第4話 お仕事ができません



 肌着に上着に、靴下に、あとは。


 あれこれせわしなくしていると、ご主人様が邪魔してくるのでお仕事ができません。


 ご主人様の名前はカーライル・ディン・クルガート様です。

 ファンタジーな名前です。


 でも私はメイドなので、名前を呼んだら叱られてしまいます。

 だから呼ぶときは「あう。ご主人様、朝ごはん抜きにはしないでください」こうやって、ご主人様呼びです。


 けどご主人様は、にたりと笑って「さあ、どうしてやろうかな」と言いました。


 ひぃっ。


 ――ご主人様が笑ってる!


 とってもご主人様のお顔はイケメンなんですけど、笑うとなぜか背筋が凍ります。


 ご主人様はにこり、ではなくニタリと嗤いながら、「決めた。チヨ。お前には直々に俺がおしおきしてやろう」そう言って私の首根っこをつかみました。「やぁっ、離してっ、離してください」私はいやいや、と首を振り拒否しますが、それで引き下がるご主人様ではありません。


ご主人「なあに遠慮するな、俺からの直々の指導とお仕置きだ。ありがたく思え」

私「ひいいーっ!」


 あうう。


 抵抗は意味をなさず、私はさっさとご主人様の部屋へ引きずられていってしまいました。


 つまり。


 こんな人なんですよねー。


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