第16話 観光名所レトロブルー



 馬車に荷物を積み込んで、ぱからっぱからっと、蹄をならしたお馬さんが運んでくれます。


 かかった時間はおよそ半日ほど。


 電車も飛行機もないこの世界、(ただし、船はあり)では割と近場なようです。


 でもそんな近場でも、初めての移動ばかり。


 異世界でしか見ない生き物とか植物とかも見れました。


「黄金の蝶なんてものがいるんだ。はぁ~すごい」

「チヨはどんな遠くから来たのかしらね。黄金の蝶なんて珍しくもない生き物よ」

「そうなんですかっリアお姉さんっ」

「ええ。よかったら帰りにとって帰る?」

「それは可哀想なので、見ているだけでいいです」

「チヨは、良い子ね。もう少しわがままになっても良いのに」


 途中休憩して、街道の脇でオヤスミしていた時なんかは、角の生えた兎さんをカイネ君が追いかけていました。


「おい、カイネ。仕留めても俺はさばけんぞ」


 ご主人様が注意します。


「うっ、ごめんなさい」


 けも耳なカイネ君は、お耳をぺたん。

 かわいいっていったら怒られるかな。


「まだ生きてるから放ってやれ」

「分かりました」


 兎さんはすたこらさっさと逃げていきます。


 カイネ君は獣人だから、逃げるものを追いかけたくなる習性でもあるのかな。





 そんな風にして到着したのが、旅の目的地は有名な観光名所。


 多くの人が訪れる場所です。


 青い外壁の建物が立ち並ぶその町の名前は、レトロブルー。


 写真映えしそうなとこですねっ。


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