第14話
次の日。母に聞いたことを報告するために部室に。なんとなく気がかりのまま。めだかを見た、あの時の先輩の動揺した表情を思い出す。どう接したらいいんだろう、一体。この感じを、どこかで感じたことがある気がする。
教室の中にある地球儀をなんの意味もなく、意味ありげに回す。斜めに傾きながらまわる地球。どうして地球は感謝されなくても重い体を動かし、回り続けられるんだろうか。心臓みたいに。
地球は多くの生き物を乗せて、ぐるぐると動き続ける。どんなに大きなプレッシャーだろう。もし止まってしまったら、数えきれないほどの生き物からクレームが来そうだ。地球の気持ちになって、どきどきしちゃう。心臓も動き続けている。地球も、心臓も、代わりがいなくて、ひとりで動き続けている。
心臓を持つわたしたちは何らかの成長を求められているし、そういう意味では地球のプレッシャーとも「おあいこ」じゃん。あいこ、か。
「先輩。じゃんけんしましょう」
なんで、という顔の先輩を押し切り、
「じゃんけん」
「「ぽん」」
先輩はグーを、わたしはチョキ。おっ、勝った! と先輩は拳を高くかかげる。いびつな形の月。
「あー、負けた」
うさぎ。足元の影を見ると、グーとチョキの影がちょうど重なっている。
「実はさ……、ええと……ペットショップでのこと、覚えてる? 」
「最初に来た時、ひどい顔してたって話ですか? 」
「そう」
「いえ、わたしだってそんなに嫌なこと話すの得意じゃないし、もういいんです。わざわざ掘り起こさないでも。知っての通り、わたしは気の利いたことは言えないですし」
「いや、俺が、自分のために、話したいんだ。明日を克服するためにさ」
明日を克服?先輩はたまによく分からない表現をする。
「ザッキーが一歩踏み出しているのを見て、俺も一歩ずつ、勇気をもって前に進まなくては、って思ったんだ。もし、その前進で傷ついて心臓が二つに割れちゃっても。それは、きっと一時的なもので、これからいつかは、前に進むことを求められるのだから」
「わかりました」
「あのお店を見つけた日は、友人が亡くなった、いや、正しくは死亡したわけじゃないんだけど、それを知った日なんだ」
――突然何を言い出すのだろう。亡くなってないのに亡くなっているって、よく分からない。
「まあ、分からないと思うけど、大きな独り言だと思って聞いてよ」
静かに先輩の次の言葉を待つ。
「その友人っていうのはさ、ええと、なんて言えばいいのかな、うーん。中身の人間が死んじゃった、というか。大人っぽくなった、とかそういうんじゃないんだけど」
人が変わっていくさまを何度も目撃し、助けられなかった。それは、いじめだったり、悪口だったり、「ぶりっこ」といわれたり、「先生にこびてる」とかいろいろで。
くるくるした、くせっけを無理やりストレートにするように、「普通」が量産されていく。「普通」量産工場。本来の良さはなくなり、抜け殻に他の人間が入り込んでいる。確かにその人の顔をしているが、中身の人間は亡くなっているようだった。それは植物人間のように。何度もそんな死を見てきたのだ。「また、助けられなかった」が続く、後悔を繰り返す。それはだんだんと懺悔のような重さに変わっていった。そのとき、めちゃくちゃに歩いて、見つけたのがあの店だったのだった。
「その呪いを解くために、俺はオカルトが好きになったのかもしれない。頼れるものなんてほかになかったから。信用できない人だらけだったから」
わたしは、「普通」量産工場で、ベルトコンベアにうまく乗れなかった、それ以前にはじき出された欠陥品だ。欠けていて、生産ラインで次の段階に行けなかった不良品。
「みんな、仲良くなって、一緒に卒業するはずだったのに、ひどく変わって、最後には学校に来れなくなっちゃうんだ。だから、仲良くなるのはやめにしよう。人との距離を保とうって。ザッキーともこんなに仲良くなっちゃダメなのに。また殺しちゃうから。大事にできないから。勝手に、これまで助けられなかった人とザッキーを重ねて、罪滅ぼしをしようとしていたのかもしれない。ごめんね」と謝られる。身に覚えのない謝罪を否定しようとすると、
「俺、実はきらいなんだよね。」とぽろっと言った。
――その言葉で、これまでの、いろんな「嫌い」が、だだだっ、とよみがえった。
「あいつの、あの態度が嫌いなんだよね。いっつも怖がってるっていうか、おびえてるというか。だって、俺らを違う、得体の知れない生き物みたいに見てるじゃん。俺、無理だわ」
――ああ、その通りだね。ごめんなさい。
「羽崎と一緒な委員会なんだけどさあ、マジでやりにくい。大っ嫌い」
「おい、お前、今廊下通ったの羽崎だったぞ」
――ああ、ごめんなさい、同じ委員会に入ってしまって。選んだのは先生と生徒会の方々なんです。成績がいいだけで選ばれちゃったんです。わたしもあなたが嫌いだったけど、さらに嫌いになりました。
「あいつ、変な本ばっかり読んでるじゃん。ますます心の中が見えないって感じ。いっつも何考えてるんだろうな」
――腹の中見えなくてごめんなさい。変な本と言っている時点で、これ以上何も言いたくないです。
学校内のどこかで聞こえてくる「あいつ」が、わたしは、わたしのことだと分かっている。心の中で反論するだけで、実際には防御も攻撃もできないまま、机を見る、教科書を見る、カバンの中を見る。トイレの個室にこもる。トイレの個室にいると、他の人がまた陰口を言う。
「あのさあ、わたしの班、まじ最悪」
「「あいつ」がいるからでしょ? 」
「そう。いいなー、めっちゃよくない? あんたの班。ちょー仲いいメンツじゃん」
「ほんとはずれくじばっか引いてるよねー」
「それな、運がよくなるようにさわっとこー」
「やめてよ、わたしの運が悪くなるじゃん」
――「あいつ」がわたしとは限らない、そう思いたい。中には、わたしのことじゃないことだってある。そんなこと、わかっている。でもその気持ちは、わたしのことだ、という気持ちが勢いよく、一滴も残さず押し出し、吹き飛ばす。
本音が見えないって、そんなに悪いことなのだろうか。聞き分けのいい子ぶるのって、そんなに悪いことだろうか。傷ついたら、嫌な思いをしたら、結局わたしのせいにするんでしょ?それなら、おどおどしながらも、自分のために生きている方が、よっぽど生きやすい。
陰で笑っている口は醜くゆがんで、ちらと歯が見えているのを想像する。心臓を鈍器でなぐられているようで、恐ろしかった。
毎日続くと、何におびえているのか、それすら分からなくなった。誰にも、相談できなかった。相談したら、「チクった」とか言われて、もっと陰湿で、悪化していきそうな気がしたから。
「いじめ」というには大仰な感じだし、それを認めたくなかった。いっそ、面と向かって水をかけてくれたりしたら、良かったのに。
中学校生活を考えれば高校の生活は穏やかに感じられた。いつだったかもう忘れてしまったが、夕食の後、宿題をしながらテレビを見ていると「寄生虫が入り込むと自分から食べられに行く」と紹介されていた。わたしはこれだ。わたしは寄生虫が入り込んでいて、みんなに攻撃されるように動かされている。
だから、先輩も、そんな風にわたしのこと、嫌いでイライラするんだと思って、
「そうですよね、わたしのことなんてきらいですよねっ」とわざと明るく笑い飛ばそうと努めた。思い上がって、嫌いになってないと思っていたわたしはなんてばかだったんだろう。
「いやいや、自分のことなんだけど」
「? 」
「ザッキー、お前はさ、自分のことを完璧にしようとしすぎ。完璧で、百点を取ることは全然いけないことじゃないけど、もっと自分に優しくしてあげて。完璧って、その先を目指せないから、いいことばっかりじゃないと思うよ、俺は。満足しちゃって、上を目指さなくなっちゃうから。完璧になったザッキーには、俺の好きなザッキーの要素が消えていなくなっちゃいそうで。ザッキーが我慢してる自覚がないまま静かに潰れるんじゃないかって、こわいよ」
「好きなものが壊れていくのが怖いんだ。ザッキーまで壊れてしまったら、もう何も好きになれない気がする」
先輩に、お前、と呼ばれたことにどきり、とした。やわらかく見せている部分が破け、むき出しの言葉が見え隠れしているみたいだ。
わたしは、今自分の存在を肯定されたのかもしれない。別に自分なんていなくてもいい、いない方がましかもしれない、何度そう思っただろう。だから、わたしは何かの賞を取ったとき、テストで満点を取ったとき、その時だけがわたしが肯定できるときだった。誰からでもわかる良さを身に着けたとき、肯定できない自分をほんの少し、ほんとうにほんの少しだけ褒めることができた。自分がこの世界で、人よりも何かができているということ。それがこの世にいてもいい理由だったから。
そういえば、わたしが「できていること」を一番うれしそうにしてくれたのは祖父だった。苦手な祖父が、褒めて、喜んでくれたとき、わたしはどんな顔をすればいいか分からなかった。いつも素直に受け取れなかった。
完璧さ、それがなくたっていい、といわれていることが信じられなかった。
「人間として生きるの、向いてない気がするんですよね、わたし」
「俺もそれ、ちょっとわかる気がする。ペットショップの人はこんなことを言ってたよ。水槽って、小さな地球なんだって。みんな、おんなじに見えるけど、生きている環境が違うんだ。温度とか、塩分濃度とか、水を換えることとか、食べるものとか。生きていくためには適切な環境が必要なんだ。学校みたいに機械的に、自分の近い場所が居場所にさせられるというのが、あんなに種類の違うものが、一緒に生活していくということ、それ自体がちょっと特殊なんだ。例えば、海みたいに種が違うものがいる場所って危険がいっぱいじゃん。学校もそういうものなんだって。」
どんなほめ言葉より、賞状より、テストの満点より、胸が締め付けられた。
「嫌なことからは逃げていいんだよ。大概のことは、逃げたって時間が経ったら、追いかけてこないんだから。俺は、自分が嫌いなんだ。苦しんでいる人に何もしてあげられない。結局、俺は傍観者の立場にいるんじゃないかって思えて。安全な場所で偽善的なことを考えてるだけなんじゃないかって。手を差し伸べたくてもその手を取ってくれないことしかなくて」
傍観者? 先輩が? 苦しんでいる人を見て、自分も苦しんでいる、助けたいといろいろ考えている、それは傍観者なんかじゃない。人をなんとなく遠ざけて、人を傷つけないようにしている時点で、先輩もその被害者で、後遺症を患っているようなものじゃないか。
「んじゃ、わたしも言わせてもらいますけど。先輩は、もっと自分の幸せを願ってくださいよ。先輩が何かに対して悲しんだって、笑ったっていいんです。罪悪感なんて持たなくていいんです。一緒にどん底に堕ちようとすることは必ずしもいいことだと思わないです。相手が地獄みたいな場所から上がれても、自分が上がれなくなる可能性だってあるんです」
――木乃伊取りが木乃伊になる、みたいなもんですよ。
一回、ここまで言って、息を整える。いつも、あんまりしゃべらないから、ちょっとしゃべっただけで呼吸のリズムが崩れた。声も震える。
「その時、相手が助けてくれるとは限らないんです。先輩が堕ちている時にその人が、自分だけ助かったということを責めて、もっと自己嫌悪に陥るかもしれない。先輩は優しいから、相手を責めることなんてできなくて、誰にも苦しみをぶつけられなくなるかもしれない。ちなみにですけど、原因になった人たちは加害者である意識なんてものはないですから、怒りや苦しみをぶつけたって、取り合ってくれないですよ、多分」
人間というものはどこまでも信用ならない。待ち合わせは悪びれもせず遅れてくるし。あれだけ守ると言った約束を平気で破るし、一生友達と言ったあの子は一か月後にはわたしを置いて違うグループで楽しそうにしているし。メッセージはわざわざ未読にして時間稼ぎをして「今やっと見た」という見え見えの嘘をつくし。借りたお金は返さないし、人のものを知らない間に盗む。「何とかする」と言った先生の言葉はなあなあで済ますことだったのか。
そういう、人を傷つけるような言葉を、嘘を、平気で吐く。人を信じることが怖い。口で言うこととやることが乖離しているから。
「でもさ、ほんとにいいのかな。だって、苦しんでる人が目の前にいて、ザッキーは何もせずにいられる? 見殺しにできる? 俺が何もできなかったせいでさぁ、雰囲気変わったりしたら自分を責めずにいられないよ」
「それって、先輩のせいじゃないですよね。先輩じゃない他の人が傷つけて、その人が変わらざるを得なかったというだけで。それは、先輩が悩むことじゃないはずです。きつい言い方をするなら、変わってしまった人をずっと元に戻そうとすることって優しさじゃなくて、結局ただの自己満足なんです。何かをやってやった、という記憶が欲しいだけなんです。先輩まで潰れていきますよ、このままじゃ。それは底なしの泥沼みたいな場所だから。でも、救おうとしたその気持ちはすごく分かるし、その思考っていうのは健康的で間違ってはいないと思います」
先輩は喜んでいた。こんなにうれしいと感じるなんて、自分でも思っていなかった、と。その時の笑顔は、いつもの笑った顔ではなくて、救ってくれてありがとうと言っているみたいだった。
「死んじゃだめですよ。そういう顔する人、だいたいアニメとかで死ぬんですから。」と本気で心配してしまう。
「死なないよ。まだ、電話も見てないのにさ、死ねないっていうか死にきれないよ。そうなったら、ザッキーの前に幽霊のからだで出ちゃうよ」と、にやりとして、優しく笑みを浮かべる。
ああ、こういう顔を見るために、わたしは今まで生きてきたんだろう。こういう顔を見てしまうから、人を不用意に助けようとしてしまうのだ。そして首を突っ込んで、報われなかったときに勝手に落ち込む。
「先輩が自分を責める必要なんて、ないし、その変わってしまった人を元に戻そうなんて考えないでくださいね。それはその人なりの防衛手段なんです。本人がその鎧の重さに気づくまで、その環境に落ち着くまで、わたしたちは多分見守ることしかできないんです。自分で、何かに気づくことも大切なことで、どうにもならないとき、わずかな声を聴けるかどうか、それが大事なんです」
わたしも、鎧を身に着けていて、その重さに気づいていながら、変われないまま、いまだに鎧を外せないままの人間のひとりだ。
だから、わたしの記憶は、美化されずに苦々しくいつまでも残っているものが多かった。下を向いて歩く癖が治らない。名前を呼ばれるのが怖い。悪口をしている人を見ると自分のことを言っているような気がする。もし、同窓会とか開いたら、絶対に行かないだろう。会いたくない。わたしを傷つけた人の名前を聞いただけで苦しくなる。身体が縮こまる。過去から目をそらし続けている。
楽しむことを恐れている。楽しむことって、すごく繊細で、すぐに壊れるから。誰とやるか、負けたらどうなるのか。それだけで単純に楽しいという気持ちからは離れていく。小さい時みたいに、単純に、後先考えずに楽しめたらいいのにな。もうあの頃みたいには楽しめない。死んじゃったんだ。感情、行動の壊死を繰り返して成長しているんだ。
どうやったら自分をよく見せられるか、そればかり考えて生きている。すべてが計算でできた「自然」。ナチュラルメイクと同じだ。シミもほくろも、毛穴も、全部隠してきれいにみせる。その隠し方がうまければいいし、下手であれば悪いだけ。
みんな、わたしを「頭がいい」とかいうけれど、わたしからすればみんなの方がよっぽど頭がいいし、頭がまわると思う。社会で生きるためのうわべが上手で、ひどく自分がバカに思える時がある。
でも本当はバカとか、そんなんじゃない。なんのことはない。わたしは考えるのを放棄したのだ。天秤に「学校生活の人間関係」と「面倒くさいと思う自分の気持ち」を左右に乗せて、気持ちが勝ってしまったのだ。
愛とか、絆とか、協力とか、全部いやで。口笛をふくように、しがらみから解放されて生きていたい。そう、思ったから。
先輩と知り合えて、関われて、良かった。間違いなく、先輩が何かを変えている。
階段を下りながら、踊り場に飾られているよく分からない卒業制作の絵が目に入る。
「これって、木ですよね。これに隠されているメッセージとかわからないんですけど」
いつもなら、そんなこと言わなかっただろう。
「うーん、メッセージがあるかどうかは分からないけど、こういうのは考えるんじゃなくて、感じることを大切にしなきゃ」
「そういうもんなんですか。うーん」
「いや、それが考えてるって言ってるんだって」
「考えないようにしようとしたら、逆に考えちゃいません? 」
「君には、瞑想を毎日することをおすすめする」
「だったら、訊きますけど、先輩この絵のメッセージ、何だと思うんですか? 」
そうだなぁ。あごに手をやって考えている。
「成長。成長だよ」
「ほんとですかそれ。適当言ってません? 」
「別に考え方なんて自由でいいじゃん」
「じゃあ、成長っていった意味、訊いてもいいですか」
「うーん。うまく言えるかわからないんだけどさ、赤ちゃんの時と、四歳の時とは絶対に何かが違って、四歳の時と十歳の時ではできることも多くなっているわけじゃん」
「まあ、そうですね。書ける文字とか、計算とか」
「うん。で、目に見えやすい成長は、小学校のうちに七割くらいやりきってしまうのかもしれないな、って思うんだよ。けど、中学から高校、高校から成人の間っていうのを後から振り返ってみたら、ちゃんと成長してるわけで。褒められるわけでもなく、できることが増えていくんだから、それだけで素晴らしいことなんじゃないかな。と思うわけですよ」
タンポポの花が綿毛になるような、そんな成長じゃなくたって、じっくりと年輪の輪っかを増やして、雨風に強い樹木になれる、それって悪くないんじゃない?種から双葉が出て…というところにみんな注目しがちだけど、その後、同じ体のまま何年も生き続けることってすごいことで。色んな人に、何年、何十年とかけて出会って、愛でてもらえる、くつろぎの場所を提供できるようになる、雨宿りの場所になれる。それって、ひとつの幸せじゃん。
「言いたいことは分かったし、すごく良いこと言ってる気はするんですよ。でも、結局どこまでが絵のメッセージなんですか? それ」
「成長、ということを思い浮かべたところまでかな。結局は思考のきっかけを作る、それが作品、というものなのかも」
わたしも、木の年輪みたいに、いや、もっと少しずつしか成長できないけど。ちゃんと成長を重ねているということを信じていたい。
「もし、死んじゃったら俺と話、してくれる? 」
ふと、さっきまでの会話を持ち出したように、先輩はぽつり、と質問してきた。
「縁起でもないですから、そういうこと言うの、やめてください。……でも、そうなったら、かけます、先輩に。だから、先輩も……」
わたしはその先の言葉を言えなかった。もし、嫌だと言われたら、一生立ち直れない。
「うん」
先輩はそれしか言わなかった。わたしにとってそれは一番過不足ない答え方で、ぴったりきすぎて逆に怖かった。
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