一章1 改めての心の約束

登校初日。


舞「えみちゃん!ご飯食べてー」


えみはリビングに行き箸を取る。

食卓に並んでいるのは目玉焼きと味噌汁と漬物。


舞「食べた?よし。準備はしてあるし、完璧だね。待っててね。私も準備するから」


えみは笑顔で頷いた。

しばらくするとチャイムがなった。


舞「こんな時間に誰?」


玄関の扉を開けるとそこには心がいた。


舞「心ちゃん!どうしたの?」


えみ(心ちゃんだ!)

心「えみちゃん迎えに来た」

舞「そうなの?ありがとう。けどえみちゃんは私と一緒に行くから大丈夫だよ!心ちゃんは早く行きな!」


すると心は少し悲しい顔をして下をむいた。

そしてえみの家を去ろうとした時後ろから手を握られた。

振り向くとえみがそこにいた。


舞「えみちゃん、どうしたの?もしかして心ちゃんと一緒に行きたいの?」


えみ頷いた。


舞「でも大丈夫?危なくない?」


えみ(心ちゃんがいれば大丈夫だ。一緒に行きたい)


えみは覚悟を決めたかのような顔をして舞を見た。


舞「心ちゃん大丈夫?」


えみ(心ちゃん。大丈夫だよね?)


心「大丈夫」


即答だった。何の迷いもなかったようだ。


舞「んー。わかった。じゃあ心ちゃんよろしくね」

心「うん」

舞「よし!じゃあ行くなら早く行かないと!」


舞がランドセルを取りに急いで家に入って行く。

するとすぐ帰って来た。


舞「ランドセルがない!えみちゃんどこやったの!?」


えみはランドセルをすでに背負っていた。

そして舞の方にランドセルを見せる。


舞「何、持ってたの?」


えみが頷く。

えみはもう心が迎えに来て心の声が聞こえた時点から何を言われても一緒に行く事を決めていた。


舞「そっか。わかった。よし。行っておいで」


そして心はえみの手を強く握った。


心「行こ」


えみは頷く。


舞「えみちゃん、心ちゃん気をつけてね!」


えみは舞に大きく手をふった。


登校途中、心が言った。


心「えみちゃん、これからは毎日一緒に学校行って、毎日一緒に帰ろうね。僕がえみちゃんを守ってあげる」


えみと心が初めて会った時も心は同じような事を言っていた。

だが心は言った事など覚えていない。

だが確実にその言葉の意思は前より強くなっていた。

そしてえみは前にも心に言われた事を覚えていた。

前にも言ったという事を言いたかったが言うすべがない。

えみは心の顔を見て笑顔で頷いた。

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