第2話 転校生
「やばい、やばいやばい……。なんであいつらがいるんだ。いや、まて、まだ俺のことがバレたわけでは無いはずだ」
季節外れの二人の転校生に沸き立つ教室で俺は混乱する心中を隠すように机に伏して寝た振りをしていた。
ここ
十人に一人と言われる
そんな学校に突如転校してきた二人はこの界隈ではそこそこ有名であった。
―― 【
白髪赤眼の小柄な少年であり、今もクラスの女子生徒から黄色い声が上がっている。
―― 【
長い黒髪のほんわかとした少女だが、真神に対して声をあげている女子生徒達を不機嫌な顔で見渡していた。
頼むからあいつらを刺激しないでくれ、俺は顔を上げないように気をつけつつ、そう祈っていた。
転校生二人の二つ名である【
もっとも、彼らの場合は裏では知る人ぞ知る別な二つ名、〚ギルドの猟犬〛や〚狂犬〛なんて呼ばれていたりもする。
そんな物騒な二つ名の奴らに近づきたくないのも分かるだろう。
その上、今現在の俺には更に近づきたくない理由がある。
「
しかし、寝た振りでスルーする作戦は失敗したらしい。
「あー、西戸君? 真神だ、今日はよろしく……って会ったことあったかな?」
にこやかに、だが笑っていない紅い目が見透かすようにこちらを見つめている。
「【
探索者育成高校と言っても一年時に探索者として活動している者は少ない。
そんな中、俺はEランクになっているが、真神らは既にCランクという化け物達だ。
探索者ランクはFから始まり、この学校の生徒は二年時にEランクの資格を得る。
Dランク以降で一人前、Cランクはベテランの域であり、高校一年でCランクはありえないレベルである。
「へー、西戸君ってもうギルドに出入りしてるんだー。中々有望株だね」
もう一人の化け物、というには可愛らしい少女が真神の上からひょっこり現れて話しかけてきた。
「あ、いえ、やっとEランクになったばかりのペーペーです。Cランクのお二人にはかないませんよ」
二人揃ってしまった……話を切り上げて退散したいと思うものの逃げられそうにない。
「そういえば、この学校って他にもCランクパーティがいるんだっけ。西戸君知っている?」
「『勇者パーティ』ですかね。一つ上の学年ですけど、ここ一月は他県に出ててまだ帰ってきてない筈です」
「ふ~ん、となると違うかぁ」
何が違うんだ……やっぱり、こいつらあれを調べにきたに違いない……。
背中をじっとりと汗がつたうが、頭はスッキリしてきた。
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