孤独、再考
シキウタヨシ
記
孤独 というとき 一陣の風が
胸の隙間をすり抜ける
保育器にいた頃も ぼくよ
そんなにひとりだったかい
母の中にいてさえひとりで生まれて
どう生きようとひとりで死ぬのだから
孤独はにんげんがかかえて生きる
一生解けない課題のようだ
誤魔化して生けども
それは深夜にやってくる
きいんというしじまの音をつれて
ひっそりと くろく
誰かと連れだっていても
ある瞬間は互いにふたりぼち
おそろしい沈黙が支配したのを
聞いたことがあるだろう
孤独であるということは
自由であるということだ
大空に放たれた 一個の
行く末を知らない風船であるということだ
ただ逆も真なればこそ
自由であることは
孤独だということ
致死量の孤独は
人を死に至らしむが
それでさえ
ヘリウムほどの重さも持たない
だがみな
孤独を背負って
それが重いと息を切らす
気付くことだ
重いのは孤独ではなく
しがらみや未練などのことだと
真に孤独では
ないのだと
/了
孤独、再考 シキウタヨシ @skutys
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます