第69話 十五日目(夜) 転移者組の女性にも大人気な『やみつきyummy!』





 side 桜崎まこ




「――――それで2人でお風呂に入って、今ここに来た」

『…………』


 女性陣だけのちょっとだけピンクな内容のお話。

 それはただの好奇心で、シェリルノートさんと大樹くんがどういう流れで……お、大人な行為をする事になったのか気になったから。


 そんな気持ちがあって少しでも教えてくれたらなーってシェリルノートさんに聞いてみたんだけど……。


 ま、まさかこと細かく一から説明される何て思わなかった。うぅ……顔が熱いよ……。


 それに話してる途中からシェリルノートさんの雰囲気がその……ちょっと艶めかしくなった気がして凄いドキドキしちゃった。


 へ、へぇ……だ、大樹くんってそんな感じで攻めてくるんだぁ…………うん、シェリルノートさんですら本番に行く前に気絶しちゃう攻めなんて、耐えられる自信が無いっ!! どうしようっ!?


 チラッと視線だけを動かして見ると、みんなも反応の差はあれど顔を赤くしてほぅ……と吐息を漏らしていた。あ、あれ……みんなも何か艶めかしくなってる? もしかして他の人から見たら私もそう見えてるの!?

 よ、余計に恥ずかしくなってきた……。


 そうして何とも言えぬ悶々とした沈黙が流れる中で声を出したのは、大樹くんの恋人であるリディさん、ミムルルート様、マルティシア様の3人だった。


「……もしかしなくても、これは私達が原因では?」

「あー……確かに最近は時間があれはその……ね?」

「わ、私はその、控えめでしたの「「ダウト!」」……はぃ、嘘吐きましたぁ……」


 真顔のリディさんが憶測を話し、そんなリディさんの話に納得した様に照れながら頷くミムルルート様。

 そして自分は控えめですと主張しようとしていたマルティシア様は、リディさんとミムルルート様によってその嘘を暴かれて、羞恥に耐えきれずその顔を両手で覆って隠してしまっている。


 やっている事は可愛いし、元々が絶世の美女であるから様になってはいるけど…………顔を隠すことになった内容が内容だけに驚いてしまう。

 マ、マルティシア様って……せ、性欲が強いのかな……なんか意外かも?


 それにしても自分達に原因があるって事は……そ、そんなに激しかったのかな? それとも、回数が多かったとか?

 き、気にはなるけど今はシェリルノートさんのお話でお腹いっぱいだし、変に話を振るのはやめてお――。


「あのぉ〜……じ、自分達の所為って思う根拠とかって、あ、あるんでしょうかぁ!?」


 愛衣ちゃぁぁぁぁん!?


 顔を赤くしながらなんで今それを聞くの!?

 ほらぁ! 美夜子ちゃんも他のみんなも「お前マジか」みたいな顔で見てるよ!? 意外とむっつりさんだったの!?


 興奮した様子でリディさん達に聞いている愛衣ちゃんを見て、私は愛衣ちゃんがむっつりスケベであると確信した。

 …………そういうのはギャルっぽい美夜子ちゃんの方がしっくり来そうなのにね?


「ま〜こ〜? このタイミングで不思議そうに私を見るのは何でなのかな〜?」

「ご、ごめんなひゃぃ……」


 どうやら私は無意識のうちに美夜子ちゃんへと顔を向けていたらしい。

 顔を赤くしながら怖い笑みを浮かべた美夜子ちゃんが私の頬を両手で挟むようにしながらそう聞いてきたので、怒られたくない私は素直に謝罪の言葉を口にした。


「ふんっ……次同じ感じで見てきたら、今度はそのモチモチの頬を引っ張るからね?」

「うぅ……わかりまひた……」


 謝った事で直ぐに解放してくれたので、私は両頬に自身の両手を添えて優しくモミモミと解していく。

 ひ、酷い目にあった……今後は気をつけないと。


 そうして私がモミモミと両頬を解していると、愛衣ちゃんの質問にリディさんは詳しく説明を始めた。



 …………。

 ……。



 え、ちょっと待って。

 大樹くんが『絶倫』のスキル持ちってどういう事ですか!?

 ど、どれだけして終わらないって…………意識が天に召されかけたって……私が想像していたよりもハードなプレイ内容で驚愕してしまう。

 そういった経験が今まで無かったにしても、女神であるミムルルート様が意識が飛びかけたって…………わ、私は果たして大樹くんの恋人になれたとして彼を満たす事が出来るのだろうか?


 うん、周りのみんなも驚愕で口を開けてる人が多い様だ。元貴族であったアリシアさんとそのメイドであるノアさん、公爵家の方々と公爵家に仕える使用人の方々なんかはしっかりと口元を隠してはいるけど、大樹くんが『絶倫』スキルを持っている事に驚いている様だ。


 心做しかフレイシア様の目が獲物を狙うような目になっている気がするのが気になるけど…………襲われないようにね、大樹くん?


 そしてその後もリディさん達からの話が大いに盛り上がり、私達は集合場所の少し端の方でかれこれ1時間以上もの時間をお喋りに費やしてしまっていた。


 それに気づいたリディさんがキリのいい所でそれを教えてくれて、私達は待たせていた男性陣の事を思い出してアタフタとし始める。


 しかし直ぐに「男性陣の皆様は既にお店に入ってお食事をしているそうです」とリディさんが教えてくれたので、ホッと安堵の息を吐く。


 本当は軽食のみで済ませる予定だったらしいけど、私達からの音沙汰がなく手持ち無沙汰だったのと、軽くお酒を飲んでいた事もあり、料理にも不満がなかったので男性陣はそのままそのお店で夕食をとるらしい。


 そんなに美味しいお店なのかなと思い、私がリディさんに店名を尋ねてみると……なんと、男性陣が居るお店はあの有名なファミレスチェーン店である『やみつきyummy!』だった!!


 『やみつきyummy!』は良く愛衣ちゃんや美夜子ちゃんと行っていたので知っている。

 確かにあそこの料理は絶品だし、種類も豊富だ。



 リディさんからその店名を聞いて、転移者組である私達が『やみつきyummy!』に向かいましょうと言うまでに、そう時間は掛からなかった。


 待っててね…………『ヤミィ・ヤミィ・ポテト』!!






 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る