第2話
(ん?ここは...............?)目を開けるとそこはベッドの上だった。周りを見回すと見慣れた部屋であることが分かった。
(なんだ夢か……)と思いながら起き上がろうとした時、足に痛みを感じた。見てみると包帯が巻かれていることに気づいた。(怪我でもしたのか?)と思い、足に触れてみたところ痛みを感じなかった……
(あれ?おかしいな……)
不思議に思っているとドアがノックされたので返事を返した。すると入ってきたのはメイド長だった。「おはようございますアダルバート様」と言いながら頭を下げる彼女に挨拶を返すと彼女は続けて言った。
「アダルバート様のおかげで、この国の平和は保たれました」
「え?どういうこと?」と聞くと彼女は微笑みながら答えた。「アダルバート様が魔王と戦ってくれたおかげで、この国は救われました」と……
僕は困惑しながら聞いてみた。「あの戦いはどうなったの?」
すると彼女は答えた。「アダルバート様が勝利したことで終わりました」と言って微笑んだ……
(夢にしては妙にリアルだったな……)と思いながらも僕は朝食を食べ終えて学校へと向かったのだった……(これからどうなっていくんだろう……?)と思いながら不安を抱きつつ授業を受けるアダルバートであった……
そして、その日は無事に学校が終わり帰宅した。しかし、依然として頭の中には疑問が残っていた。(あれは本当に夢だったのか……?)そう思いながらも眠りにつくことにした……
翌朝、目を覚まして学校へ向かう途中だった。
焦って漫画のようにパンを食べながら走っていると、誰かと肩がぶつかってしまった。
「あっ、ごめ…………っ!?」
ぶつかった相手を見ると、ルルナにそっくりな女の子が目の前にいた。
白銀で艶があり透き通った長い髪に、深い海のような青色の目をしている。
その美しさに、吸い込まれそうになった
(え!?この子、ルルナにそっくりだ!!)と思っていたら、その子は慌てた様子で言った。
「アダルバート殿下、ごめんなさい……急いでいますので、失礼いたします!」と言って走って行った。
(あれ?名前を聞くのを忘れてしまった……)
そう思いながらも学校に着いて授業を受けていたら放課後になっていた。
「長い銀髪で、青い目をした女の子を知っているかい?」と聞くと、皆は驚いたような表情をした後にこう言った。「存じ上げています!」と答えてくれた。そして続けて教えてくれた。「あの子はルナという名前の子です。心優しいし美しいしで有名ですよ」と……
それを聞いた瞬間、僕は衝撃を覚えた。(まさか、もしかしたら…)と思いながらも彼女に会うために城へと向かったのだった……
城に着くとメイド長が出迎えてくれた。そして彼女に案内されて城内を歩いて行くと一つの部屋の前に着いた。ドアを開いて中に入ると、そこにはルナがいた!
彼女は僕を見つけるなり駆け寄ってきて頭を下げた。
(え!?)と思っているうちに彼女は言った。「先日は申し訳ありませんでした!!失礼な態度をとってしまって.............」
僕は困惑しながらも聞き返した。
「大丈夫だよ。それよりも、君に怪我は無かった?」
と聞くと彼女は頷いてから言った。
「はい、おかげさまで大丈夫です」と答えた彼女の笑顔はとてもかわいかった。
僕は思わず見惚れてしまったが、すぐに我に返って彼女に尋ねた。
「君はルルナじゃないよね?」と尋ねると彼女は不思議な表情を浮かべながらも答えてくれた。「はい、私はルナと申します!」と言った彼女の目はしっかりと僕を捉えていた。その目は嘘をついているようには見えなかったのだ……
(ということは本当にルルナではないんだな……)と思っているうちに彼女が再び口を開いた。
「アダルバート殿下、お詫び申し上げます」と言って頭を下げた。
僕は慌てて止めたが彼女は続けた。「せめて、私の自己紹介でもさせてください!」と言った彼女の必死さが伝わってきたので、話を聞くことにしたのだった。
そして彼女が語り始めたのはルナの生い立ちだった……
(え?それってまさか……!)と思っているうちに話はどんどん進んでいった。
彼女が語った内容は驚くべきものだった。
なんと、本当は聖女の身代わりとして城に呼ばれた女の子だったのだ。
幼少期から体が弱かったらしいが、彼女の国では医療が発達していて病気は治ったらしい。
そして、そのルナを国王陛下は娘の身代わりとして大切に育てたのだという。しかしある日、実は本物の聖女だということがバレて追放されてしまったというのである……
僕は驚きつつも彼女の話を最後まで聞いた後に言った。「じゃあ君はこれからどうするつもりなんだ?」と尋ねると彼女は答えた。「私はこれ以上お父様やお母様にご迷惑をかけたくないので、国を出て他の国へ行こうと思っています。学園までも遠いし.............」と言う彼女に、僕は尋ねた。
「そうか........だが、女の子一人では危ないよ。僕の国へ来る?」
と言うと彼女は反射的に答えた。
「はい、そうさせていただきま............え?今なんと?」と驚いている彼女に、僕は続けて言った。「一緒に来ないかい?」すると、彼女は嬉しそうな表情を浮かべて言った。
「よろしいのですか? アダルバート殿下が仰るなら、ぜひ!」
(興味深い彼女を知ることができるのか)と僕は心の中で大喜びしていた。
(でも、本当にあの子ははルルナではないのかな……?すごく似ていたし)と疑問に思いながらも彼女と別れて城を後にした……しかしこの時の僕はまだ知らなかったのだ……
実は、この出来事が物語の始まりに過ぎなかったということを.................。
次の日から、僕はルナと一緒に学園に登校することにした。
ルナの移住については、父である国王からは返事待ちで、僕が良いというまで待てと指示を貰っていた。
学園でルルナにその話をしたら、「まぁ!なんて素敵なんでしょう!」と言って喜んでくれた。
そして、放課後はルナと過ごす時間が増えた。彼女と過ごす日々はとても楽しかった……
ある日、僕は思い切って彼女に聞いてみたのだ。「僕のことどう思う?」すると彼女は微笑んでから言った。「とてもお優しい方だと思います!」と答えた彼女の顔はとてもキラキラしていた……
(本当にこの子がルルナのはずがないよね……?)と思ったりもしたが、彼女がルルナに似ているのは間違いないため、僕は彼女を信じることにした。
そして月日は流れていった……
ある日のこと、僕とルナは町へ買い物に行くことになった。
(そういえば................)と僕は思い出した。
以前ルナと一緒に行った町で、可愛いアクセサリーショップを見つけたのだ。
彼女にプレゼントを買ってあげたいと思ったので、行ってみることにした。
店内に入ると、そこには様々な種類のアクセサリーが並んでいた。その中でも僕の目に留まったのは大きなリボンのついたヘアピンだった。
(これはいいかもしれないな................)
ふと手に取ったリボンを見て思い出した。
ルルナはこういった可愛らしいデザインのものを好き好んでよく身につけていたな、と懐かしくなってきた。
それを見ていたルナも「かわいいですね!」と無邪気に言って手に取った。
二人で選んだヘアピンをレジに持っていくと、店員さんは「ありがとうございます!」と笑顔で答えてくれた。
(喜んでくれるかな................)と思って彼女の方を見たが、ルナはどこか浮かない顔をしていた。どうしたのだろう................?と気になって声をかけた。
「どうかしたのかい?」
すると彼女はハッとしたような表情を浮かべた後に言った。「いえ、なんでもないですよ?」と微笑みながら言ったのだが、何か隠しているような気がしたので追及してみたものの、結局教えてくれなかった...............。
(もしかして、体調が悪いのかな?)と心配していると彼女は続けて言った。「本当に大丈夫ですから」という彼女の笑顔には、何か意味があるような気がした...............。
その後、僕たちはアクセサリーショップを後にした。帰り道で僕は彼女に聞いてみた。「ねえルナ、今日は楽しかったかい?」
すると彼女は笑顔で答えた。
「はい!とても楽しかったです!」と答えた彼女を見て安心したのだが。
(でもなんだか元気がないように思えたな................)と心の中で思いながらも、城へ帰ることにしたのだった。
その日の夜、僕は自分の部屋でルナのことを考えていた。
本当に彼女はルルナではないのか..............?と自問自答していたのだが、答えは出なかった.............。
(仮に彼女がルルナだとしても、彼女はもうこの世にはいないんだ..............)と自分に言い聞かせながらも、心の底では信じたいと思っている自分もいた。
そして次の日の朝、目を覚ました僕はすぐに身支度をして部屋を出た。廊下を歩いていると、前方からメイド長が歩いて来たのが見えたので声をかけた。「おはようございます、アダルバート殿下」と言うと彼女も笑顔で返してくれた。しかし、その表情は少し硬いように感じられた。
(何かあったのだろうか..............?)と思いながらも、食堂へと向かい朝食を食べた後に学校へ行く準備をして外へ出た。
すると、そこにはルナがいた。彼女は笑顔で手を振ってくれたので僕も手を振り返したのだが、その笑顔はどこか寂しげに見えた気がした……
その後、彼女と合流した僕は一緒に学園へと向かったのだ。
しかし、今日の彼女はいつもと違う雰囲気を纏っていたように思う..............。
(何か悩みでもあるのかな?)と思っているうちに教室に着いてしまったので、仕方なく席に着くことにしたのである。
その日の授業はいつもと違って集中できなかった。というのも、ルナのことが気になって仕方なかったからだ。
(もしかして、ルナは何か一人で悩んでいるんじゃないだろうか..............?)と心配していると授業が終わるチャイムが鳴った。僕は急いでルナの席へと向かったのだ。
「ねぇルナ、君は悩み事でもあるの?」と聞いたところ、彼女は首を横に振った後で微笑んでから言った。「いえ、特にありませんが..............」と言った彼女の笑顔にはやはり元気がなかったように思えた。
その日の午後、僕は思い切って彼女に聞いてみることにしたのだ。
その日の午後、僕は思い切って彼女に聞いてみることにしたのだ。「僕に言えないようなことでもあるのかい?」
すると、彼女は少し驚いたような表情を浮かべた後で言った。「いえ、ありません」と答えた彼女の声にも元気がなかったような気がした。
(本当に何もないのかな...............?)と思っているうちに、授業が終わるチャイムが鳴った。
その日の授業はあっという間に終わってしまった。
その後、ルナを誘って城下町へ行くことにした。
二人で並んで歩いている途中も、彼女の笑顔は少しぎこちなかったように思えたのだ...............。
(やっぱりおかしいな?)と心の中で思いながらも、彼女の手を引いた瞬間だった!
突然ルナが立ち止まったかと思うと、その場にうずくまってしまったのだ。
「え!?大丈夫!?」と慌てて声をかけると
彼女は答えた。「はい、大丈夫です............」と答えたものの、その声は震えていた。
その後、僕は急いで彼女を病院に連れていったのだがそこで告げられた言葉は驚くべきものだった...............
「ちゃんと栄養とれていますか?果実をたくさんとってください」
と医師に言われたのである。「え?どういうことですか?」と尋ねると彼は答えた。「栄養失調で倒れておられるのですよ」とのことだった。
僕は慌ててルナのもとへ向かった。
ーーしかし、そこには誰もいなかった.............。
(ルナはどこに行ったんだ!?)と思っているうちに病院を出ようとしたときに目についたものがあったのだ!
それは一枚の紙切れだった。そこに書かれていたのは『さよなら』という文字だけだったのである。
(どういうことだ!?)と思った僕は、急いで城へ戻った。
しかし、城に帰ってもルナは見つからなかった。
もちろん彼女の家族にも聞いてみたが、誰も知らなかったのだ。
(どこに行ってしまったんだ.............?)と思った僕は必死になって彼女を探し続けたのだ。
しかし、結局彼女を見つけることはできなかったのである。
あれから数ヶ月が経ったある日のこと、途方に暮れていた僕に吉報が届いた。
なんと、ルナがここから離れた街で目撃されたらしい。
(まさか、本当にルルナがいたのか!?)とすぐに彼女に会おうと決めた。
しかし、僕が街へ行くことは叶わなかった。なぜなら、父である王からの命令があったからだ。『しばらく城から出ることを禁ずる』とのことだった。
その日から僕は、ずっと部屋に軟禁状態になってしまったのだ。
(どうして父上は、僕にこのようなことをするのだろう?)と思いながらも、必死に打開策を探していたのだが何も思いつかなかったのである...........。
あれからさらに、数週間ほどが過ぎた頃のことだった。
ある日、僕は父王の部屋を訪れた。
「父上、お話があります」と言うと彼は答えた。「なんだ?」と。
僕は意を決して言ったのだ。
「なぜ、城から出てはいけないのですか?」
すると父王は決意を固めたような表情を浮かべてから言った。「アダルバートには、話しておかなくちゃな」と。
(どういうことだろう..............?)と思った僕は続けて尋ねた。
「どういうことですか?」と聞いたのだが彼はため息をついてから言ったのだ。
「実は、アダルバートに婚約の話が出ているんだ」と。
(え?婚約?なぜ?)と思っている間にも、父は続けた。
「もしこの国から出たら、彼女を迎えに行くのだろう?それは、重々承知である。しかし、婚約者に1度だけ会ってもらえんか?」と言ってきたのである...............。
===
(父上は、突然何を言い出すんだ!?)
そう思った僕は反論しようとしたのだが、父の言葉を聞いて思わず黙り込んでしまった。
「彼女と会うのはこれが最後の機会になるやもしれんからな」と父が言い出したからだ?
(最後..............?どういうことだ?)と思いながらも質問した。「なぜですか?」と聞くと彼は答えた。
「実は、彼女にも別の婚約者がいると判明したんだ............」
俺は唖然としてしまった。
(え............?ルナに婚約者?これから仲良くなっていこうと思っていたのに...............。)と思っているうちに、父はさらに続けて言ったのだ。「だから、この機会を逃すともうチャンスはないだろう」と言ったのだ。
それからも父は話を続けた。「彼女とは、離れ離れになる前に一度だけ会ってもいい。ただし、それっきりだ。」と言うので、僕は了承した。そして数日後、僕は城から出て彼女に会うことになったのである.................。
そして、僕はルナと再会したのだが................。
そこには涙を浮かべる彼女がいた。「アダルバート殿下、お久しぶりです。お元気でしたか?」と聞いてくる彼女に僕は答えた。
「ああ、もちろんだよ」と答えたものの、心の中は複雑だった。
(まさか、本当にルナがここにいるなんて……夢みたいだ)と思ったのだ。
彼女との再会に、心躍らせながら会話を楽しんだ後、僕はあることを決心した。
「ルナ、実は君に伝えたいことがあるんだ............。」と言った僕に、彼女は微笑んでから言った。「何でしょうか?」と言う彼女に、思い切って伝えることにしたのだ。
「この国から2人で逃げよう。」
すると、彼女は驚いたような表情を浮かべた後で少し考え込んだ後で言った。
「アダルバート殿下、私にはもう婚約者がいるんです.............。」
彼女のその言葉にショックを受けながらも、僕は諦めずに続けた。「それでも構わない。」と。
すると彼女は少し悩んだ後で答えた。「わかりました...........そこまで言うなら、あなたについていきます」と言った彼女の表情は、悲しげだった。
(まさか、ルナが別の方と結婚することが決まっているなんてな..............)と落ち込んだものの、彼女と二人きりでいられることに密かに喜びを感じていた。
そしてその後、僕たちは駆け落ちの準備を始めたのである..........。
しばらくして準備が整った頃に、ルナは口を開いた。「アダルバート様、本当にありがとうございます」と。
(そうか、ルナは喜んでくれているのかわからないが............)と思っていた僕は、彼女に微笑んだ。
「大丈夫だよ」と言って、彼女の手を取った時のことだった。
突然ドアが開かれたかと思うと、父王が現れたのだ!
(どうして父上が!?)と思っているうちに、父は言った。「やはりこうなったか...........」とため息をつきながら言う彼に、僕は尋ねた。「どういうことですか?」
すると、彼は言った。「実は、君たちの逃亡は初めから仕組まれていたことだったのだよ」と。
(どういうことだ!?)と思っていると、父はさらに続けた。「別の婚約者がいると言ったな?その婚約者というのは、君なんだぞ」
その言葉に僕は唖然としてしまったが父はさらに続けた。「彼女と結婚するために、まさか逃げるなんてな」と。
(そんな馬鹿な...........)と思った僕は、ルナの方を見たのだが、彼女は俯いているだけだった。その様子を見て悟ったのだ。
本当に、今回の件は最初から仕組まれていたことだということに............。
しかし、この時の僕はまだ知らなかったのである。
(父上は、一体何を考えていらっしゃるんだ!?)と、心の中で叫びながらも僕は必死に抵抗しようとしたのだが、父王には敵わなかった。
結局、僕はルナと離れることになってしまったのだ...........。
そんなことがあった、翌日のことだった。城の中で公務に追われていた僕の元に、1通の手紙が届いたのだ!それは、ルナからだった!早速中身を確認したところ、次のような内容だった。
『親愛なるアダルバート様へ。 この度、私ことルナ・サーシャは、婚約解消することが決まりましたので、ご報告致します。』と書かれていた! その手紙を見た瞬間、僕の心は凍りついたような衝撃を受けた...........。
(ということは、彼女は今自由の身なのか?)と不安になりながらも、次の手紙を開けることにしたのだが、そこに書かれていた内容は、さらに僕を絶望させるものだったのである。
その内容は、次のようなものだったのだ!
『私はもう、あなたの婚約者にはなれそうにありません。なのでどうか私のことは忘れて、幸せな生活を送ってください』という内容だったのだ! その手紙を読んで絶望した僕は、すぐさま父王の元へ行き問い詰めた。「父上!どういうことですか!?」と。
すると、父は答えた。「その手紙に書かれてあること通りだ。」
その言葉に悲しみが湧いた僕は、しばらく部屋から出られずに、業務を淡々とこなしていた。
(ルナ、すまない.............)と思いながらも、倒れ伏している僕。
「本当は、ちょっとずつ君のことを知っていきたかったのに」
と呟きながらも、ルナのことばかりを考えていたので、仕事は一向に進まなかった。
その後、僕はルナに会いたくて何度か城を抜け出して彼女を探していたが、一向に見つかる気配がすることはなかった。
もらった手紙を見る度に、僕は悲しくて涙が止まらなかったが、それでも彼女のことを諦めることはできなかったのである。
(必ず、見つけ出して見せる!)と思いながらも、必死に探すことを心に誓ったのだった...........。
そんな日々が続いていた、ある日のことだった。
僕は街で、ルナの元婚約者の男性の噂を耳にしたのである。
その内容によると、その男性は美しい方で、とても優しいらしい。
それを聞いた瞬間、僕は心がズキンと痛んだのを、感じた。
そして不安になりながらも、彼女を探す日々が続いていたある日のこと。
突然、見知らぬ女性から声をかけられたのだ!「こんにちは」と言うその声に、聞き覚えがあったような気がしたのだが、あまり思い出せないまま彼女の話を聞いていたところ、驚くべきことを聞かされたのである。
なんと、その女性は僕に対してこんなことを言ってきた。
「あなた、見るところすごく上流貴族のお方ね。ルナを探しているの?お話するくらいなら、いいわよ。お代は最高級ローストビーフね!」と言う彼女の言葉を聞いて、僕は衝撃を受けてしまった。
(もしかしたら、ルナのことが何かわかるかもしれない..............)と思いながらも、彼女に詳しく話を聞くことにしたのだ。
それからしばらく彼女と話をして、別れた後のことだった。
突然目の前に現れたのは、なんとルナだったのだ...........!彼女は僕を見つけるなり、駆け寄ってきてこう言ったのだ!「アダルバート様、お久しぶりでございます」と言う彼女に、僕は戸惑いながらも尋ねた。「どうしてここに.........?」と言うと、彼女は答えた。
「私は、ずっとあなたのことを探していたんです」
そして、続けて言った。「アダルバート様は、私のことをもう、忘れてしまわれましたか............?」
(どういうことだ?)と思いながらも、僕は尋ねた。「どういうことなんだい?ちょっと混乱していてね」すると、彼女は答えたのだ!
「私はもう、嘘でもアダルバート様の婚約者ではないので、あなたのそばにはいられない...........でも、あなたと楽しく過ごした日々を忘れられなかったのです。」と?
その言葉を聞き、僕は喜んでしまった。
(これでルナと、一緒に居られるのか?)と思いながらも、彼女に手を差し伸べると、彼女はその手を取りながら言った。「私も、あなたのことが好きなんです」と
その言葉を聞いた瞬間、僕は涙が止まらなかった.............。
そんな僕に対して、彼女は優しく微笑んでくれたのだ。
こうして、僕とルナは一緒に過ごすことになったのである。
「アダルバート様!見てください!」
ある日そう言われた僕がみたものは、花嫁だった。
美しい白いウェディングドレスに包まれ、花嫁は幸せそうに笑っている。
「綺麗ですね..........私もいつか、着られるのでしょうか」
と呟く彼女に僕は微笑みかけながら答えた。「もちろんだよ」と。
そして、僕たちは手を繋いだ。
これから先、どんなことがあってもルナだけは守り抜くことを誓うと、彼女は微笑み返してくれたのだった。
その日は、街に出てきていた。
パレードでたくさんの人が集まっており、みんな幸せそうな笑顔を浮かべている。
そんな中で一人、浮かない顔をしている人物がいる。それは、僕の大切な人であるルナ・サーシャだ。彼女の表情からは、悲しみの感情が滲み出ているように、見えたのだ...........。
パレードを観ながら歩いていた僕の隣を彼女が歩いているだけで、僕は幸せを感じていたのだが、そんな時ふと彼女が立ち止まったのだ。
(何かあったのだろうか?)と思いながらも、僕も立ち止まり彼女の方へ振り向くと、彼女は言ったのである。
「私はアダルバート様と、一緒にいたいです」
その言葉にドキッとしながらも、僕は彼女の方を見て答えた。「僕もだよ」と。
すると、彼女は嬉しそうな笑顔を浮かべながら言った。
「本当ですか?」と不安そうにするルナ。
(本当に決まっているよ)と思いながらも、僕は彼女の手をより強く握りしめた。
すると、彼女もぎゅっと握り返してくれた。
しばらくの間手を繋いで歩いていると、不意に彼女が立ち止まった。そして、こちらを向いて言うのだ!
「アダルバート様、私と結婚してくださいますか?」と。
その言葉に思わず固まってしまった僕だったが、すぐに我に返ると笑顔で答えた。「ありがとう、結婚しようか」と言う僕の言葉を聞いて、彼女は安心したかのように、涙を流しながら喜んでくれたのだった。
そんなことがあってから数日後のこと。
(さて、これからどうしようかな............)と考えて歩いていると、突然後ろから声をかけられた。振り返ると、そこにいたのはあの時の見知らぬ女性だった。
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