100 その地の名は須佐
白石side
「……芦屋、気ぃつけろ」
「応」
出雲に来てから1時間足らずでいきなり崇徳天皇の本陣に到着。鳥居に頭を下げて潜り、神社の本殿に向かって芦屋がズンズン歩いていく。
背中から見ているだけでも大量の呪力と神力が溢れて、ものすごい圧力を感じる。
黄金色の飾り紐に結ばれた長い髪が、圧力を発する体に沿ってふわりと浮かび立つ。
浄衣の袖口の紐を引っ張って結び、首の後ろに回して固定している。袖が邪魔になるってか……殺る気満々だな。
「月読、芦屋は大丈夫なのか」
「わかんないよ。あんなに怒ってるの初めて見たんだから」
「颯人さんは?」
「はぁ、美しいな……真幸は怒れる時までも花のようだ」
「ダメだこりゃ」
頰を赤く染めた颯人さんが芦屋の後をのんびり追っていく。
まぁ、うん、そうだな。多分手出しする必要はない。俺達じゃ邪魔になるだけだ。
自分自身も霊力を使ってみようとしたがそれを封じられていた。
芦屋の結界がいつの間にか体を覆って、霊力も呪力も無くしてしまったかのようだ。手伝わせる気がねぇって事だな。
「て、敵襲!!敵襲!!!」
切羽詰まった叫び声が響いて、そこいらにいる奴らが慌てて立ち上がるが、すぐにまた地面に転がる。
芦屋は手にした檜扇で振り下ろされる刃をいなし、首を叩いて胸を突いて……あっという間に退けてしまった。
敵方は境内の神聖な場に櫓を建てている。地面に柱を打ち立てて、高く組まれた木々は切り出したばかりの生木の匂いがしていた。
そこから怒声と大量の矢が降ってくる。
月読がそれを防ごうとするが、突然現れた七色の薄い壁が一つ残らずそれを弾いて
芦屋が展開してる結界が、守ってくれているようだ。
しかも自分には何の術も施していないのに一切矢が当たらねぇ。どうやって避けてるんだあれは。
須佐神社は森に囲まれた境内に東末社、西末社、神楽殿、稲荷社、三穂社、天照社を抱えている。
神話の国である出雲地方、神戸川上流に位置した神社だ。
颯人さんがその昔「この国は小さいがそこがいい。土地に自分の名を付ける」と霊跡にした場所だ。
彼の気持ちがこもった場所に無粋なものを作るとはな。
あーー、まずいぞ……多分同じことを考えている。芦屋の呪力量が跳ね上がった。どんだけ抱えてんだよそれ。
飛んでくる矢を片手で掴み、檜扇を和弓に変えて次々に出てくる弓兵を撃っていく。櫓から落ちて起き上がった奴には弓の先で槍のように胸を突き、相手が目を回して失神してる。
心停止を起こすまでの強打かよ……マジか。
「芦屋……」
「死んでない」
いつもとは違う、低く冷たい声で返事が返ってくる。大した効果がなかったとは言え、僅かに潔められてはいる筈だが……冷や汗が出てくる。
ひとしきり矢を打ち返すと櫓が沈黙した。
奥から大量の瘴気と妖怪達がやってくる。
日本の三大怨霊と言われる平将門は芦屋に勾玉を預けたが、残り二柱である崇徳天皇と菅原道真は本当に会いたいだけでこんな事したのか?拗らせヤンデレなのか??それにしてもやり方が不味すぎたな。
禁忌事項でも作って神達に触れ回ってもらわにゃならんぞこれは。
芦屋を怒らせるな、颯人さんに手を出すな、って。
「チッ、面倒だな……」
「「「怖っ」」」
「はぁ、たまらぬ。何と凛々しい姿なのだ……」
颯人さんのキャラ認識を改めなきゃならない。芦屋に対しては全肯定bot並みだ。
イライラしながら芦屋が弓を扇に戻し、それを開き大きく振って全てを薙ぎ払う。
檜扇についた鈴が激しく音を打ち鳴らして呪力を広げ、漆黒の瘴気が霧散する。
その後にはポカーンとした妖怪達が転がっていた。祓ってるのは悪いものだけだな。
先行する芦屋の足が全く止まらない。槍を構えた兵隊を見つけ、もう一度弓に武器が変わる。
「与一さん、一気に行ける?」
『五射までです』
「了解」
神ゴムから那須与一の力を借りて矢を作り、五本ずつつがえては歩く。矢は全て敵兵に命中させて打ち倒していく。
「す、すげーな、無敵じゃねーか……」
「あぁ、一撃必殺が信条だからな。無駄に傷つけぬように振る舞うのは技術が要る。散々鍛錬した結果が出ているだけの事だ」
「「…………」」
天照と月読が沈黙した。
流石に俺も言葉にならん。何なんだあの無双具合は。呪力が奥に行くにつれてどんどん増して、真っ黒だぞ。
歩いていく背中があからさまに怒りを顕して、いつもの柔らかい気配が掻き消えている。
境内に転がっているのは戦争の道具、武器、妖怪、小さな神や道祖神達までいる。
無理くり数を揃えたって事だ。境内を汚され関わりのない神達を利用されて、怒りが頂点に達した芦屋は……最早歩くだけで向かってくる兵達を弾き倒していた。
鬼神のような姿だ。大地に足跡が深く刻まれ、重い呪力を大量に背負う姿に自分の足が震えていた。
くそっ!怖気付いてんじゃねぇ!
自分の足を叩き、奮い立たせて必死で追う。
「……出て来い!崇徳天皇!!」
高い床の上に社がつくられていて、屋根には曲線が描かれて優美な様だ。
いつもなら『可愛い社だな』って言ってるだろう。
そのご本人は眉を吊り上げ、今は怒りの形相で本殿を睨みつけて……祝詞で鍛錬された声を境内に響き渡らせていた。
「押し通るぞ!!」
「ま、まテ!!!ここ、こコちらには魂があるゾ!動くんジャないッ!!」
本殿の入り口から男が白い顔をのぞかせる。戸口から出された手には、ほのかに光る人型の妖精を掴んでいた。
アレが精霊か。色からしてクシナダヒメとその両親ってところだ。
崇徳天皇は半堕ちだな。元々が怨霊だから思考が引っ張られてんのかもしれん。神になっても本質は怨霊のようだ。
「崇徳天皇……事ある毎に八つ当たりして天下泰平を乱す悪霊だったお前は、今や神様として祀られている。
人々に愛され、慈しまれているはずなのにまたメンヘラかましやがって。いつまでも自分だけが辛いって姿勢を変えないなんて……」
低く、地を這うような声。それはしわがれて、怒りを宿し辺りを暗く包み込む。顔を歪ませて嗤う顔が、別人のようだ。
「だから皇位を継げなかったんだ」
「キサマァアアアア!!!」
挑発に乗った崇徳天皇が姿を現した。その瞬間に肘、膝を矢で撃ち抜かれ、精霊達が落下する。
駆け寄った芦屋がそれを受け止めて、そっと抱きしめた。
「あぁ……ごめんな、本当にごめん。怖かっただろ……怪我は?痛いところはないか?」
「まさき」
「へいきだよ」
「いたくない」
抱えた精霊を抱きしめ、こちらに振り向く。涙に濡れて、悲しげに揺れる双眸が鋭い視線で俺たちを貫いてくる。
そんな顔してやってんのか……。
「鬼一さん、崇徳天皇を出雲大社へ。妃菜と飛鳥で神様の魂と妖怪達を診てくれ。次に行く」
ほわほわただよう精霊達が、いつの間にか追いかけて来ていた鈴村の元へ飛んでいった。神継達も呆然としてる。
颯人さんが見たことないんだから、仲間にとってもこんな姿は初めてなんだろうな。
「芦屋さん!お怪我は?」
「ない。伏見さんも来るなら、自分で結界を張ってくれ」
冷たく言い放った芦屋が転移の術をかける。マジでぶっ続けか……。
容赦ない呪力の渦に包まれて、ひどい眩暈が訪れ……固く瞼を閉じた。
━━━━━━
「女子には刃を振えぬのでしょう?お優しいひと」
「お願いよ、道真殿のお話を聞いて」
「父上の奥様なのでしょう?お情けをくださいまし」
足止めを喰らいながら次々にやってくる敵兵を払い除け、芦屋が唸る。
足元にしがみついているのは
彼女達は颯人さんと天照の誓により生まれた女神だ。
「君たちは颯人の子だ。傷つけたくない、手を離してくれ」
「だめ。離したら道真様にその剣を振るうでしょう」
「………頼むよ……」
必死にしがみつく姫達に懇願するも、体ごとひっついて離れない。
そのままの体制で次々とやってくる荒神や妖怪達に刃を振い、矢をつがえて打ち倒すたびに涙をこぼし、その姿には疲労が滲んでいた。
殺すほうが楽なんだ、こういうのは。不殺をやるのは気力も体力も削がれる。
「……兄上」
「あぁ」
「……」
颯人さんが天照と月読を伴って、女神達を摘み上げ、首に手刀を落とす。
縛りを解かれた芦屋が片手に剣、片手に弓を持ち再び奥に歩いて行く。
「ああ、星野も来たか。ちょうどよい。神子たちを頼む」
「はぁ、はぁ……な、何が何やら」
「僕も残る。伏見、直人は兄上、颯人と一緒に行って。真幸くんが心配だ」
「「はい」」
気絶した三姫を預けられた星野さん。
ゼェゼェ言って、滝の汗を流してる。今日は任務があったはずなのに、駆けつけてくれたんだな。
(月読、頼む)
(応。そっちこそ真幸くんをお願いね)
わかってるよ。
呟きで応え、朱塗りの楼門をくぐって静かに歩く芦屋を追う。
さっきまでいた須佐神社とは違い、こちらは朱塗りの社殿で華やかな様相の神社のはずだが……。
須佐神社と同じく戦支度のために建物が壊され、櫓が組まれ、竜宮城とまで評される神社は穢れ落ちていた。
歩く先々でそこかしこに人や神が倒れている。小さな神々、英霊まで居る。
超常のみが切り傷を負い、体から矢を生やしてぴくりとも動かない。
体を動かす神経を、どの傷もが正確に貫き最小限の流血にとどめていた。
芦屋は、魚彦が仮でまとめた「神々の死の概念について」の書記を完璧に暗記してるってことだ。高天原の時間で数十年かけて作った、魚彦の努力の結晶をこんな形で生かすことになるなんて思いもしなかっただろう。
腕がなけりゃそれを生かせるはずもないが、あいつは勤勉だからなぁ……今や神ゴムに師匠を山と抱えて強くならない筈がない。
恐ろしいポテンシャルだ。爪を隠す所じゃねぇよ。
「今度は天照の神子たちか」
小さく呟いた芦屋が、飾り紐を外して髪を解き放つ。
舞い上がった髪が静かに収まり、目前に五柱の神子が現れる。全員髪が白く、目は琥珀色。天照と同じ色の神達だ。
彼らは先ほどの姫たちと同じく、誓によって生まれた。天照の勾玉から生まれたから、記録の上では全員天照の子だとされている。
天照の魂を抱えた精霊は神子達の背後で首輪をつけて杭に繋がれていた。
「吾の息子達は武芸に秀でている」
「厄介だ。早く終わらせねば真幸は荒神に堕ちてしまう」
「それはまずいぞ……」
睨み合う神子と芦屋の間には張り詰めた空気。確かに神子には武芸の心得があるようだ。長い剣を構え、ぶれない切先が陽光を弾いた。
「ここは通さぬ」
「通りたくば――」
口上を述べ切る前に芦屋が剣を薙ぎ、神子達の足首を切りつけて五柱が倒れ込む。本当に容赦がねぇな。
腕が立つ奴には手心を加える事はができない。芦屋が酷いしかめ面をしていた。
「天照、伏見さん、頼む」
「……応」
「はい」
苦い顔の天照と真っ青な顔の伏見さんが神子達に駆け寄る。
神子達は切られたことが理解できてないのか、言葉も発さずに切り落とされた足をぼんやり眺めている。とてもじゃないがまともな光景とは言えないな。
精霊の束縛を解いて剣を血振るいし、芦屋は神の宮へと向かって行く。
夜を司る社には赤い血飛沫が飛び、芦屋の着ている白い浄衣は紅に染まっていた。
静かだ……。風が渡り、海風が頬を撫でて行く。
優しい風に吹かれているのに、それに微笑む芦屋はここにいない。
痛いほどの沈黙の中、玉砂利を踏む足音だけが聞こえる。
渦巻くようにして体を包み込む呪力、それに漂う神力が舞い上がる黒髪に弾かれて……光の粒が夜空の星のように煌めく。
颯人さんが言うようにこの世のものとは思えないほどに美しい。
綺麗なものは怖い。見えるものの純度が高すぎて目が痛む。
深淵の中に立ち、普段からそれに染まった昏い瞳が涙に濡れて……その奥底にはいつまでも尽きない悲しみと憎しみが揺らめいている。
「もウ、たどり着イタのか。」
「
『あぁ』とゆるく微笑み、黒い文官朝服に身を包んで
「口上も聞カズに斬るとは。イヤハヤ、恐れ入ル」
「戯言を聞いてる暇はない」
「私が知っタ真幸殿は、そノヨウニ強引な方だっタロウか?どんな神モ皆優しく諭され、荒神から正さレたと聞くガ」
「俺は最初から汚い命だよ。お前と同じく不遇に見舞われて拗ねていた。
それを救った、大切な大切な相棒の故郷を穢したんだからキレるに決まってるだろ。何もおかしな事はない」
「……」
道真が笏を剣に変え、構えた。
いや、あれは刀か。崇徳天皇も、道真も文武両道だったはずだな。
血飛沫を避ける余裕もなくした芦屋は……いけるのか?
「北野天満宮にはたくさん刀が奉納されてた。武士からも
「まァナ。スサノオの時代とは違い、刀だガ」
「そうだな」
道真に応えた芦屋の脳天に刀の刃が迫る。わずかに顔を動かし、微動だにせずそのまま立ち尽くして……まさか、動けないのか!?
俺が動こうとした瞬間に颯人さんの手に掴まれて、押さえ込まれる。
何でだよ!?もがいても、離してくれやしない。
そうこうしているうちにどさっと……何かが倒れる音がした。
恐る恐る音のした方に視線をやると、石段の上から落ちてきたそのままの姿で道真が地面に転がっている。
振り下ろされたはずの刀が腕ごと切り落とされ、道真がのたうち回って……何が起きたのかわからない。
血飛沫を浴びながら冷たい目で道真を一瞥し、芦屋が神の宮に向かって行く。
自分から滴り落ちる血に気づいて浄化の術を施し、社に上がった。颯人さんがゆっくりとその後を追って、同じく社に入る。
道真を切ったのは、芦屋だ。他にそうできる奴なんかいない……。音すら残さない太刀筋とか、どうなってんだ。頭が痛い。
月読の言う通りあいつが荒御魂に支配されたらこの世は終わりだな。
はぁ、しょーがねぇな……全く。
道真に近づき、刀を蹴り飛ばした。これで安心安全だな。まぁ、肘から先がなくて武器が使えるわけもないが。
「痛い!痛イィ!!!」
「おーおー、そりゃ痛いだろうな。あぁ、綺麗な切り口だ。神様だしくっつくだろ。とりあえず止血してやるか」
自分のネクタイをほどき、泣き叫ぶ道真の手首を掴む。
今後はロープでも持ち歩かなきゃならんな。今日は大変勉強になった。芦屋がキレイた時用に色々見繕っておこう。
暴れた道真が俺の結界に触れると、結界が割れて落ち、七色のかけらが地面に降り注ぐ。
芦屋、大丈夫なのか……?お前の結界が割れるってのは良くない傾向だよな。
応急処置をしてさっさと追いかけたいが、ネクタイを道真に巻きつけようと試みても上手く巻けない。
ちくしょう……震えが止まんねーんだよ。縛られながらそんな目で見るな。やっとこ正気に戻ったメンヘラ道真め。
「……お主、大丈夫か?そんなに震えて」
「うっせぇ。お前のせいだ。芦屋をあんな風にしやがって。マジでびびってんだよ」
「あ、あれは本当に真幸殿なのか!?自分のした事がよくわからぬ……私は荒神になっていたようだ」
「うん、そういうの後でな。お前さん達は普段怒らない芦屋の逆鱗に触れちまった。
相棒にゆかりのある社を汚して、名をつけた土地を穢しちまったからな。
あれはいつもの芦屋じゃねぇんだ。颯人さんでさえ初めて見るブチギレ具合だぞ」
ネクタイをようやく巻きつけしっかり結び、近くに落ちていた枝を差し込んで圧力をかけて捻る。
道真の出血が止まって、転がったままの肘から先がびくりと跳ね、ぴろぴろ指先を動かした。
うん、問題ねぇな。気持ち悪いからそれやめろ。
「そんな、そんなぁ……私も真幸殿のお顔を見て、話をして、触れたかったのだ。
ただ待つだけでは不安になり、スサノオ殿のご家族と話すうちに真幸殿が折々に送られた便りを拝見した。
私も、それが欲しかった……彼の方の優しさが恋しくて仕方なくなってしまっただけだったのに。
なぜこんな事をしてしまったのだろう……ぐすっ」
ほろほろと泣きながら呟く道真はもう荒神ではなくなっている。
あれも神鎮めになるのかよ。
説得の方があいつには似合ってるが、こう言うやり方もあるんだな。
「真幸殿にはもう、会ってはいただけないのだろうか……」
「いや、普通なら説教してくれるはずだ。ただ、あそこまでキレた試しがないからわかんねぇな……精々自分がやった事を省みて反省しておけよ。
そう言うのも、芦屋がいつもの調子に戻ればわかってくれる」
「……そうか……」
複数の砂利を踏む足音が聞こえてくる。咄嗟に身構えて、胸元にある龍笛を取り出した。
……なんで楽器なんだろうな、俺の武器。すげー不安なんだが。
「白石!芦屋さんは!?」
「伏見さんか!よかった。あー、ブチギレ堕ちかけ神様は颯人さんの社に入って行ったぜ」
「……それはもしかして道真公ですか」
「そ。芦屋がサクッとやっちまったけど、これくっつくよな?」
伏見さんが眉を顰めて道真と血飛沫を眺め、鈴村と飛鳥が駆け寄ってくる。
「こんな綺麗に切ってあればすぐくっつくやろ。飛鳥、先に戻ろ。魚彦の手伝いせな」
「えぇ。真幸は大丈夫かしら……」
「颯人さんがいるんだから大丈夫だろ。飛鳥さん、戻ったら芦屋のために風呂でも入れてやれるといいんだが」
「伝えておくわ」
「後は頼むで!」
飛鳥さんと鈴村が桃色の光を残して転移で消えて行く。
さて……芦屋はどうなったかな。
「芦屋さんが……あんな風にするのは初めて見ました」
「とんでもねぇ腕だ。剣や弓の腕だけじゃねぇ。致命傷を避けてるのに動けなくなるなんざ、まさしく神業だぞ」
「鬼一さん。芦屋さんは神様ですよ」
「星野お前……そう言うことじゃないんだよ」
「ブツクサ言ってないで相棒達(仮)を見に行くぞ」
「「「ハイ……」」」
神継四人で階段を登る。
……瘴気の匂いがするな。
(ただいま。真幸くん結構堕ちてるね)
頭の中から声が響く。
月読が戻った事でホッとしてしまった。相棒が居ると心の軸が安定する。
依代ってのはこう言うもんか。
(おかえり月読。そうっぽいな。気配が良くねぇ。天照はどうした?)
(治療手伝ってるよ。息子達も正気に戻ったし、怪我みんなは問題なし)
(そうか、それならよかったな。あとは、顛末を見守るだけだ)
神の宮の扉をそっと開けて、目の前の光景に俺たちは息を呑んだ。
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