愛したくて

鈴乱

第1話


うん。そうだね。


言い訳なのかもしれないけど、それでもいい。


僕は僕が愛したものを信じる。


僕が好いたものは、好きでいい。



何だって疑おうと思えば疑えるし、疑心暗鬼にもなる。


人ってのはたくさんの顔があるから。


でもま、自分に見せてる顔が、その人が僕に見せたい顔さ。


だったら、それでいい。


よく思われたい、好きでいてほしい。

自分のことはいいから、あいつを何とかしてほしい。

嫌われても、相手のために、厳しく接しなくちゃ。

怖くても、立ち向かう。

怖いから、逃げる。


何だっていいさ。


何だっていいよ。


それが、その人が選んだ道。選んだ、僕との接し方。


それなら、それでいい。


その姿を、まるっと愛すればいいんだろう?


僕らはお互いに、愛する愛されるのバランスがいびつで、ついつい意地張って、ついつい格好つけちゃうけど、その中には不器用な愛情があるんだよ。


愛情じゃないこともある?


あぁ、そうかもね。それでもいいよ。

それもまるっと愛してやるよ。


僕はそうするって決めたんだ。


そうするからこそ、僕なんだ。



誰が僕に何をしようとしても、僕はその相手を愛する。


だって、そもそも……


僕は人を愛して、愛されるために、生まれてきたんだ。


愛したくて、生まれてきたんだよ。


そう、決めて、生まれてきたんだ。


この世界が、面白そうだったから。

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愛したくて 鈴乱 @sorazome

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