第5話 暗闇を行く憎悪

『進メ、進メ、進メ、進メ』


 或いは歩き、或いは走り、目的地を目指す。


 彼らは臆さない。暗闇がどこまで続いても。


 原動力は義務感か、はたまた俗欲か。もしくはそのどちらかですらないのか。


 だとすれば、何が。そこまで彼らを駆り立てるものとは何なのか。


「ニンゲン、憎イ」


「殺セ」


「滅ボセ」


「跡形モ残サズ」


「消シ去ッテヤル!」


 肥大化し、伝播し、やがて全体へ伝わる憎悪。


 怨嗟は感情の熱に当てられた者たちの狂騒。


 いくら進んでも光が射さないその道は、彼らの心そのものだった。

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