後日談
翌日、俺はバスケ部の練習に戻った。
先日決まらなかったレイアップは5回中4回入り、パス回しも問題なかった。
「桜井、お前どうしたんだ? 今日はやけに乗り気じゃないか。シュートがここまで上手く決まるなら、今度の試合はシューティングガードとして出たほうがいいんじゃないか?」
赤坂に褒められて一瞬だけ俺って天才じゃあないか? と心の中で思いつつも、すぐ冷静になって「いいや、俺はポイントガードのほうが似合っているよ」と答えた。
「自分はアシストのほうが割に合っているし、あの映画の主人公のようになってみたいからさ」
「言うなぁ、お前。俺も見たけどさ、最後の曲が良かったよな」
「ああ。あの曲だな」
そう、あのバスケを題材にした映画は最高に面白かった。
お正月頃だったかな、わざわざ中心部の映画館に出向いてまで見に行った。
元々は父さん世代の漫画だけど、俺達が見てもジーンときた。まぁ、本当ならば誰かと見に行きたかったけど……。
「それはともかく……」
赤坂は向こうで練習をしているチアリーディング部をちらりと見ると、「お前のことを熱心に見ている一年生が居るぞ」と話してくれた。赤坂の指さす方に目を向けると……。
大きなリボンに大胆な衣装、そして誰よりも目立つ背丈と胸。
間違いない、美聡ちゃんだ。
俺は美聡ちゃんを見て手を振ると、練習の休みに入った美聡ちゃんが笑顔を見せた。
美聡ちゃんに励まされた以上は付き合うしかない――そう思って彼女を抱きしめて、本当に良かった。
今日もまだまだ練習しなければならないけれども、美聡ちゃんの笑顔があればまだまだ頑張れそうだ。明日も、明後日も、そして今度の大会も――。
~完~
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