第4話
しばらくした後、僕たちは自然と距離を置いていた。お互いに顔を赤くしていた僕達だったが、ルナが先に口を開いたのだ。「アダルバート様..........その、いきなりだったので驚きましたが............」と言った後に、彼女は少し恥ずかしそうな表情で言ったのだ。「嫌ではなかったですよ」と小さな声で呟くように言う彼女に対して、僕は「それなら良かったよ」と笑顔で返したのだが、内心では嬉しさと恥ずかしさが入り混じっていた。
こうして、2人の新婚旅行は幕を閉じた。帰りの船の中でルナは僕に寄り添いながら眠っていたので、僕もそのまま寄り添って眠りにつくことにした。
到着するまでの間、彼女を抱き寄せて一緒に幸せな夢を見ていたのである。
やがて乗り場に到着した時、楽しい記憶で少し余韻が残っており、ちょっぴり切なくなった。
ルナと王宮に戻ると、メイドや執事にお土産を配っていくことにした。
お土産はアルカナ島の名産品である、フルーツを使ったお菓子だ。王室の料理長に教えてもらったおすすめの店を教えてもらったので、2人で買いに行ってきたのだ。「みんな喜んでくれると良いな」と言って微笑むルナに対して、僕も微笑みながら頷いたのである。その後、国王陛下や王妃様達にも配ると、大喜びしてくれたのだ!
翌日からは、またいつも通りの日常が始まったが、変わったことと言えばルナとの関係だった...........彼女は、以前よりも積極的に感情表現をするようになったのである。
朝起きると、おはようと言って目覚め、朝食も一緒に摂り、その後暇があると、一緒に勉強したり散歩をしたりするようになった。(愛おしい日々だなぁ...........)と思いながら、僕は彼女と一緒に過ごす時間を大切にしていたのだ。
そんなある日のこと、僕はルナに話があると言われ、彼女の部屋へと向かったのである。
コンコンッと扉をノックすると、中から返事が聞こえたので部屋に入ると、そこには白いワンピースのルナの姿があった
なんだろうと疑問に思い用件を聞くと、彼女が語り出したのだ。「実はですね........その.........最近アダルバート様が私のために頑張ってくれている姿を見ていると、私も何かお手伝いできないかなと思って............」と言った後で、彼女は顔を赤くしながら俯いたのだった。
そこで僕は、思い切って聞いてみることにしたのだ。
「ルナはどうしたい?」と聞くと、彼女は小さな声で答えた。「私は、もっとアダルバート様のお役に立ちたいです!」と言うので僕は微笑みながら言ったのだった。「ありがとう」と。
そして僕は彼女にお願いした。「じゃあさ、今度から手伝いでもやってみるかい?」
すると、彼女は驚いた様子で言ったのだ。「私がですか!?」と言うので、僕は大きく頷きながら答えた。すると彼女もやる気が出たようで、笑顔で了承してくれたのである。
翌日から、ルナは僕の傍で仕事を手伝うようになったのだが、まだ慣れないことが多くあるようだったので、少しずつ指導していくことにしたのである。そして、徐々にできることを増やしていきつつ、彼女の成長を見守ることにしたのだ!
ある日のこと、ルナが僕に話しかけてきた。「アダルバート様、一つお願いがあるのですがよろしいでしょうか?」と言うので、僕は彼女の話に耳を傾けることにした。すると、彼女はこんなことを言い出したのだ。
「あっそうだ!今度、王室主催のパーティーが開催されることになりましたよね?そこで、アダルバート様と私のドレスを、作らせてくれませんか?」と言ったのである!
(えっ!?すごいな)と驚きつつも、僕はすぐに了承した。
(ついにこの時が来たか...........!)と思いながら。
早速、ルナは準備に取り掛かったのであった。
それから数ヶ月後、僕とルナの結婚を祝うパーティーが行われた。
皆が笑顔で祝福してくれる中、僕も幸せな気持ちで満たされていた。愛する人と結ばれたことが、何よりも嬉しかったからだ。
参列者には、お互いの家族や友人などがいた。
特にルナのこま両親は温かく迎えてくれて、ルナが僕と結婚したことを、とても喜んでくれた。(本当に良かった.............)と思いながらも、僕は彼女に感謝の気持ちを込めて微笑むと、彼女も幸せそうに微笑んでくれたのである。
「アダルバート様、おててを貸してください。」
そう言って、彼女が差し出した手を取った僕は、彼女の薬指に指輪をつけたのだ!
そして彼女も、同様に僕の指に指輪をつけてくれた。それは、僕が彼女にプレゼントしたものだった。(綺麗だな............!)と思いながら、見つめていると、彼女が僕の手を握って言ったのだ!「大切にしますね」と
その一言で、僕は胸がいっぱいになった。(幸せだなぁ.............)と感じながら、僕は再び涙を流してしまった。すると、彼女はそっと抱き寄せてくれ、頭を優しく撫でてくれたのである。そんな彼女の優しさに触れながら、僕は改めて彼女への愛を深く感じたのであった。
(ずっと一緒にいたいな)と心の中で誓いながらも、ルナを抱きしめ続けたのである。
そんな中、1人外を見つめている男性がいた。
いつかの時に顔合わせをした、ルナの元婚約者であるアレクサンドルだ。
「アダルバート様、今日は素晴らしい結婚式ですね」
ケーキを切り分けた後に、彼は僕に話しかけてきた。
「はい、ありがとうございます。 ..............あなたがいらして、ルナも喜んでいることでしょう」
僕もそう返すと、彼は静かに微笑みをたたえた。
そして軽く会釈をして、立ち去っていってしまった。(あれ?)と思いながらも、僕は彼の背中を見送ります。(一体どうしたんだろう?)と考えていると、ルナが近づいてきました。
「アダルバート様、アレクサンドル様と何かお話されていたのですか?」と聞いてきたので、僕は素直に頷いた。すると、彼女は少し困ったような表情を浮かべたが、すぐに笑顔に戻った。どうやら、何か事情があるようだが、今は聞かないことにしておこうと思い、僕はケーキを一口食べた。
すると、ルナも自分のケーキを食べ始めた。(あぁ............かけがえのないことだな)と思いながら、僕は彼女を見たのだった。
最後のスピーチでは「ここにいる皆さまのおかげで、こうして僕たちは幸せな1日を過ごせました」と、締めくくる事にしたのである。
「アダルバート様、いつも私の傍にいてくださってありがとう御座います。」と言って彼女は微笑んだのだ。それに対して、僕も微笑み返すと言ったのだった。「こちらこそ、君がいてくれて本当に良かったと思っているよ」と。
その後、僕たちは結婚式の余韻に浸りながらゆっくりと時間を過ごしていた。
窓から差し込む夕日の光に包まれていると、不意に彼女が僕に寄り添ってきた。そんな彼女を優しく抱きしめながら、僕は心の中で誓った。(これから先もずっと一緒だ)と
ルナは僕の腕の中で、幸せそうな笑みを浮かべながら目を閉じていた。
一方その頃、そんな2人の様子をこっそり見守っていた執事とメイド長は、顔を見合わせて微笑んだのだ。「アダルバート様、本当に幸せそうですね!」と、嬉しそうな表情を浮かべながら言うメイド長に対し、「そうだね。ルナ様もお幸せそうだし、本当にお2人が幸せになれて良かったです」と、安堵の表情を浮かべる執事であった。
結婚式から数ヶ月後、僕たちは新婚旅行に来ていた。行き先は、僕たちの思い出の場所であるアルカナ島である。
最初は不安だったルナも、今ではすっかりと慣れてくれたようだった。
到着すると、早速アルカナ島でのデートが始まった。最初は緊張していた彼女も、徐々に笑顔を見せてくれるようになり、一緒に浜辺を散歩したり貝殻を拾ったりしながら楽しんでいたのだ。
朝から天気もよく、海で泳いだりしながら彼女との時間を楽しんでいたのだが、夕方頃になると少し疲れてしまったようで、休憩することにしたのだ。ホテル内にある、プールサイドにあるデッキチェアに寝転びながら、ゆったりとした時間を過ごしているルナを見つめながら、僕は微笑んでいた。
すると彼女も僕に気づき、微笑みながら言ったのだ。「アダルバート様、どうしたんですか?」と。
僕は、素直に思ったことを彼女に伝えた。「いや.............やっぱりルナはいつ見ても可愛いなあって思って.............」
すると、彼女はその言葉を聞いて照れながらも、嬉しそうに微笑んだのであった。
そんな彼女を見つめながら、僕は改めて幸せを感じたのであった。
それからしばらくの間、2人で夕日を眺めながらゆっくりと過ごしていたのだが、ふと彼女が話しかけてきた。「アダルバート様............そろそろ、お部屋に戻りませんか?」と言ってきたので、僕は彼女と一緒に部屋に戻ることにした。
部屋に入ると、すぐに夕食の時間になったので、僕たちはレストランへと向かうことにしたのだ。席に着くと、早速料理が運ばれてきたので、2人で美味しく頂くことにしたのである。
自国とはまた違った料理のテイストで、感動したものだ。
そして食後、しばらくしてからデザートが出てきたのだが、それがまたとても美味しかったのであった。
(これがきっかけで、ルナは甘いものが好きになってしまったんだっけ............)と思い出しながら、僕は彼女に話しかけた。
「ルナ、今日はありがとう。とても素敵な旅行だったよ」と言って微笑むと、彼女も笑いながら答えた。「私もです!アダルバート様と出会えて、本当に良かったです!」と。
2人で談笑しながら、楽しい時間を過ごしていた僕たちだったが、気づけば夜遅くなっていたので、部屋に戻ることにした。部屋に入ると、既にベッドが用意されていたので、僕たちはそれぞれ自分のベッドに横になった。
明日はどこに出かけようかなぁ、そんなことを思いながら、眠りについたのであった。
翌日、目が覚めると隣にはルナの姿があった。どうやら先に目を覚ましていたようで、彼女はまだ眠っていたのだ。彼女の寝顔はとても可愛らしくて、いつまでも見ていたいくらいであった。「アダルバート様............?」と突然声をかけられて、僕は驚いたが、すぐに笑顔になった。どうやら、起こしてしまったようだと思ったのだが、ルナは目を閉じたまま静かに微笑んでいたのである。
(本当に可愛いな.............)と思いながらも、眺めているうちに段々と愛おしさが増してきたが、急いで顔を洗ってすっきりした。
それから朝食を食べ終えてから、出発の準備をしていると、ルナが話しかけてきた。「アダルバート様、今日行きたい場所はありますか?」と聞かれたので、僕はすぐに答えた。「アルカナ島をもっと散策したいかな?まだまだ見ていない場所も、あるからね!」と答えると、彼女は嬉しそうな表情を浮かべて言った。「私も、同じことを考えていたんですよ!早速行きましょう!」と言って、僕の手を掴んだルナと一緒に部屋を出た僕は、彼女と手を繋ぎながら歩き出したのである。
こうして、2人きりの新婚旅行が再び始まった。
最初に向かった先は、アルカナ島の有名な観光スポットの一つである「天空の鏡」だ。この場所には、美しい景色が広がっているだけではなく、天気が良い日には青空や雲海を見渡せる絶景スポットとしても有名であり、多くの観光客が訪れる場所でもあった。早速中に入ると、周り一面に広がる鏡のような景色に圧倒された僕たちは、しばらくの間無言で立ち尽くしていた。そして、ふと我に帰った僕はルナの方に目を向けると、彼女は静かに微笑みながら僕を見つめていた。
その眼差しは、とても温かくて優しかった............そんな彼女の顔を見た瞬間、僕の心拍数は一気に跳ね上がった。
僕は、自分の想いを伝えたいと思った時には、既に身体が動いていた。
気がつくと、彼女の頭を撫でていたのである。
そして彼女は驚きながらも、静かに受け入れてくれたのだった。
しばらくした後、僕たちは自然と距離を置いていた。お互いに顔を赤くしていた僕達だったが、ルナが先に口を開いたのだ。「アダルバート様..........その、いきなりだったので驚きましたが............」と言った後に、彼女は少し恥ずかしそうな表情で言ったのだ。「嫌ではなかったですよ」と小さな声で呟くように言う彼女に対して、僕は「それなら良かったよ」と笑顔で返したのだが、内心では嬉しさと恥ずかしさが入り混じっていた。
こうして、2人の新婚旅行は幕を閉じた。帰りの船の中でルナは僕に寄り添いながら眠っていたので、僕もそのまま寄り添って眠りにつくことにした。
到着するまでの間、彼女を抱き寄せて一緒に幸せな夢を見ていたのである。
やがて乗り場に到着した時、楽しい記憶で少し余韻が残っており、ちょっぴり切なくなった。
ルナと王宮に戻ると、メイドや執事にお土産を配っていくことにした。
お土産はアルカナ島の名産品である、フルーツを使ったお菓子だ。王室の料理長に教えてもらったおすすめの店を教えてもらったので、2人で買いに行ってきたのだ。「みんな喜んでくれると良いな」と言って微笑むルナに対して、僕も微笑みながら頷いたのである。その後、国王陛下や王妃様達にも配ると、大喜びしてくれたのだ!
翌日からは、またいつも通りの日常が始まったが、変わったことと言えばルナとの関係だった...........彼女は、以前よりも積極的に感情表現をするようになったのである。
朝起きると、おはようと言って目覚め、朝食も一緒に摂り、その後暇があると、一緒に勉強したり散歩をしたりするようになった。(愛おしい日々だなぁ...........)と思いながら、僕は彼女と一緒に過ごす時間を大切にしていたのだ。
そんなある日のこと、僕はルナに話があると言われ、彼女の部屋へと向かったのである。
コンコンッと扉をノックすると、中から返事が聞こえたので部屋に入ると、そこには白いワンピースのルナの姿があった
なんだろうと疑問に思い用件を聞くと、彼女が語り出したのだ。「実はですね........その.........最近アダルバート様が私のために頑張ってくれている姿を見ていると、私も何かお手伝いできないかなと思って............」と言った後で、彼女は顔を赤くしながら俯いたのだった。
そこで僕は、思い切って聞いてみることにしたのだ。
「ルナはどうしたい?」と聞くと、彼女は小さな声で答えた。「私は、もっとアダルバート様のお役に立ちたいです!」と言うので僕は微笑みながら言ったのだった。「ありがとう」と。
そして僕は彼女にお願いした。「じゃあさ、今度から手伝いでもやってみるかい?」
すると、彼女は驚いた様子で言ったのだ。「私がですか!?」と言うので、僕は大きく頷きながら答えた。すると彼女もやる気が出たようで、笑顔で了承してくれたのである。
翌日から、ルナは僕の傍で仕事を手伝うようになったのだが、まだ慣れないことが多くあるようだったので、少しずつ指導していくことにしたのである。そして、徐々にできることを増やしていきつつ、彼女の成長を見守ることにしたのだ!
ある日のこと、ルナが僕に話しかけてきた。「アダルバート様、一つお願いがあるのですがよろしいでしょうか?」と言うので、僕は彼女の話に耳を傾けることにした。すると、彼女はこんなことを言い出したのだ。
「あっそうだ!今度、王室主催のパーティーが開催されることになりましたよね?そこで、アダルバート様と私のドレスを、作らせてくれませんか?」と言ったのである!
(えっ!?すごいな)と驚きつつも、僕はすぐに了承した。
(ついにこの時が来たか...........!)と思いながら。
早速、ルナは準備に取り掛かったのであった。
まずは、デザインを決めるために、2人で相談しながら決めたのである。そして、生地選びではアルカナ島でも有名な布問屋から取り寄せたり、デザイン画を描いたりして、準備を進めていった。
そしてついに、当日がやってきたのである。
パーティー当日、会場には多くの人が集まっており、国王陛下や王妃様達の姿もあった。
僕達も招待されており、着飾った姿で出席しているのだ!僕は白を基調としたタキシードで、ルナは水色を基調としたドレスを身に纏っており、2人ともとても似合っていた。
そんな僕たちのもとに、国王陛下がやってきた。「2人とも、よく似合っているじゃないか!」と言って褒めてくださったのだ。
「お褒めいただき光栄です。」
それから、しばらく会場を回っていると、ルナが突然口を開いたのである!
「アダルバート様、私達も踊りませんか?」と提案してきたので、僕は笑顔で了承したのだった。そして、ルナの手を取ってホールの中央へ移動すると、音楽が流れ始めたのだ!最初はぎこちなかった動きではあったが、次第に慣れてくると自然と踊れるようになったのである。
(楽しいなぁ.............)と思いながら、僕たちは時間を忘れて踊り続けたのだった。
やがてパーティーも終盤に差し掛かり、そろそろお開きにするかという流れになった時、僕とルナは国王陛下から呼ばれたのである。
何事かと思いながら、向かった先で告げられたのは、思いもよらない言葉だった。「2人ともよくやってくれた!私は非常に満足しているし、感謝している!」そう言って、労ってくださったのだ!
そして、なんと僕たちを王室専属のデザイナーとして迎え入れたいというお話だったのである。
突然の申し出に、驚きを隠せなかった僕だったが、国王陛下は続けて言った。「返事は急がなくてよい。ゆっくり考えてから決めてほしい」と。
そう言って、国王陛下は立ち去って行ったのだった.............。
残された僕たちは、しばらくその場に立ち尽くしていた。すると、ルナが口を開いたのである。「アダルバート様、これからどうしますか?」
(突然言われてもなぁ..........気持ちの整理もしたいしなぁ)と思いながら頭を抱えている僕をみかねて、彼女は僕に微笑んで言ったのである。「私はアダルバート様についていきますよ」と。
その言葉を聞き、僕は嬉しくなって思わず抱きしめた。
こうして僕たちは新たな一歩を踏み出したのだった。
ルナと一緒に過ごす日々は、より楽しいものになっていったのだ。
そんなある日のこと、僕は彼女を連れてある場所へ向かったのであった。そこは、王宮から少し離れた場所にある森で、自然豊かな場所であったのだ。森の中を散策していると小川が流れていたので、そこで休憩することにしたのだ。そして、しばらく話をした後で、僕らは手を繋いで歩き出したのである。
すると、ルナが突然立ち止まって言った。「アダルバート様、私、デザイナーやってみたいです!」
突然の告白に驚いてしまったが、僕は静かに頷いて承諾したのである。
そしてら彼女をの夢を応援することを決めたのである。
「ルナなら大丈夫、そばでずっと応援しているよ」
ルナはその言葉を聞いて、満足そうに決意を固めたようだった。
それから、数日が経過したある日のこと、国王陛下から呼び出された僕たちは、王室へと足を運んだのである。部屋に入るとら国王陛下の他に王妃様や大臣たちの姿があったのだ。
彼らは、僕たちを見るなり笑顔で出迎えてくれたのである
一体どういうことなのだろう?と戸惑っていると、王妃様が口を開いた。「実はね............、貴方の才能を見込んでお願いがあるのよ!」と言われたので僕は更に困惑してしまったが、話を聞くうちに段々と理解していったのだ。
それは、国王陛下の肖像画を描いてほしいということだった!しかもただの肖像画ではなく、ルナがデザインした衣装を身に纏った姿を、描いてほしいとのことだった!
(えっ!?それってつまり..............)と思いつつも、僕は引き受けることにしたのである。
それから数日後、本格的にルナは衣装作りに力を入れるようになった。
デザイン画を描き、素材を集め、裁縫も始めたのである。そして、ついに完成した衣装を試着してみることになったのだ! 僕は、ドキドキしながら見守っていたのだが、国王陛下が身に纏った姿を見て思わず見惚れてしまったのだ。
(すごい、綺麗だ..............)そう思いながら見惚れていると、彼女は恥ずかしそうに頬を赤らめながらも、照れたような笑顔を見せてくれたのだ。
その後も、彼女は様々な衣装を考案しながら、デザイナーとしての才能を開花させていったのである。
そんなルナとの日々は楽しいものだが、時折不安に思うこともあった。
というのも、最近の彼女が妙に不思議に感じる時があるのだ。
(..............もしかして、何かあったのだろうか?)と心配になることもあったが、本人に尋ねても教えてくれなかったのである。
(本当に大丈夫なのだろうか?)
そんなことを考えていたある日のこと、ルナが僕に話しかけてきたのだ。「アダルバート様、今度一緒にお買い物に行きませんか?」と言われたので、僕は迷わず承諾した。
そして数日後の朝、待ち合わせ場所である城門の前に行くと、既に待っていた彼女がいたので、慌てて駆け寄ると、笑顔で出迎えてくれたのである。 それから、僕たちは街中へと出かけて行ったのだが、ルナは終始ご機嫌な様子で楽しそうにしていた。僕はそんな彼女の様子を見て安心しながらも、彼女の行きたい場所についていくことにしたのだった。
それからしばらく経ったある日のこと............王宮内では、大きな事件が起きていたのである。
国王陛下のご子息であり、次期国王と目されている王子が、行方不明になったのだ。
既に、捜索隊を派遣したものの見つからない状況が続いていた。
そして遂には「ルナがどこかに行ってしまった」という噂も流れ始めたのだ。その噂を聞きつけた大臣たちが、調査に乗り出した結果、あることが判明したのである。
なんと行方不明となったのは王子だけでなく、ルナもまた姿をくらましていることが判明するのは、その時の僕はまだ知らなかった。
その日の夜、国王陛下が王宮に集められた。そして、告げられた言葉は衝撃的なものだったのである!なんと、ルナも行方不明になったというのだ。
国王陛下は、悲しみを隠し切れない様子でありながらも、僕に言った。「アダルバートよ、ルナ嬢と我が息子の捜索を頼む............そして、無事保護することができたならば、2人と共に戻って来てほしい............」と懇願されたので、僕は力強く頷いたのだった。
それから間もなくして、僕はすぐに行動を開始したのだ。
まずは協力者を探すことにしたのだが、真っ先に浮かんだのは、ルナの親友であるローネットであった。彼女の協力を得ることができれば、捜索がスムーズに進むと思ったからである。
早速僕は、ローネットに会うために町へ向かうことにした。
町の広場の一角で座っていると、程なくして彼女が現れたのである。
「アダルバートさんじゃないですか?一体どうしたんですか?」と尋ねてきた彼女に事情を説明すると、彼女は心配そうな表情になったが、すぐに冷静さを取り戻した様子で僕に尋ねたのである。「私もら一緒に探させていただけませんか?困っている人を、見過ごすことは出来ませんから」と言って手を差し伸べてくれたのだった...........僕はその手を取って、握手を交わしたのである。
それから僕たちは、手分けして町中を探し回ったが、手がかりは見つからなかった。するとその時、ローネットが突然声を上げたのだ。「アダルバートさん............あの子です!」彼女が指さす先を見ると、ルナの姿が見えたような気がしたのだ!僕は慌てて追いかけたが、途中で見失ってしまったのである。
結局、その日は見つけることができなかった.........仕方なく宿に戻ることにしたのだが、そこで思わぬ出来事が起きたのである!
なんと、ルナと第一王子が一緒にいるではないか。
僕は思わず声をかけようとしたのだが、何と「見つけたぞ!!!」と第二王子までもが、現れたのである。
どうやら彼らは、何か重要な話をしているようだったので、しばらく様子を見ることにした。
そして、彼らの会話の中で驚くべき事実が発覚したのである。
何と王子が行方不明になったのは、第一王子の仕業だったというのだ。
そしてルナの目的は、第一王子が国王への引き継ぎが嫌で仕方がないので、息抜きに遠くの街へ連れ出したというのだ。
それを聞いた瞬間、僕は衝撃を受けたと同時に、切なさが込み上げてきたのだ。
ローネットは、険しい表情を浮かべてこう言った。
「アダルバートさん、どうしますか?」と。
僕はしばらく考えた後、はっきりと告げたのである。
「彼らを、無事に連れて帰ろう」
そして、僕らは動き出すことになったのだ。
王子を王宮に連れ戻し、そしてルナを救うために!
「すみません、ご無礼を承知でお聞きするのですが、皇太子殿下ですよね?国王陛下がお待ちしておりますよ」
僕が現れてそう言うと、皆はぎょっとした目で驚いていたが、第一王子は悲しそうな顔をしている。
「.............帰ってしまったら、私は国王にならなければならない。そんな責任重大なこと、果たして本当に私に務まるのだろうか」
と第一王子は呟いていた。
それを聞いた第二王子が「兄上なら大丈夫です!父上もきっとわかってくれるはずですから」と励ましていた。
「父上は、多分私のことを嫌っているのだろう..........だから、無理やり後を継がせるなんて言い出したのではないか...........」第一王子は、そう言って泣き出した。そして、第二王子もまた涙ぐみ始めた。
そんな二人を見て、僕も思わずもらい泣きしそうになったが、ぐっと堪えて告げたのだった。
「僕は、皇太子殿下の味方ですよ!帰ったら、一緒に国王陛下にお話してみましょう」
第一王子は「ありがとう.........」と涙ぐみながら言ってくれた。
僕は3人を馬車に乗せて、王宮へ向かうことになった。道中、僕たちは色々と話し合ったのだが、第一王子は「やっぱり、私は父上に認めてもらいたい」と言ったのである。第二王子は「父君は国王になる覚悟が足りないと言っていましたが..........本当はそんなことはなくて、きっと兄上のことを心配しているだけなのですよ」と慰めていたのだった。
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