第17話 七日目 "リゾート"へようこそ、女神様!
リディが出掛けてから、俺はトレーニング広場へと転移した。
……ちょっとだけ。
ほんのちょびっとだけ魔力を使っちゃおうかなとも考えたけど、リディの悲しむ顔を見たくないと思ったので宣言通りに魔力を使わないトレーニングをする事に。
トレーニング広場はドーム状の構造をしていて、天井に屋根はない。
一階は土で出来た広めのサッカーグランドを中心にシャワールームがあったり、外用の運動道具や木製・鉄製の多種多様な武器が置いてある倉庫があったりと、トレーニングをする為に来た人用のフロアとなっている。
二階は観客席や何故かある実況席、軽食と飲料が売っている売店などがあり、完全にトレーニング広場はスタジアムを参考に造られているのがよく分かる。
あ、勿論だが全フロアにトイレはあるぞ?
「……さて、先ずは体を慣らす意味も込めて流れ作業っと!」
そうして一歩踏み出し、拳を前へと放つ…………ん? なんか、変だな?
ここ数日は魔力の事ばかり考えてたから、運動は軽いジョギングと筋トレだけで終わらせていた。もしかしてその所為か?
「うーん。それにしてはなんか……まずは体の動作を確認した方が良さそうだな」
さっきとは逆で脱力をする。そこから少しづつ体に力を入れていき、ゆっくりと流れる様に体を動かしていく。
太極拳。
戦わぬ事を最上にみた老子思想の形を体現した、最弱最強の拳法とも言われている内家拳の一つだ。
習得するには長い年月が必要で、短期間で鍛え上げる事を前提に考えられた軍隊格闘技とは異なる考えを持つ。
まあ、俺が今やってるのは簡略化された制定拳だけど……。習い事の先生だった爺さんが鬼の様に強かったから、本物の太極拳はよく知っている。あれは簡単に覚えられるものじゃないから無理だ。
それに、俺の場合は他にも色々な技術を覚えてしまっているから、どうしても自己流になってしまう。
……ここにはあの口煩い爺さんも居ないし、とりあえず体の動きを確認出来れば良いから、多少の違いは大目に見て欲しい。爺さんにバレたら拳骨を落とされそうだけどな。
ゆっくりと体を動かしていくことで、些細な体の変化も感じ取れる様になってくる。そうして理解した体の変化。
「……あぁ、これってもしかして」
『ステータス』……やっぱりかぁ……。
【⠀ステータス
名前 大枝大樹
年齢 17
性別 男
レベル 8
体力:270
魔力:5400
職業:『叡智の魔法使い』魔力×10
攻撃力:170
防御力:170
素早さ:170
幸運:100(MAX)
スキル:『言語理解』、『簡易収納』、『魔力操作』、『魔力量増加(倍率ⅹ2)』、『範囲索敵』、『属性魔法(火、水、土、風)』、『時空間魔法』、『完全鑑定』、『魔導書』、『検索』、『状態異常耐性』、『身体装甲』、『格闘術』、『自然回復力上昇』、『絶倫』
オリジナルスキル:『リゾート』
称号:異世界人、巻き込まれの転移者、神の不可抗力、ミムルルートの加護(取得経験値倍加)、地球神の加護、ミムルルートの好意(『ミムルルートの加護』の効果上昇)、鋼の精神】
ステータスを見てなかったから気づかなかったけど、レベルアップしてたのか。
「この世界では、魔物を倒さなくてもレベルが上がるのか?」
最近のゲームで良くあるお使いクエストや納品クエストみたいに、敵対者を倒さなくても経験値が得られるシステムだとしたら……でも、それにしては上がり過ぎじゃないか?
「一体なんで……あっ、もしかして称号が原因か?」
ステータスの下の欄を確認すると、案の定称号の中に取得経験値を増やすものがあった。
あれ、しかも何か変化してる称号が……好意?
……あれかな、友達とかと似たニュアンスなのかな? リディと一線を超えたばかりだからか、ちょっと思考が恋愛思考になりがちな俺がいる。
「……まさかな。相手は女神様な訳だし、恋人なんて恐れ多いよな」
うん、不敬な考えは遠くへ飛ばして今は自分のステータスに集中しないと。
改めて確認してみると、レベルが上がった事で魔力総量も当然ながら増えている。これってまた訓練のやり直しか? 昨日の夜の感じからして大丈夫だと信じたい……。ただ、魔力の事は置いておくとしても、身体能力に関しては検証をしないとダメだな。
特にスキルの『格闘術』とか『身体装甲』とか、新しく増えた近接戦闘スキルを試してみないと…………『絶倫』に関しては無視することにした。うん、スキルが手に入るくらいには壮絶な戦いだったとだけ言っておく。
そして『自然回復力上昇』が鍛錬で得たものなのか、昨日の戦いで得たものなのか分からない……ッ。どっちだ!?
こうしてお昼頃から始めたトレーニングは、スキルの確認などが増えた影響で想定よりも体を動かすことになった。
ある程度納得行くまでトレーニングをした俺は汗と土で汚れた体を洗い流す為にシャワールームへと移動する。汗を流し身綺麗にして新しい服に着替えるとやる事も無くなったので、俺は休憩も兼ねて個人的に気に入っている景色を見にとある場所へと転移する事にした。
♢♢♢
日も傾いて来て、もうすぐ夕焼けになろうとしている空模様。
一応、寒かった時の為にウインドブレーカー手に持ってきたけど……問題なさそうだな。
ここは教会の入口。
荘厳な教会へ入る為の扉を背にして前を向くと、丘の下へと続く土を固めて舗装された一本道とその左右に広がる整えられた芝生の絨毯、そして……少し奥に綺麗な花畑が見える。
何度見ても、この景色には見蕩れてしまうな。
一本道を歩き、途中で右へと道を外れて芝生に寝っ転がる。
あー、芝生が気持ちいい……風が心地良い……。
トレーニングが思っていたよりもハードで疲れたからか、今はちょっと起き上がれる自信がない。
思い通りに動く体が面白くて、更に先を求める自分が居た。習い事で教わった事を振り返り、爺さんがやっていた動きをトレースする様に体を動かす。
「……それでも届かない。あの爺さんほんと何者だ?」
両親には護身術の先生と自分について説明していたが、その正体はあらゆる武術に精通している元暗殺者……らしい。
正確に言えば本当に元暗殺者なのかは分からない。本人が何の気なしに言っていた事だし、その信ぴょう性は皆無だからだ。
でも、爺さんは何処となく不気味な存在ではあった。何故か俺の家の金庫の場所を知ってたし、両親の仕事についてもあらかた調べてあると言っていた。
『……小僧、両親を殺すか?』
なんの突拍子もなくそんな事を言われた俺の身にもなって欲しい。どうやって両親と知り合ったのかは知らないけど、平気で人を殺すかと問うてくる奴は普通じゃない。
暗殺者うんぬんは不明だけど、あの瞬間から爺さんに逆らうのはやめたんだよなぁ。
……何故か偉く気に入られて、ボコボコにされたけど。
『環境も、武術に対する理解力も、若い頃の儂にそっくりじゃな。小僧の将来が楽しみじゃ』なんて言われた時は、"こんなジジイにだけは絶対になりたくない"って思ったもんだ。
「でも、あの強さは本物だった。この世界に来て、それを実感する事が出来た」
だから真似る。
下手くそでも、うろ覚えでも、俺が見た爺さんの全てをトレースする。
何度も、何度も、何度も繰り返し、戦いの極意をこの身に焼き付ける。
「その結果がこのザマなんだけど……ふぁ〜……ん〜、眠い」
失敗して転んだり、地面に体を叩きつけたり、幸い骨折はしなかったけど打ち身は身体中に出来ている。『自然回復力上昇』さんにリディが帰ってくるまでに治して貰わないと。
今は出掛けてるし、治してしまえばきっと大丈夫……の筈だ。
「ふぅ……こんなんで、魔物と戦えるのかね?」
俺は多分、他の転移者達よりも遅いスタートになるだろう。
俺は元の世界に帰るつもりはないし、幸いな事に便利な職業とスキルを手に入れている。目立ちたいとか、誰かの役に立ちたいとか、そんな大層な信念もない。
だからこそ、ここでのんびりしながら未踏破のダンジョンを攻略すればいい。
俺以外の奴らはみんな元の世界に帰りたい筈だから、俺よりも必死になって期限内に高難易度ダンジョンの攻略を目指しているだろう。
そう思ってたんだけどなぁ……。
「……まさか仲間割れを起こしてダンジョンどころではないなんて思わないよなぁ」
ミムルルート様とのやり取りの中で出てきた話なので嘘ではないと思う。うーん、笹川先生と一部女子達の対立ねぇ……要は嫉妬って事だろ? 異世界に来てまで引き摺る事なのかね?
そして男子……お前らはハニトラに引っ掛かり過ぎだ。メイドさんや特使の女なんてモロ籠絡目的に決まってるだろ! いいなぁチクショウめ!! いま俺がもしそんな展開になってみろ、引っ掛からなかったとしてもリディに首根っこ掴まれて寝れない夜になる展開しか待ってないんだぞ!?
……まあ、実際問題急に女が近寄ってきたりしたらちょっと距離をとると思うけど。男子の中にもハニトラには引っ掛からなかった奴も居たらしいしな。その後にあった地位や名誉なんかにはコロッと掛かったらしいけど。
まあ、そんな感じで隣のクラスの転移者達は笹川先生のグループとその他のグループで分かれて行動しているらしい。
笹川先生のグループは真面目に冒険者として活動中で、既に王都からは離れてダンジョンが豊富な領地へと向かった様だ。ちなみに桜崎さんは笹川先生のグループで奮闘中との事。うん、流石は天使!! 無理せず仲間とダンジョン攻略を頑張って欲しい。
その他グループは王都でバカ騒ぎしていたり、ハニトラ仕掛けてきた貴族の家に囲われてたり、他国の貴族になる為に国を出る準備をしていたり……残った女子にいたっては、危ない事はしたくないとか言って既に婚約者の居る貴族の嫡男にちょっかい掛けたりしているそうだ。いや、ロクでもない奴しか居ない……!!
「ミムルルート様が『王都を離れた子達には期待してるんだ〜』って言ってた理由がよく分かる。自分達が頑張らないと元の世界に戻れないって理解してないのかね?」
あくまでも自分達は被害者だと思っているんだろうか?
元々俺たちは地球で死ぬ運命にあった訳で、その運命を覆す為には未踏破のダンジョンを攻略しなければならない。そう説明された筈なんだけどな……俺は巻き込まれただけだけど。
「……はぁ。心配だよなぁ」
隣のクラスは担任・副担任を含めて26人居る。それだけ入れば協力し合ってダンジョン攻略くらい簡単に出来るだろうと思っていた。きっと俺と同じく、強力なオリジナルスキルを手に入れている筈なのだから。
だが、実際にはそうはならなかった。ネチネチとした嫉妬や邪な態度で分裂を引き起こし、片方に至っては訓練すらしていない。楽観視出来ない事態に陥ってしまった。
24人居た筈のチート持ちが今は10人だぞ? 更にそこから直接魔物と戦える奴となると……全員とはいかないだろうな。得られた職業によっては非戦闘員だって居るはずだから。
それに懸念事項だってある。
「人型の魔物かぁ……高校生にはキツイ相手だよな」
ゴブリン、オーク、コボルト、リザードマン、ハーピィ、ラミア。この前調べた魔物のリストを思い出してみても結構いる。
俺が最初に転移させられた森にも居たんだよなぁ……オークが! しかもこのオーク、食えるらしい。解体してしまえば豚肉と何ら変わりない様だ。寧ろ脂が甘くて美味しいらしい。
「ミムルルート様によればまだイノシシとかを倒すだけでも少し抵抗があるみたいだし、やっぱり無理はさせられないか」
それに、俺にも目標が出来てしまった。
リディと結ばれて、その想いを受け入れて、これからも傍にいて欲しいと願った。
だが、リディの作り出した肉体はあくまでもホムンクルスであり、この空間でしか活動出来ない仮初の体。
これからもこっちの世界で生きて行くなら、色んな所を見て回りたいと思っている。
そしてその隣にはリディに居て欲しいとも思っている。
……それに、昨日リディの悲しそうな表情を見ちゃったからな。子供が作れないことを悲しく思っている事を知ってしまった。
ならば、それをどうにかしてあげるのが恋人の務めなんじゃないだろうか?
可能性があるのなら藁にでも縋る。
その藁が今回はダンジョンだったと言うだけだ。
「……ま、だからと言ってダンジョンに潜り続けるつもりはないけどさ。そんな事をしてリディに怒られて、愛想を尽かされたりしたら意味ないし」
予定が崩れただけ。
一年は引きこもるつもりだった予定を全部白紙に戻し、のんびりしつつもダンジョンを目指すコツコツルートに変更しただけだ。
……まあ、思ってたよりも魔力の訓練が上手くいかなくて焦ってたのは事実だけど。基本はのんびり行かせてもらうつもりだ。
ミムルルート様が設けた期日は三年。
とりあえず一年くらいでS級は攻略出来たら御の字かな?
そしてミムルルート様の事を考えれば他の三つの難易度についても攻略してあげたい。まあ、だからリディを子供の作れる体にしてあげて欲しいっていう下心もあるけど。
「うーん、魔法を覚えたらとりあえずは外に出て魔物狩りかな? それまでは地道に、魔力の操作を……上達、させ、ない、と……」
疲れた体で考え事をしていたせいか、視界がぼやけてうつらうつらとして来た。
そうして襲い来る眠気に意識を委ねて、俺は重くなる瞼を閉じる。リディなら帰って来て直ぐに気づくだろう。リディが起こしに来るまで、おやすみなさい……。
♢♢♢
「……に、てる」
「……た」
「……か?」
……なんだ? 周りが急に賑やかになって来た様な……リディか?
あー、どれくらい寝てたんだろう? 心做しか頬に当たる風が肌寒く感じる。
微かに感じていた体の痛みは引いているし、どうやら打ち身は治ったみたいだ。スキルって凄いんだなぁ。
「……やはり、無茶をしたようですね」
……あかん、バレてるわ。
まだ意識がボヤけてるけど、リディのワントーン下がった声が聞こえた。うぅ、寒気が……。
「……?」
全身を襲う寒気に震えていると、ふと頬に温もりを感じた。その温もりはやがて反対側の頬にも感じられるようになり、優しく摩るように上下に移動していく。どうやら、リディが俺の頬を両手で摩っている様だ。震えてたから寒いと思ったのかな?
ふぅ、ちょっと声が低かったから心配したけど、どうやらそこまで怒ってはいないようだ。
天は、いや、女神ミムルルート様は俺を見放さなかったんだ!
これなら、ちょっとくらい驚かせても大丈夫かな?
そう判断した俺は、ちょっとした悪戯のつもりで両頬に触れている手を掴む。
そのまま掴んだ手を引き寄せるようにして引っ張ると、俺の体の上に受け止めるようにしてリディの体を抱き締める。
「へっ? 〜〜っ!?!?」
ん? いま物凄く可愛らしい声が……気のせいかな?
寝惚けてるので気のせいだと判断した俺は、そのまま抱き締めた背中を撫でて、その頭に顔をうずくめ…………なんか、頭の位置が低過ぎやしないか?
昨日セ……げふんげふん……静寂に身を委ね、一緒に眠った時は抱き締めると頭はもう少し上の方にあった気がする。
え、ま、まさかだけど、いま俺が抱き締めてるのって……リディじゃない?
恐る恐る目を開けてみると……俺の腕の中に、小柄な少女の姿があった。
金色の髪は毛先に行けば行くほどに白く、何よりも長い。服装は布一枚で出来た上質な白装束で、緩い着こなしをしている為か見えちゃいけない胸元が…………って見ちゃ駄目だ!! うん、リディよりは小さいけど抱き寄せている事で僅かに柔らかい感触が伝わってくる……っ。
幼い顔立ちではあるものの、どこか神々しい雰囲気を纏っているのでその顔立ちだけで全てを判断するのはは憚られる。
俺を見上げる様にして見つめる瞳は黄金色に輝いていて、宝石みたいで綺麗だ。……あと、顔が上気していてちょっと色気も感じる。
身長よりも長い髪、幼くも神々しい雰囲気…………いつも教会で見ている神像にそっくりだ。
え、嘘だろ……もしかしなくてもあの方なのか!?
「え、えぇっと……ミムルルート様、ですか?」
「う、うん……ミムルルートです。やっと逢えたね、大樹くん……えへへっ」
っ……その笑顔は反則だ。
恥ずかしそうにしつつも、ふにゃりと目尻を下げて笑うミムルルート様。午前中に見てしまった"ミムルルートの好意"って称号を思い出して、変な勘違いをしそうになる。
あぁ……頭を撫でたい。無垢な少女のように笑うミムルルート様に対して庇護欲がかき立てられる。
「すみません。嫌だったら言ってください」
「えっ? ……ふにゃっ!?」
女神様だから不敬だとか、初対面でいきなり失礼だとか、そんな葛藤がありつつも結局我慢出来なくなってその頭を撫でてしまった。
サラサラとした金色の髪をガラスを扱う様にして撫でていく。しばらくそうして頭を撫でていると、ミムルルート様の強ばっていた体から力が抜けていき……やがてその体を俺に預けてくれるようになった。
「……えへへっ。大樹くんが、頭を撫でてくれてるよぉ〜……うれしいなぁ〜」
「……喜んで頂けて何よりです」
「あ、敬語なんて使わなくて良いんだよ? あと、名前も出来たら様付けはやめて欲しいなぁ。大樹くんとはもっと普通に……神様とかそう言うの抜きで接して欲しいなぁって思って……ダメ?」
うっ……上目遣いで頼むのはズルい。今までの人生では女の子と触れ合うことなんてなかったから、まだ女性とのやり取りは慣れそうにない。リディと恋人になったのだって昨日のことだし……。
しかし、良いのだろうか? 相手は女神様で、この世界の創造神様。そんな相手に対して敬語をやめるだなんて…………。
だが、そうして悩んでいる間にもミムルルート様の表情はどんどん曇っていく。あぁ、駄目だ。不敬だろうがなんだろうが、目の前に居るこの子に悲しい表情なんてさせたくない。
それに、どうせならこの子の喜ぶ顔がみたい。そう思った。
「……後で不敬だとか言って、天罰を落としたりしないでくれよ? ミムルルート――いや、"ミムル"」
「……っ!! うんっ! そんなのこと、ぜ〜ったいにしないから!! えへへっ、ありがとう大樹くん! だいすきっ!!」
一瞬だけポカーンとした表情を浮かべていたミムルは、俺の言葉を理解していくにつれてその瞳をキラキラと輝かせて、曇っていた表情を満面の笑みへと変えていく。
そして感極まった様子で俺にお礼を言うと、ミムルの方からぎゅっと俺に抱き着いてきた。
そんなミムルの様子が可愛くて、再び頭を撫でてしまう。頭を撫でられたミムルは更に嬉しそうな顔をして、「えへへっ」と笑いながら俺の胸元へと顔をグリグリ擦り合わせて来た。
最初は本当にびっくりしたけど、いい方向に纏まった様で安心した。
歓迎するよ、ミムル。
ようこそ"リゾート"へ。
でも、なんか忘れてるような気がす――「ま・す・た・ー?」――る……………………あっ。
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