第3話
その女性は、僕の顔をまじまじと見つめながら尋ねてきたのである。なんだろうと思っていると、彼女は続けて言った。「以前も会ったわよね、高級ローストビーフのお兄さん!突然だけど私、人の運命を見ることができるのよ」と。
(一体どういうことなんだろう..........不思議な人ただな)と思いながらも、彼女に尋ねてみたところ、彼女は答えた。「私、魔術師なの。なんだかこう言うと嘘みたいだけど、本当なのよ。」と言う彼女の言葉を聞いて、僕は驚きを隠せなかった。(まさか本当に?)と思いながらも彼女に聞いてみた。
「ええ、本当よ!信じるかどうかはあなた次第だけど」と言う彼女に、半信半疑ながらも僕は尋ねたのだ。「それじゃあ、僕の未来を見ることはできる?」と。
すると、彼女は真剣な表情で答えたのだ。
「わかったわ、お肉も美味しくいただけたしお任せちょうだい!」と言った後、目を閉じて何かを念じ始めた..........そして数分が経過した後、目を開けた彼女から発せられた言葉は、僕にとって衝撃的なものだった。
「ルナと結婚するほど仲良くなれたのね、良かったわ。 ............けど、王宮内で何かいざこざが起きるようね。どんな内容かはわからないけど、何があっても彼女を守ってあげて」
と言う彼女の言葉を聞き、僕は愕然とした。
(まさか、本当にそんなことが起きるというのか?)と思いながらも、彼女に感謝の言葉を伝えようとした、その時だった...........。
急に足元が崩れ始めたかと思うと、次の瞬間には気を失ってしまったのだ。
倒れる前に、彼女は満面の笑みで「頑張って」と応援してくれていたように見えた。
(ここはどこだ............?)
そう思いながら起き上がった僕は、辺りを見回すと、見慣れた部屋が目に飛び込んできた。
気づけば僕は、ベッドの上で横になっていた。
先程の出来事は夢..........だったのか?
(いや、そんなはずはない……)そう思いながらも、立ち上がろうとしたが、体に力が入らない。
するとその時、勢いよく部屋のドアが開き、ルナが入ってきたのだ!「アダルバート様!大丈夫ですか?どこか具合が悪いのですか?」と言う彼女に、僕は言った。「実は、変な夢をみていたような気がするんだ」と。
それを聞いた彼女は、心配そうな表情で言った。「どんな夢だったのですか?」と聞かれたので、僕は答えたのである。「魔術師が見た未来が、現実になるという夢を見たんだ」
(まさか本当に..........?)と思いながらも、彼女は僕に尋ねた。「どんな未来か教えていただけませんか?」と。
僕は、言葉を選びながら答えた。「それは言えない、ただ..........いいことも悪いこともあるということは言える」
その言葉を聞いた彼女は、期待の眼差しをこちらに向けつつも、それ以上詮索することはしなかったのだった。
それからしばらくの間は、平和な日々が続いていた。しかし、ある日のことだった..........ルナが突然僕に告げたのだ!「私、お城を出ていこうと思います」という言葉を聞いて、僕は動揺した。一体、突然どういうことなのかわからず困惑していると、彼女は言った。
「最近変な噂を聞くんです..........」と言う彼女の言葉を聞いて、僕はハッとした。(まさかあのことか?)と思いつつも、僕は尋ねた。「その噂ってどんな内容なの?」と。
すると、彼女は答えた。「実は、最近アダルバート様と私が仲良くしている姿を見て嫉妬する人たちがいるようで」
その言葉を聞き、僕は背筋が凍ったような感覚を覚えた。(まさかこんなことになるとは..........彼女言っていた何があってもルナを守れとは、このことなのだろうか?)
と思っていると、今度は彼女が僕に尋ねたのだ。
「けれど、私はアダルバート様と離れたくはありません.............どうすれば良いのでしょうか」
僕は迷うことなく答えた。「僕もだよ、だから何があってもルナのことを守るよ!約束する。」と言う僕の言葉を聞いて、彼女はほっとして喜んでくれたのだ。
それから数日後、ある日のこと。
その日、ルナは街に買い物に行くと言っていたので、僕はお城で留守番をしていたのである。すると、そこに一人の男性が訪ねてきたのだ。
「すみません、ルナ・サーシャ様はいらっしゃいますか?」と尋ねてきたその人物を見た瞬間、僕は驚きを隠せなかった。
なぜなら、そこに立っていたのは、かつてルナの婚約者だった男性だったのだ。
彼は、僕のことをじっと見ていたのだが、すぐに表情を和らげると言った。「はじめまして、私はアレクサンドルです」と。
(どうして、彼が今更ここに?)と思いながらも、僕は尋ねた。「一体何のご用でしょうか?」
すると、彼は答えた。「今日はルナに話をしに来たのですが、いらっしゃらないようですね」と言ったのだ。
その後、彼は言った。「ルナには会わずに帰ります」と言って、立ち去ろうとする彼の後を、僕は追いかけた。そして、彼に話しかけたのだ。「ちょっと待ってください!」と。
すると、彼は立ち止まってこちらを向いてくれたので、僕は思い切って尋ねたのである。「どうして、ルナに会いに来たのですか?」
すると、彼は少し考えた後に口を開いた。
「実は、先日彼女から手紙が来たんですよ」と言う彼の言葉を聞いた僕は驚いたが、さらに続けて彼は言うのだ。
「その内容は、アダルバート様との婚約が成立したこと。そして、そのアダルバート様と仲良くしてほしいとのことです。」と。
そんなある日.............ルナが、お城に来なくなったのだ。心配になった僕は、お城中を探し回ったがどこにも見当たらない。困り果てた僕が途方に暮れていると、背後から声をかけられた。「アダルバート様、どうかされましたか?」と。振り返ると、そこには昔から何かとお世話になっている、凄腕の僕の執事がいたのである。
僕は彼に事情を説明し、ルナの居場所を尋ねたところ、驚くべき答えが返ってきたのだ!「ルナ様は、王宮にいらっしゃいますよ!」と。
それを聞いた僕は驚きつつも安堵したが、同時に疑問が浮かんだので彼に尋ねてみたところ、驚くべき事実が発覚したのである。
なんと、ルナは今王宮の離れで暮らしているというのだ。(..............なぜ、そのようなことになったんだ?)と思いながらも疑問を抱きつつ、彼と一緒にお城へ戻ることにした僕だったが、そこで待ち受けていたルナは涙を流していた。
慌てて僕が駆け寄って話を聞くと、日に日にメイドからの嫌がらせは酷くなってきているらしい。(一体、どうしてそんなことを............?)と思いながらも、僕は彼女を抱きしめつつ言った。「大丈夫だよ、僕が守るから。嫌がらせをしてくるのは、どのメイドか教えてくれるかい?」
すると、ルナは頷いてくれたのである。
そしてわかったのは、なんと僕の屋敷で勤続年数が長いメイド長からのものだった。...............どうやら、最近ルナのことを快く思っていないようで、何かと理由をつけて嫌がらせをしてきていたようだ。
僕は、すぐにメイド長を呼び出し、問い詰めることにした。「どうしてルナにそんなことをしたんですか?」と。
すると、彼女は答えたのである。「それは、私の仕事だからです。」
僕はメイド長とも仲が良かったし、悲しく思ったものの、何とか僕は彼女に言った。「とにかく、彼女に今後一切このようなことはしないでほしい。」と言うと、彼女は素直に承諾してくれたのだ。
その後、僕はルナを屋敷へと連れて帰り、何不自由ない生活を送らせるように命じたのである。
そして日々は過ぎていく中で、ルナは美しく成長し、立派で力強いレディへ成長していた。
そんな彼女の様子を、温かく見守る周りの人たちのおかげで、幸せな日々を過ごしているのだった
(ふぅ〜)と心の中でため息を漏らす僕であった。(これでもう大丈夫そうだな)と思いながらも、僕は仕事に戻らなくてはならないので、その場を立ち去ろうとした時であった。「アダルバート様!」という声が聞こえたのである。振り返ると、そこに立っていたのはルナだった。「どうされましたか、ルナ?」と僕が尋ねると、彼女は言った。「実は、アダルバート様のお好きなスコーンを焼いてきたのです。息抜きに、ご一緒にいかがですか?」
それを聞いた僕は、嬉しくなって「ありがとう、いただくよ!」と言ったのである。すると、彼女は嬉しそうな顔で、微笑んでいたのであった。
その後、ルナと一緒にスコーンを味わいながら楽しい時間を過ごした後、僕は仕事へと戻ったのである。(さてと............そろそろ行くか!)と思いながらも、準備をして仕事へと向かったが、その日の仕事は捗らないというか、なんなら捗らなかった。なぜなら、頭の中ではルナのことで頭がいっぱいだったからである。
そんな様子の僕を見て、執事は察したかのように声をかけてきたのだ!「アダルバート様、大丈夫ですか?」と言う彼の言葉を聞いた僕は、つい本音を吐露してしまったのである。「実は、ルナのことばかり考えるようになってしまって.............僕が今作業している仕事が終わったら、プロポーズも考えているんだ」と。
それを聞いた執事は、驚きつつも微笑んでいた。「アダルバート様は、本当にルナ様のことが大好きなんですね」と言いつつも、彼は続けて言ったのだ。「でもアダルバート様、その気持ちはしっかりとお伝えした方が良いですよ!」
その言葉に背中を押された僕は、決心を固めた。(よし!決めたぞ!)と思いながらも、仕事に取り組む僕であった。
その後、仕事を終えた僕は急いで王宮へと向かうと、そこでルナの姿を見かけた。彼女はメイド長に何やら言われているようだったが、その表情は嬉しそうだった。おそらく、自分がお城にいることを伝えているのだろうと考えた僕は、近づいて声をかけたのだ。
「ルナ!」
すると、彼女は振り向いて嬉しそうに微笑みながら、言ったのである。「アダルバート様!会いに来てくれたのですね」と言う彼女の言葉を聞いて、僕は胸がいっぱいになりつつも、彼女の手を取りながら言ったのだ。「もちろんだよ!ずっとルナに会いたかったんだから!」と。
そんな僕の様子を見ていた執事が、微笑みながら近づいてきた。「アダルバート様、あとはお二人でお過ごしください。」
その言葉を聞いた僕とルナは、顔を見合わせて微笑み合い、そのまま一緒にデートを楽しんだのである。
その日以来、僕の心にはルナがいた。ずっと想ってきた彼女の存在が、僕の中で大きくなっていたのだ...........。だからこそ、僕はプロポーズを決意したのである!
(よし!来週こそ伝えよう...........!)と、心の中で決意を固める僕だった。
とうとうプロポーズの当日がやってきた。
僕は緊張しながらも王宮に向かい、ルナの部屋へと向かったのだ。すると彼女は僕の姿を見るなり笑顔で出迎えてくれたのである。
そんな彼女の姿を見た瞬間、胸がキュンなる感覚を覚えた僕だったが、意を決して言ったのだった。「ルナ!」
すると、彼女も何かを察してくれたのか、真剣な表情になって言ったのである。「はい、なんでしょうか?」
そんな彼女の手を握った僕は、勇気を振り絞ってプロポーズしたのだった!「僕と結婚してください。これからもルナのそばにいたい。」と............! そんな僕の言葉を聞いた彼女は、目に涙を浮かべながらも、微笑んで言ってくれたのだ。
「はい、喜んで!」と。
その言葉を聞いた僕は、嬉しすぎて思わず泣いてしまったのだ。そんな僕を抱きしめてくれるルナに感謝しながら、幸せな気持ちで満たされていたのだった。
翌日、僕たちは早速ウェディングドレスを見に行くことになった。
執事とメイド長に見送られながら馬車に乗り込んだ僕たちは、二人だけの時間を楽しんでいたのである。(これからは一緒にいられるだな...........!)と思いながら、僕は彼女を見つめながら微笑んだのである。
すると、彼女も僕の手を握りながら微笑んでくれたのだ。その笑顔を見た瞬間、僕は幸せでいっぱいになったのであった。
「ドレスは、どんなデザインがいいんだい?」
と移動中に僕が聞くと、彼女は少し迷った様子で答えた。「特に好みは無いですが、アダルバート様が選んでくださったものなら、何でも嬉しいです」と言う彼女の言葉を聞いて、嬉しくなった僕は、早速到着したら店員を呼んで、相談することにしたのである。
すると、ドレスはあっさりと決まったのだが、そのデザインというのがあまりにも可愛すぎて驚いた僕であった。
(こんな可愛らしいドレスを着て、結婚式を挙げるのか...........絶対にルナに似合うな)と思いながらも、彼女に確認すると嬉しそうに微笑んでくれたので、一安心しながらも着付けをしてもらうことにした。
そして完成した姿を見た僕は、思わず見惚れてしまったのである。
純白のドレスに身を包まれた彼女は、いつも以上に美しく、まるで天使のようだった。
そんな僕に気づいたルナは、恥ずかしそうにしながらも微笑んでくれたのである。
(なんて可愛いんだ............!)と心の中で叫びながらも彼女に目を奪われてい僕は、いつの間にか涙を流してしまっていた。
そんな僕を見て、ルナは微笑みながら慰めてくれたのである。「アダルバート様、泣かないでください。せっかくの素敵な思い出なので!」と。
そんな彼女の優しさに包まれた僕は、感動のあまり余計に泣いてしまったのだが、同時に幸せを感じていたのである。(本当に出会えて良かった............!)と思いながらも、彼女と誓いを交わした僕は、一生忘れられない思い出を作ることができたのであった。
次の日から、ルナは僕の部屋に来て紅茶やお菓子を嗜むようになった。
毎日僕と会えることが嬉しいのか、笑顔を見せてくれる彼女が愛おしいと思うようになっていったのだ。
いつものように彼女が来たので、一緒にお茶を飲みながら談笑していると、突然彼女が言った。「私、アダルバート様が大好きです!」と。
その言葉にドキッとした僕は、思わず固まってしまったものの、すぐに冷静を取り戻して言った。「ありがとう」とだけ返すのが精一杯だった。
すると、今度は彼女の方から話しかけてきたのだ!「アダルバート様は、私のことどう思っていらっしゃいますか?」と言う彼女の質問を聞き、僕は迷ったものの正直に答えることにしたのである! すると、彼女は嬉しそうに微笑んで言った。「これからもずっと私と一緒にいてくださいね!」
その言葉を聞き、僕は彼女の手を取りながら言った。「ああ、もちろんだよ!約束しよう!」と。
(良かった............ルナが元気を取り戻したようで。)
そう思いながら、僕は安堵のため息をついた。(これで一安心だな)と思いながらも、今後どうやってルナを守っていくか考えるのだった。
その日の夜のこと............。
(どうしたものか)と思いながら僕は悩んでいた。(このまま、仲良い二人を引き離すわけにもいかないし)と思いながらも悶々としていると、突然ドアがノックされたのだ!慌ててベッドから起き上がりドアに向かうと、そこに立っていたのはルナだった。
「アダルバート様、入ってもいいですか?」と言う彼女の言葉を聞いて僕は一瞬躊躇ったが、すぐに鍵を開けて彼女を迎え入れた。すると、彼女は僕の部屋に入ってきた途端こんなことを尋ねてきた。
「アダルバート様...........もし私と、アダルバート様が一緒にいない方がいいと言われたら、どうされますか?」と言う彼女の言葉を聞いて、僕は動揺した。(どうしてそんなことを聞くんだろう?)と思いつつも、僕は答えた。「それはどういう意味なの?」と聞き返すと彼女は答えた。「実は今日、メイド達にそう言われてしまって。」
と...........。
(なるほど、そういうことか)と思った僕は、答えた。「もしルナが本当にそうしたいのなら、僕は止めるつもりはないよ」
それを聞いた彼女は、目に涙を浮かべながら言った。「私はアダルバート様と一緒に居たいです!」と言う彼女の言葉を聞いた僕は、彼女を抱きしめて言ったのだ。「ありがとう、僕もだよ!」と言って強く抱きしめた。
彼は、覚悟を決めたように言った。「実は、君に会おうとしたんだ」と言う彼の言葉を聞いて、彼女は驚いたような表情を浮かべていたものの、すぐに嬉しそうな顔になった。
「遠路はるばる、来てくださりありがとうございます!見ての通り、この方がアダルバート様です」
とルナは言った後、僕のことを紹介してくれた。
アレクサンドルはにこにこと笑っているが、その表情からどんな感情を抱いているのか読み取れない。
「そうか............ルナ、幸せそうで何よりだよ」
(まずいな、このままでは)と思った僕は、二人に声をかけようとしたのだが、その前に彼はこう言った。「私はこれで失礼するよ」と言ったのだ。
そして最後にルナに向かって「アダルバート様を大事にしなさいね」と言い残して、去ってしまったのだ。
僕は慌てて隠れる場所を探したが、もう遅かった。
彼女はアレクサンドルの姿を見つけると笑顔で言うのだ!「アレクサンドル様!どうしてここに?」と。
それを聞き、僕は愕然とした。(まさか彼に手紙を送っているとは..............)と思っていると、軽やかな足音と共に可愛い鼻歌が聞こえてきた。
そうだ、丁度ルナが帰ってきたのだ。
それから数ヶ月後、僕とルナの結婚を祝うパーティーが行われた。
皆が笑顔で祝福してくれる中、僕も幸せな気持ちで満たされていた。愛する人と結ばれたことが、何よりも嬉しかったからだ。
参列者には、お互いの家族や友人などがいた。
特にルナのこま両親は温かく迎えてくれて、ルナが僕と結婚したことを、とても喜んでくれた。(本当に良かった.............)と思いながらも、僕は彼女に感謝の気持ちを込めて微笑むと、彼女も幸せそうに微笑んでくれたのである。
「アダルバート様、おててを貸してください。」
そう言って、彼女が差し出した手を取った僕は、彼女の薬指に指輪をつけたのだ!
そして彼女も、同様に僕の指に指輪をつけてくれた。それは、僕が彼女にプレゼントしたものだった。(綺麗だな............!)と思いながら、見つめていると、彼女が僕の手を握って言ったのだ!「大切にしますね」と
その一言で、僕は胸がいっぱいになった。(幸せだなぁ.............)と感じながら、僕は再び涙を流してしまった。すると、彼女はそっと抱き寄せてくれ、頭を優しく撫でてくれたのである。そんな彼女の優しさに触れながら、僕は改めて彼女への愛を深く感じたのであった。
(ずっと一緒にいたいな)と心の中で誓いながらも、ルナを抱きしめ続けたのである。
そんな中、1人外を見つめている男性がいた。
いつかの時に顔合わせをした、ルナの元婚約者であるアレクサンドルだ。
「アダルバート様、今日は素晴らしい結婚式ですね」
ケーキを切り分けた後に、彼は僕に話しかけてきた。
「はい、ありがとうございます。 ..............あなたがいらして、ルナも喜んでいることでしょう」
僕もそう返すと、彼は静かに微笑みをたたえた。
そして軽く会釈をして、立ち去っていってしまった。(あれ?)と思いながらも、僕は彼の背中を見送ります。(一体どうしたんだろう?)と考えていると、ルナが近づいてきました。
「アダルバート様、アレクサンドル様と何かお話されていたのですか?」と聞いてきたので、僕は素直に頷いた。すると、彼女は少し困ったような表情を浮かべたが、すぐに笑顔に戻った。どうやら、何か事情があるようだが、今は聞かないことにしておこうと思い、僕はケーキを一口食べた。
すると、ルナも自分のケーキを食べ始めた。(あぁ............かけがえのないことだな)と思いながら、僕は彼女を見たのだった。
最後のスピーチでは「ここにいる皆さまのおかげで、こうして僕たちは幸せな1日を過ごせました」と、締めくくる事にしたのである。
「アダルバート様、いつも私の傍にいてくださってありがとう御座います。」と言って彼女は微笑んだのだ。それに対して、僕も微笑み返すと言ったのだった。「こちらこそ、君がいてくれて本当に良かったと思っているよ」と。
その後、僕たちは結婚式の余韻に浸りながらゆっくりと時間を過ごしていた。
窓から差し込む夕日の光に包まれていると、不意に彼女が僕に寄り添ってきた。そんな彼女を優しく抱きしめながら、僕は心の中で誓った。(これから先もずっと一緒だ)と
ルナは僕の腕の中で、幸せそうな笑みを浮かべながら目を閉じていた。
一方その頃、そんな2人の様子をこっそり見守っていた執事とメイド長は、顔を見合わせて微笑んだのだ。「アダルバート様、本当に幸せそうですね!」と、嬉しそうな表情を浮かべながら言うメイド長に対し、「そうだね。ルナ様もお幸せそうだし、本当にお2人が幸せになれて良かったです」と、安堵の表情を浮かべる執事であった。
結婚式から数ヶ月後、僕たちは新婚旅行に来ていた。行き先は、僕たちの思い出の場所であるアルカナ島である。
最初は不安だったルナも、今ではすっかりと慣れてくれたようだった。
到着すると、早速アルカナ島でのデートが始まった。最初は緊張していた彼女も、徐々に笑顔を見せてくれるようになり、一緒に浜辺を散歩したり貝殻を拾ったりしながら楽しんでいたのだ。
朝から天気もよく、海で泳いだりしながら彼女との時間を楽しんでいたのだが、夕方頃になると少し疲れてしまったようで、休憩することにしたのだ。ホテル内にある、プールサイドにあるデッキチェアに寝転びながら、ゆったりとした時間を過ごしているルナを見つめながら、僕は微笑んでいた。
すると彼女も僕に気づき、微笑みながら言ったのだ。「アダルバート様、どうしたんですか?」と。
僕は、素直に思ったことを彼女に伝えた。「いや.............やっぱりルナはいつ見ても可愛いなあって思って.............」
すると、彼女はその言葉を聞いて照れながらも、嬉しそうに微笑んだのであった。
そんな彼女を見つめながら、僕は改めて幸せを感じたのであった。
それからしばらくの間、2人で夕日を眺めながらゆっくりと過ごしていたのだが、ふと彼女が話しかけてきた。「アダルバート様............そろそろ、お部屋に戻りませんか?」と言ってきたので、僕は彼女と一緒に部屋に戻ることにした。
部屋に入ると、すぐに夕食の時間になったので、僕たちはレストランへと向かうことにしたのだ。席に着くと、早速料理が運ばれてきたので、2人で美味しく頂くことにしたのである。
自国とはまた違った料理のテイストで、感動したものだ。
そして食後、しばらくしてからデザートが出てきたのだが、それがまたとても美味しかったのであった。
(これがきっかけで、ルナは甘いものが好きになってしまったんだっけ............)と思い出しながら、僕は彼女に話しかけた。
「ルナ、今日はありがとう。とても素敵な旅行だったよ」と言って微笑むと、彼女も笑いながら答えた。「私もです!アダルバート様と出会えて、本当に良かったです!」と。
2人で談笑しながら、楽しい時間を過ごしていた僕たちだったが、気づけば夜遅くなっていたので、部屋に戻ることにした。部屋に入ると、既にベッドが用意されていたので、僕たちはそれぞれ自分のベッドに横になった。
明日はどこに出かけようかなぁ、そんなことを思いながら、眠りについたのであった。
翌日、目が覚めると隣にはルナの姿があった。どうやら先に目を覚ましていたようで、彼女はまだ眠っていたのだ。彼女の寝顔はとても可愛らしくて、いつまでも見ていたいくらいであった。「アダルバート様............?」と突然声をかけられて、僕は驚いたが、すぐに笑顔になった。どうやら、起こしてしまったようだと思ったのだが、ルナは目を閉じたまま静かに微笑んでいたのである。
(本当に可愛いな.............)と思いながらも、眺めているうちに段々と愛おしさが増してきたが、急いで顔を洗ってすっきりした。
それから朝食を食べ終えてから、出発の準備をしていると、ルナが話しかけてきた。「アダルバート様、今日行きたい場所はありますか?」と聞かれたので、僕はすぐに答えた。「アルカナ島をもっと散策したいかな?まだまだ見ていない場所も、あるからね!」と答えると、彼女は嬉しそうな表情を浮かべて言った。「私も、同じことを考えていたんですよ!早速行きましょう!」と言って、僕の手を掴んだルナと一緒に部屋を出た僕は、彼女と手を繋ぎながら歩き出したのである。
こうして、2人きりの新婚旅行が再び始まった。
最初に向かった先は、アルカナ島の有名な観光スポットの一つである「天空の鏡」だ。この場所には、美しい景色が広がっているだけではなく、天気が良い日には青空や雲海を見渡せる絶景スポットとしても有名であり、多くの観光客が訪れる場所でもあった。早速中に入ると、周り一面に広がる鏡のような景色に圧倒された僕たちは、しばらくの間無言で立ち尽くしていた。そして、ふと我に帰った僕はルナの方に目を向けると、彼女は静かに微笑みながら僕を見つめていた。
その眼差しは、とても温かくて優しかった............そんな彼女の顔を見た瞬間、僕の心拍数は一気に跳ね上がった。
僕は、自分の想いを伝えたいと思った時には、既に身体が動いていた。
気がつくと、彼女の頭を撫でていたのである。
そして彼女は驚きながらも、静かに受け入れてくれたのだった。
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