第15話 旅行



 それから一週間後。


 貴族として、あれこれ領民達の事を考えて、お仕事をしていたご主人様。


 働き詰めで、疲れていたのか、急に「旅行に行くぞ」と言い出しました。


 ちょうど洪水が頻発していた河川の工事も終わった時期なので、暇になりそうなタイミングですね。


 東の地方から珍しい工芸品や生活品をとりよせて、流行させた後で、みんな懐が潤っている時期ですしっ。


 誰も文句は言わなさそうですっ。


「計画を立てるか。ああ、お前も参加するから準備しておけよ」

「えっ」

「あとは、リアやカイネもつれていくか」


 けど、なぜ新米の私まで行く事に?


 お世話係としてついていくなら、もっと熟練のメイドさんにたのんだほうがいいのでは?


 それをリアお姉さん達に言えば。


「私達の身辺状況はちょっと特殊だから」

「俺達はカーライル様の傍になるべくいた方がいいって、そういう事なんじゃないのか?」


 よく分かりませんでしたけど。


 それなりの理由があるようでした。


 でも、二人の事は分かってもどうして私まで?


 それを言ったら、二人からは。


「たぶんそれは」

「玩具だな」


 こんな返答。


 ご主人様、私の事なんだと思ってるんですかっ。


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