第5話 ふーふー
ふう、大変な目に遭いました。
すったもんだの末、予定が詰まっていることが幸いしましたね。
お仕置き回避です。
色々お着替えをした後は、朝食を持ってきてご飯の時間です。
ご主人様は、寝起きが悪いので、部屋を移動するのが嫌いみたいです。
だから朝は寝室で、ご飯を食べてます。
普通だったら、使用人は退室してるんですけど。
ご主人様は普通じゃなかったので。
「チヨ、手が止まってるぞ」
「あうう」
なぜかお口にあーんをさせられてます。
ただいまご主人様は、眠たそうな目をこらして、地方新聞に目を通しています(実況風)。
そうすると食べる手がとまってしまうので、誰かに食事を食べさせてもらわなければなりません。
そこで私の出番です。
小さくきった食べ物を、フォークにさして、スプーンにのせて、ご主人様のお口にあーん。
あううう、恥ずかしいですう~。
ご主人様には羞恥心というものがないのでしょうか。
富める人だから?
人生の勝ち組だから(混乱中)?
しかもご主人様猫舌だから、あたたかいスープの時は私がふーふーしなくちゃいけないんです。
ううっ、なんの拷問ですかっ。
羞恥心系の拷問ですかっ。
「ふーふー。はいどうぞです」
あーん。
ぱくり
「あついもう少し冷ませ」
「あうう、はいぃ」
ご主人様は、我儘貴族です。
もうちょっと自分でできる事、できませんですかねー?
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