第18話 まいご二人
「ううっ、ご主人様は変態ですぅ。ああああ、あんなところをペロってするなんて。ううっ」
ずっとおたのしみされてると気絶してしまうので、逃げました。
とにかくご主人様から離れよう、という事で夢中で逃走。
でも、どこをどう走ったのか覚えていない事が問題ですっ。
すぐに道に迷ってしまいました。
隠れやすそうだからって、森の中に入ったのが駄目でしたねっ。
そうこうしている内に、辺りは真っ暗。
日が沈んできて凄く心細いです。
「どうしよう。リアさん、カイネ君、ご主人様~っ!」
周りがよく見えなくなってどこかから獣の唸り声が聞こえてきました。
狼か野犬かが住んでいるのかもしれません。
人間の肉なんて美味しくないですよって、必死に祈ってますけど、効き目あるのかな。
おろおろしていると、ふと子供の泣き声が聞こえてきました。
「えーん、お母さん、おとうさんどこー?」
はっ。
迷子!
「びええええええんん!」
ギャン泣きしてます!
直感で同類だという事が分かりました。
虫取り網らしきものをもった少年が、黄金の蝶の入った籠を足元に置いて、泣いてますよ。
大変です!
事件です!
私は走り寄って、精いっぱい勇気づけようとしますけど。
「大丈夫? 両親とはぐれちゃったの? 実は私も迷子なんだよ」
喋る言葉のチョイスを盛大に間違えました。
「お姉ちゃんも迷子なの?」
「ううっ。そうなの」
私は慌てて軌道修正を試みます。
不安がってる子に不安になるような事、言うの良くない!
「でも大丈夫。お姉ちゃんがきっと町に帰る方法を見つけてあげるからね!」
「えーんえーん。無理だよーっ!」
でっ、ですよね~っ!
大泣きしたくもなりますよね~っ!
自分で言ってて、説得力のなさに嘆いてしまいます。
不幸中の幸いにも、黄金の蝶が光っているので、明かりには困りませんが。
その代わり、色んな虫さんがよってきて、ちょっとうっとおしいかも。
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