序章8 卒園式

入場の時間になった。


園児がスタスタ保護者の前を通る。


舞美「来た来た!えみちゃんどこ!?」

舞「え!早く見つけて!」

舞美「チョット待って!わかんない」

舞「見つけた!え?心ちゃんと手つないでる!」

舞美「え?どこ!?いた!本当だ、チョットまって、めちゃくちゃ可愛いんだけど!」

舞「うんうん!」

舞美「えみちゃーん!!しーん!こっち向いてー!」


大きい声でえみ達を呼んだ。


舞「チョット!大きい声出さない!」

舞美「あ、ごめん」


するとえみと心が舞達に手をふった。


舞美「キャー!!」

舞「だから大きい声出すな!」


舞美は完全に興奮していた。


舞美「見た!?手ふったよ!チョット待って写真!」

舞「チョット!」

舞美「えみちゃん、心、もう1回!」


えみと心はまた手をふった。


舞美「お母さん見た?やばくない!?」

舞「見たから。チョット落ち着いて!」

舞美「あ、ごめん」


そして卒園式はたんたんと進んでいく。


舞美「お母さんまだこれ終わんないの?」

舞「あんた、本当に。もういい、黙って見てろ」


そして無事卒園式は終わった。

園児退場の時の舞美の行動は言うまでもないだろう。


そして保護者も退場し、舞と舞美は外でえみ達を待っていた。

しばらくするとえみと心が外に出てきた。


舞美「えみちゃーん!」


するとえみは走って舞美の元へ走り舞美に抱き付いた。


舞美「可愛かったよ!おめでとう!」


心はそれを遠くで見ていた。


舞美「心!何してんの!おいで!」


心ははっとした。


心(え、僕も?なんだろう?どうしよう・・・行っちゃえ!)


心は舞美の所へ走った。

思い切り走った。

走っている間、心は自然に笑顔になっていた。

舞美の所に着くなり、舞美は心を思い切り抱きしめる。


舞美「心も可愛かったよ!もう私すごいはしゃいじゃったよ!」

舞「ほら、帰るよ」

舞美「待って写真、写真。ほら、えみちゃん、心、並んでー!」


えみは何の恥じらいもなく心に近づく。


心(何だ?恥ずかしい)

舞美「うーん、手つないで!」


えみはとても嬉しそうに心の手を握った。

えみから手を握ったのは初めてだ。


舞美「はい、いくよー!」



それから少し時はたち、えみと心は小学生になった。

入学式は卒園式と同じく舞美が想像以上にはしゃぎ、舞は恥ずかしい思いをしたが無事に終わった。

心とえみは手を繋ぐ事はなかった。

なぜなら、えみはその日ちゃんと前を向き、緊張する仕草も見せなかったからだ。

えみのこころの中で何か決心した事があったのかもしれない。

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