承諾したのだが、どういう風にルナを誘えばいいのか迷ってしまったのである。
そして考えているうちに、あっという間に時間が過ぎていき、夕方になってようやく決心したのだ。
ルナに「明日離れではなく、こちらの方に来ないか?」とお誘いしたのだ。
翌日、僕は緊張した面持ちで待っていると、ドアを優しくノックする音が聞こえてきた。
ドアを開けるとそこには二人の姿があり、僕は思わずほっとして笑みを浮かべてしまうのだった。
そして、早速王宮の中に案内すると、まずは三人でお茶をすることにしたのだ……「王宮内はやっぱり素敵だね!」とローネットが言ってくれたので、僕は嬉しくなった。
それからしばらく雑談をした後、ルナが突然 「ローネットとお話出来て嬉しいわ。アダルバート様、ありがとうございます」と言ったのだ!
彼女は、本当に嬉しそうな表情を浮かべており、僕まで幸せな気分になったのである。
その後僕たちは、料理の準備を始めたのだが、調理室で料理は二人ですることになったのだ。
すると、ローネットは得意のお菓子作りを始め、僕はその間二人で雑談をすることになったのだが、そこで僕はローネットに相談を持ちかけたのである。
「実は、最近仕事のことで悩んでいるんだ............」という僕の言葉に、彼女はお菓子を作りながら、真剣に耳を傾けてくれたのだ。
そして僕は、自分の悩みを全て吐き出したのである。すると彼女は僕に言ったのだった。
「アダルバートさんがお仕事を頑張られるのは、素晴らしいことだと思います!でも、無理はしないように気をつけてくださいね?」
その言葉を聞いた瞬間、僕は心が軽くなった気がしたのだ。
彼女の優しさに触れた僕は、彼女への感謝の気持ちでいっぱいになったのである。
そして次の日から僕は、今まで以上に頑張るようになったのである。
ローネットやルナも応援してくれたので、僕もそれに応えようとより一層仕事に励んだのだ。
すると、次第に成果が出てきて、国王陛下からも褒められることが多くなってきたのだ!
それから数ヶ月後...........僕は、皆にお祝いをしてもらって、その時の喜びは言葉に表せないほどだった。
ローネットとルナもお祝いしてくれたのだが、その時僕が口にした言葉で、ルナを泣かせてしまったのだ。「ありがとう............君がいるおかげで、僕は頑張れたよ」という言葉に、彼女は涙ぐんでしまったのである。
僕は慌てて謝り、彼女の涙を拭いてあげると、ようやく笑顔に戻ってくれた。そしてその後は、楽しい時間を過ごすことができたのだ。
そしてある日のこと、息抜きで王宮の庭園で散歩をしていた僕たちだったが、突然ルナがお腹を押さえながら倒れ込んでしまったのである。
僕はすぐにルナを抱き抱えながら「大丈夫?」と聞いたのだが、返事はなかった...........だが、幸いにも命に関わるような事態ではなかったようで一安心である。しかし、僕はその時初めて気づいたのだ。ルナが本当は辛いのを我慢していたのだということに。
それからしばらくして、彼女は意識を取り戻したのだが、どこか悲しげな表情を浮かべていた。
僕は思い切って彼女に尋ねてみたのだ。「何かあったの.............?」と。すると、彼女は少し躊躇った後、僕に話してくれたのである。
僕はそれを聞いて心配になったのだが、彼女は「大丈夫です!」と力強く言ってくれたので、安心することができた。
しかし、それでも彼女の顔色は良くなかった。きっと無理をしているに違いないだろう............そこで僕は、ある提案をした。それは彼女の肩を、優しくマッサージしてあげることだったのである。
リラックスすれば、症状も和らぐのではないか、そう思ったのだ。
すると、彼女は嬉しそうに微笑んでくれたのだ!
優しく彼女の肩に手をかけてほぐしていくと、かなり緊張状態が続いていたのかこっていた。
そのままゆっくり、丁寧に肩をほぐしていくうちに、徐々に緊張が解けていき、彼女の表情も柔らかくなっていったのである。
その様子を見て僕は一安心し、彼女をベッドまで連れて行き寝かせたのだった。すると、ルナは小さな声でお礼を言ってくれたのだ。
それから数日後、ルナの容態はすっかり良くなっていたのだが、僕がいつものようにローネットも連れてお見舞いに行くと、彼女は元気そうな様子で迎えてくれたのだ!そして僕たちは、最近の出来事などについて語り合ったりしていたのだが、その後しばらくして、僕はあることを思い出したのである。
(確か以前の世界のルルナも、こんな感じだったな............)
と。
そう思うと、自然と笑みがこぼれてしまった。そして、同時に懐かしい気持ちが込み上げてきたのである。
そして、目の前にいる彼女を大切にしようと、改めて心から誓ったのである。
後日、僕は久しぶりに王宮を訪れたのだが、そこで予想外の人物に出会ったのである..........!なんとそれは、かつての婚約者であったアリスだったのだ!彼女は、僕に気づくなり話しかけてきた。「お久しぶりですね、アダルバート様!」「あぁ、久しぶりだね、アリス」僕が答えると、彼女は少し悲しげな表情を浮かべながら言ったのだ。「婚約破棄して以来ですね...........?」すると、僕は慌てて言ったのだ。
「君を傷つけるつもりはなかったんだ、本当にごめん.........あの時は僕もまだ子供だったんだよ」
すると、彼女は優しく微笑み返してくれたのだ。「もう過ぎたことですし、気にしてませんよ」と言ってくれたので、僕はホッとしたのである。
それからしばらく世間話をした後、僕は別れようとしたのだが、突然アリスが僕の手を握ってきたのである。
驚いた僕が彼女を見ると、真剣な眼差しで僕を見つめていたのだ。そして、彼女は一言だけ告げたのだ。
「ずっとお慕いしておりました...........離れてからもずっと」と! その言葉に僕は驚いてしまい、思わずびっくりして固まってしまったのだ
しかし、その後すぐに冷静さを取り戻すと、僕は彼女に言ったのである。「ありがとう、嬉しいよ。でも、すまないけれど君の気持ちは受け入れられない。」
そして僕は、そっと彼女の手を戻したのだ。
すると彼女は再び微笑みを浮かべ、「分かっておりましたわ」と言ってくれたので、僕は内心ちょっと安心した。それから僕はアリスと別れ、王宮を後にしたのだった。
その時、僕の胸の中には申し訳なさなどで、複雑な感情が残っていたのだった。
僕は街を歩いていた時に、偶然ルナに出会ったのである!彼女は笑顔で手を振ってくれたので、僕も振り返したのだが、その瞬間に周囲の人々の視線が、彼女に集まっていることに気づいたのだ。おそらく、ルナの美しさに見惚れてしまったのだろう。しかし当の本人は、そのことにに気づいていないようで、いつものように振る舞っているだけだった。
僕は、そんな彼女に声をかけようとしたのだが、突然後ろから誰かに引っ張られてしまったのである..........。
振り返ると、そこにはアリスがいたのだ!
彼女は「またお会いしましたね!」と言って、僕の手を引いたままである。
僕は困惑していたのだが、ルナがその様子を見てこちらにやってきた。
「アダルバート様!なぜここにいらっしゃるのですか?それと、隣のご令嬢は...........」と尋ねてくるルナに対して、事情を説明しようとしたところだった。
隣にいるアリスは、微笑みながら答えたのだ。
「はじめまして、ルナ様。 わたくしはアリスと申します。アダルバート様とは、仲良しなんですのよ」
そして次の瞬間、僕は驚愕することになる!なんと彼女が、突然僕を抱きしめたのである............。
僕は、驚きのあまり硬直してしまったが、ルナはそれ以上に驚いているようだった。
しばらくして彼女が離れると、彼女は再び微笑みながら言ったのだ。「ごきげんよう」と言って、立ち去ってしまったのである。
その後、しばらく呆然と立ち尽くしていた僕だったが、我に返ると慌てて後を追ったのだった。
そして、アリスの後ろ姿を見つけると、僕は彼女を呼び止めたのである。
「ちょっとアリス、今さっきのは.............」すると彼女は振り返り、微笑みながら言ったのだ。「ルナ様、驚いていらっしゃいましたね」と。
そして、続けて僕に言ったのだ。「お伝えしておりませんでしたが、私はまだ諦めていませんわよ?」
僕は、動揺しながらも必死に冷静さを保ち、彼女に尋ねたのである。「どうして、そこまでして僕のことを............?」すると、彼女は微笑みながら答えたのである。
「貴方のことが、好きだからですよ!」と。
その日から、アリスは頻繁に僕に会いに来るようになったのだが、そのたびに周囲からの視線を集めてしまっていた。
特にルナは、嫉妬心からか怒りの表情を露わにしており、アリスが話しかけようとする度に、遮ったりしていたのだ。その様子に、アリスも苛立ちを覚えたのか、次第にルナに対して冷たく当たるようになっていったのである。
ある日のこと、いつものように王宮でお茶をしていると、ルナがやってきて言ったのだ。「アダルバート様、今日のところは失礼させていただきますね」どうやら用事があったようで、急いで出て行ってしまったのである。
僕は、慌てて彼女を追いかけていったのだが、結局追いつくことはできなかったのだ...........。
それから、しばらくしてルナは行ってしまったのだが、僕はずっと彼女のことが気になっていたので、庭園へ向かうことにした。
............何とそこに居たのは、アリスだったのである。彼女は僕を見つけるなり話しかけてきたのだ。
「あら、アダルバート様ではありませんか!」と言う彼女の目は、笑っていなかった。明らかに、敵意を込めた視線を送られていたのだ。
僕は驚きつつも、彼女に尋ねたのだ。「どうしてここに...........?」すると、彼女は微笑みながら答えたのである。
「私が、ここにいてはいけない理由でもあるんですか?」と。僕は答えに窮してしまったが、なんとか話題を逸らそうと試みたのである。
だが、それは失敗だったようである。アリスが、突然僕に近づいてきたかと思うと、不敵な笑みを浮かべたのである。
そして、彼女は何も答えずにそのまま立ち去っていったのである。
その日からというもの、アリスは毎日のように僕に会いに来るようになった。彼女の態度は、明らかにおかしいものであり、まるで僕を狙っているかのような視線を投げかけてくることが、多くなったのだ。
その度に、ルナは不機嫌になっていたのだが、僕は必死に耐えていた。
しかしある日のこと、ルナが僕に会いに来てくれたのである!嬉しそうに微笑む彼女を見た僕は、安堵し、思わず彼女の手を握りしめてしまった。
その瞬間に、彼女の表情が一変したのだ!なんだか悲しそうな表情をして、こう呟いたのだ。
「アリスさんと、上手くいっておられますか?」そういった後、彼女は逃げるように去っていってしまったのである。
その日からというもの、僕らは距離を置くようになってしまった............何故こんなことになったのか分からずに、困惑したまま時間だけが過ぎていった。
そんなある日のこと、王宮を訪ねるとアリスが待ち構えていたのだ。そして、僕を見るなり微笑んで言ったのである。「少し、お話よろしいですか?」と。僕は戸惑いながらも、彼女と一緒に庭園へ行くことにしたのだが、そこで彼女が後ろを振り返って口を開いた。
「中々振り向いてくださいませんわね」
彼女は、少し悲しげに微笑みながら続けたのだ。「貴方のことがこんなにも好きなのに...........」
その言葉を聞いた瞬間、僕は頭の中が真っ白になってしまった。
確かに好意は嬉しいが、僕にはルナがいるのだ。彼女がいるのに、アリスの思いを受け入れることはできない。
僕は決意を固めると、彼女に向かってはっきり告げたのだ。「ごめん、何度も言うようで悪い。君の気持ちは嬉しいけれど、僕にはもうルナがいるから...........」と。それを聞いたアリスは、深くため息をついていた。
「............わかりましたわ、ここまで告白してもなびかないのなら、本当の愛ですわね」
彼女はそう言って立ち去ろうとしたが、何かを思い出したかのように、こちらを振り返って言ったのだ。
「そう言えば、最近ルナ様が私の元を訪ねてきましたよ」と。僕は驚きつつも、彼女の言葉に耳を傾けるのだった。
「どうしてだ?どういう用件で?」
慌ててそう彼女に聞くと、訝しげな目を僕に向けながら話した。
「アダルバート様は、女心というものがわからないのかしら.............振り回してごめんなさいね、ごきげんよう」
彼女はそう言い残し、立ち去っていったのだった。
それからしばらくして、ルナが僕に会いに来てくれたのだ。そして、開口一番に彼女はこう言ったのである。「アリスさんとは、どのような関係なんですか?」と。僕は驚きつつも、質問に答えたのだ。
「別になんでもないよ」と答えると、彼女は嬉しそうに微笑んでいたのだった。
しかし僕が去ろうとすると、彼女は僕に近づいてきて言ったのだ。
「アダルバートさん...........最近、アリスさんと仲良さげでしたから、少し不安で」
と。
僕は、彼女の手を握りしめながら言ったのだ。「..............不安にさせてしまってごめんね、でも僕は君のことを愛しているから」
その言葉を聞いた彼女は、嬉し涙を流しながら僕の胸に飛び込んできたのである。
あれから数日後のこと、ルナが王宮に姿を見せなかったのだ。心配になったので、探しに行こうとしたのだが、そこでローネットさんとたまたま鉢合わせをしたのだ。
「あら、アダルバート様!ルナに会いに来たのだけれど、留守にされてるのかしら?せっかく、美味しいお菓子を焼いてきたのだけれど............」
そう言われて彼女の手元を見ると、かごの中にたくさんの美味しそうなアップルパイが入っていた。
「実はそうなんだ、ローネットさんのお顔を見たら元気も出ると思うんだけど。」
そう言って少し落ち込んでみせると、ローネットはにこにこしながら言ったのである。「ルナがいないなら仕方ないですね..........アップルパイももったいないし、せっかくなのでご一緒いたしませんか?アダルバート様は、アップルパイお好きだったかしら?」
僕は、微笑みながら言った。「はい、結構ルナも作ってくれるので、大好物なんです。」
すると、ローネットさんは嬉しそうに微笑んでいた。
それから紅茶を飲みながら、ローネットさんが持ってきてくれたアップルパイをいただきながら、しばらく話をした後、彼女は驚きを隠せない様子だった。
「その元婚約者のお相手、すごいインパクトの方ですね...........」
僕は、苦笑いしながら答えた。「まあ、その件に関しては、僕もびっくりしましたよ」
ローネットは、興味津々といった様子でさらに話してきたのである。
「でも、なんだか面白そうなお方ですね!お知り合いになれる機会があればいいのですけれど...........」と。
「すごい子だからどうだろう、ローネットさんは誰とでも仲良くなれそうだから、大丈夫なのかな」
素直な気持ちを打ち明けると、彼女は笑いながら言ったのだ。
「そんなことありませんよ!でも、仲良くなれるチャンスがあったら、ぜひお会いしてみたいですわ」と。
それから、しばらく彼女と談笑していたのだが、結局ルナは帰って来なかったのだ...........。心配になったので、ローネットさんに別れを告げた後、僕は王宮の庭園へ向かった! 彼女の姿を探すように庭園を歩き回ったのだが、どこにも見当たらない........不安を感じつつ歩いていると、そこで見つけてしまったのだ。
ベンチに座った状態で、眠っているルナの姿を............。
そんなルナの隣にはアリスの姿があり、彼女は真剣に本を読んでいた。
僕が近づいていくと、二人は驚いて顔を上げてこちらを見てきた。しかし、アリスは少し哀しげな表情をした後、そのまま本に視線を戻してしまった……
二人に近づくと、ルナに話しかけたのだ。「どうしたんだ?どこか具合でも悪いのか?」と。すると、彼女は弱々しい声で答えてくれたのだ。
「いいえ、大丈夫よ.........ただちょっと、寝不足なだけよ.........」
それを聞いて、僕は心配になってしまったので休むように勧めると、彼女は素直に従ってくれたのだ。
「もしかして、アリスがルナの様子を見ていてくれたのか?」
本を読んでいる彼女を見つめると、アリスはすました顔でこう答えた。
「視界の中に、たまたましんどそうな彼女が映ったので、ここで休むように話したんです。」
そうだったのか..........、アリスは根が優しい子だから、確かにその行動はおかしくはない。
「ありがとう、アリス」
僕がお礼を言うと、アリスは耳を赤くしながら「当然ですわ」と言ってのけた。
そして、立ち上がって僕の方を見ながら言ったのだ。「私もそろそろ帰らないとね」と言うと、ルナは悲しげな表情で言ったのだ。「もっと休んでいけばいいのに...........」と。
そして、帰り際に彼女の方から僕に向かって話しかけてきてくれたのだ!
どうやら、僕の心配もしてくれていたらしい。
うん、やっぱり優しい子だ。
その日の夜、1人でゆっくり紅茶を飲んでいた時のことだった。
唐突にドアが開いて、ルナが入ってきたのだ。
「アダルバート様!お願いがあるんです...........!」
何やら、深刻そうな表情を浮かべている彼女に、僕は紅茶を勧めながら答えた。「どうしたの?何かあったのかい?」と。彼女は紅茶を一口飲むと、深呼吸をしてから話し始めたのだ。
「実は私、最近ずっと夢に悩まされているのです.............」と言った。
その話を聞いて驚いた僕は、彼女に詳しく尋ねたところ、どうやら毎晩不思議な夢を見るらしいのだ。
しかも、その夢の内容は日々変化しており、悪夢になることもあれば、いい夢になることもあるというのだ。
僕は話を聞き終わると、彼女を安心させるように微笑んで言った。
「僕が君のことを守るから、安心してね」と。すると、彼女は嬉しそうな表情を浮かべて、言ったのである。
「本当にありがとうございます..........!アダルバート様」と言って、僕に抱きついてきたのだ!
そして僕のことをじっと見つめてきたのだが、その目はどこか寂しげで、今にも泣き出してしまいそうなほどだった。
僕は、そんなルナを抱きしめながら言ったのだ。「大丈夫だよ、絶対に君を守るから」
と。
ルナは嬉しそうな表情を浮かべると、僕に寄り添ってきた。
しばらくそうして時間を過ごした後、彼女は帰っていったのだ。そして、僕は彼女のために何をすべきかを、考えることにしたのである...........。
次の日から、僕は彼女を守ることに専念することにしたのだ!彼女から目を離さずに、常にそばにいるようにした。
すると、次第に彼女の表情が明るくなり始めたのである。
その様子を見守っていた、ローネットさんも嬉しそうだった。
しかし、まだ完全に治ったわけではなかったため、不安は残っていたのだが、それでも少しずつ良くなっているという実感が、湧いてくるようになっていたのである。
そんなある日のことだった、ルナが久しぶりにアリスの元を訪れたのである。二人は会話を交わしており、その様子はとても楽しそうであった。
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