孤独、再考

シキウタヨシ



孤独 というとき 一陣の風が

胸の隙間をすり抜ける


保育器にいた頃も ぼくよ

そんなにひとりだったかい


母の中にいてさえひとりで生まれて

どう生きようとひとりで死ぬのだから

孤独はにんげんがかかえて生きる

一生解けない課題のようだ


誤魔化して生けども

それは深夜にやってくる

きいんというしじまの音をつれて

ひっそりと くろく


誰かと連れだっていても

ある瞬間は互いにふたりぼち

おそろしい沈黙が支配したのを

聞いたことがあるだろう


孤独であるということは

自由であるということだ

大空に放たれた 一個の

行く末を知らない風船であるということだ

ただ逆も真なればこそ

自由であることは

孤独だということ


致死量の孤独は

人を死に至らしむが

それでさえ

ヘリウムほどの重さも持たない


だがみな

孤独を背負って

それが重いと息を切らす


気付くことだ

重いのは孤独ではなく

しがらみや未練などのことだと


真に孤独では

ないのだと






/了

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孤独、再考 シキウタヨシ @skutys

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