第40話 新人課長の憂鬱 その2


「ひどい有様だな…」

「そうだね。そろそろ落ち付いたかな」

 


 問題児三人組は全員役所に置いてあるジャージに着替えて、頭にアイスノンを乗せ、バケツを抱えている。スーツの汚れが『クリーニング屋さんマジでごめん』レベルになってしまった。


 俺も霊力がギリギリだ…。魚彦が戻って来てからずっと支えてくれていた。

何かを感じてる累は、妃菜に抱かれて大人しくしてる。

 本当に助かるよ。聡い子だ。


 


「賭けは俺の勝ちって事でいいな」


「「「はい…」」」


 青を通り越して真っ白な顔の三人がバケツを抱えたまま頷き、涙を滲ませながら顔を上げる。

 ん、良い顔になった。色んな意味で。


 


「弓削君。現在日本は少子化社会、後期高齢者が人口の60%超えてるんだ。俺たちが歳をとって、跡を継ぐ神職や陰陽師が現れるか分からない。

 そうなれば地域の方々と協力して、日本全国の一般人が祠や社や道祖神を守らなきゃならん。今仕組みがないところは作らなければ元の木阿弥だ。

 俺たちの仕事に軽んじて良いものは存在しない。道祖神の件、すぐやり直して」

 

「はい……」

 


「加茂さん。君は付喪神を宿してる。付喪神は攻撃分野では厳しいかもしれないけど、全ての物に命を宿せる稀有な力がある。

 まずは神様とのバディで任務をこなしてから人と組むようにしてくれ。

 最初から最後まで責任持って仕事をやらなければ、正確なアフターフォローができない。

解決時だけじゃなく、やった仕事を全部覚えてフォローして回るんだ。

 一回こっきりで終わる仕事なんてない」

 

「芦屋課長は…覚えてるんですか」


 

「当たり前。俺は月に一度は手紙を送って、2ヶ月に一回は必ず現地に行く。

 赤城山を見ただろ?あそこは綺麗にしたはずなのにまたゴミが捨てられてる。アレは長期間手を入れなければ解決しない。

 山が穢されれば山神も無事では済まないし、山神が荒れれば死人がたくさん出る。

 人の愚かさで神を害して、結果罪のない人が亡くなる。そうならないようアフターフォローは必須だ」

 

「はい…わかり、ました」


 

 

「倉橋君。君は陰陽師の代名詞である一族の分家だろ。仕事の大切さも教わっている筈だ。

 ご実家の因習に悩まされながらも、陰陽師として仕事をしているなら…自分の意思があるだろう。鎮魂を適当にしたのはなぜだ?」


 

 倉橋君はツンツンヘアーがなくなって、髪の毛がふわふわしてる。癖っ毛なんだな。

 

 土御門の分家である倉橋家は、力ある子を産むためにたくさんの一族がいる。名家はみんなそうらしい。

 一族の中で後継争いもあり、兄弟同士血で血を洗う訓練をしてきた。

家庭で普通の幸せが与えられなくて、寂しい幼少期を経ているから加茂さんを放って置けなかったんだろうと思う。

 

 本当は、優しい子のはずなんだよ。


 


「…将門の…仕事を任せられたのが嬉しくて。大祓は間違えませんでしたが、周りの確認を怠りました。

 前日前祝いだと飲みに行って、寝坊して、禊をせずに奏上をおこなってしまいました」


 

「なるほどな…俺たちは陰陽師だけど、神職さんの仕事もする。鹿島神宮の神職さんもお酒は好きだが、次の日には絶対残さない量しか飲まない。

 平将門は今でも怨念が強い神様だ。首塚を蔑ろにした人たちが散々亡くなったの知ってるだろ?戦後の支配者でさえ手を引いたんだ、あそこは」

 

「はい、そう…教わりました」


「ならちゃんとしてくれ。禊こそ基本中の基本だろ。そもそもの話、神様達は目も耳も鼻もいい。この距離で匂うなんて寄り添ってくれる神への冒涜にも等しい。香水はやめて整髪料は無香の物に変えるべきだ」 


「はい」

 


「加茂さんにも言ったけど、二人で組むのはまだ先の話。そもそもそれは彼女の伸び代を頭打ちすることになる。

 仕事の上では常にギリギリのラインで走って、毎日の修練を実戦で実らせるんだ。最初から連れ立っていたら成長なんかできやしない。きっと彼女自身も何か感じてる」


 倉橋君がハッとした顔で加茂さんを見つめる。加茂さんは唇を噛み締め、目を逸らした。



 

「みんな神様に助けてもらっている陰陽師なんだ。俺たちを依代にしてくれた、現世を守る神様を大切にしてあげてほしい。そうじゃなければ仕事の本当の意味がなくなってしまう。

 何のためにこの仕事をしてるんだ?

 俺より何年も前からここにいる君たちがそれを解らない筈がない」


 机に手をついて、こめかみから伝う汗を拭う。

魚彦が目を閉じ、俺に触れる手から熱が迸る。あと、少しだ。


 

 

「俺みたいな素人新人が課長やってる、陰陽師の営業課なんてひっくり返してくれ。

 君たちが本気を出せば沢山の人を助けられる。それだけの資質を持っているなら、心を込めて仕事して欲しい。

 助けがいるならいつでも言っていい。俺は君たちが成長すると思ったから、今日一日を費やした。…わかってくれたか?」


 

 三人が静かに頷き、立ち上がる。

 綺麗なお辞儀をして『申し訳ありません』と声が揃った。


  

「ん、よし。今日はもう戻れ。弓削は道祖神の確認。加茂と倉橋は二人で話し合え」

「「「はい」」」


 鬼一さんが声をかけてくれて、三人がバケツと雑巾をかかえ、会議室から出ていく。一人一人頭を下げて、足音が遠ざかる。


 


「…っはぁ…はぁっ…」

「皆戻れ。魚彦、赤黒で術の増幅を」

「応」



 緊張の糸が切れて、体の力が抜けていく。

汗が滝のように落ちて机を濡らし、必死で掴んでいた手が痺れている事に気づいた。体の震えが止まらない。


 

「魚彦…大丈夫か?ごめんな、ずっと」

「ワシの心配などせずとも良い!」


「真幸、抱えてやる。よくやった」

「…はや…と」


 暉人達の顕現が勝手に解かれ、重力に負けて体が傾ぐ。

 魚彦、ちょっと怒ってる。

 背中から颯人が抱えてくれた。会議室の床に二人で座って、足を伸ばし、颯人の体がくっついてくる。

 

 頭の中で太鼓でも叩かれているようだ。

 脳みそが掻き回されて、頭痛に吐き気、眩暈のバーゲンセール。…最後まで保って良かった、本当に危なかった…。


 

「真幸…真幸…」

「ひな、びっくりした…?ごめんな」

 

「何言うてんの…こんなボロボロになるまでやって!阿呆どもに命かけんといて!もう…もう…うぅー!」


 泣きながら手を掴んでくる妃菜が震える手先を揉みほぐしてくれる。

 累が真似して、反対側の手を取って一生懸命モニモニしてる。

 

 かわいいな…。累も…ごめんな。


 


「鬼一、補助結界を。ヒノカグツチ殿を颯人様の手伝いに回してください」

「わかった」

 

「芦屋さん…あなたが一生懸命尻叩きをしてくれたおかげで、仕事が減りそうです。ありがとうございました。素晴らしかったですよ…」

 

「そう…か。そりゃ、よかったよ…」


 伏見さんが札をおでこにつけて、そこから霊力を補充してくれる。

もう体の中がすっからかんだ。

暉人とふるりを迎えた日のように、目も耳もおかしい。



 

「また神域に足を突っ込んでますね?芦屋さんは研修も禁止です」

「は、は…そればっかりだな…」

 

「少し、眠ってください。このままでは消費するばかりですから。お夕飯はハンバーグでしたね」

「うん…」


 伏見さんが手のひらで瞼を抑えて下ろしてくれて、沈み込むようにして意識が途絶えていく。


 

 累が好きな、チーズ入りのハンバーグで…目玉焼きを乗せてあげたいんだ。

 野菜は細かく切って…わからないように…お肉で隠して…。

 


「かしこまりました。本当に…お疲れ様でした。では」


 いつものセリフが優しく耳に沁みて、真っ暗闇の中に俺は意識を手放した。



 ━━━━━━



 

「…やべえな…」

「ほんまやな、茨城の時より食べてるわ」

「僕は初めて直に見ましたが…心配になりますね」


「魂の価値が上がっているのじゃ、そうなるのは仕方あるまいのう」

 

「ワイより大飯食いになってるやん」

「ふるりはずっとそうだが、真幸はたまにだろォ」

「そうだ。タダメシ食いメ」

 

「ヤト、お口が悪いよ。めっ」

「大将ぉ…そろそろいいんじゃねぇのか?俺も真幸の腹が心配なんだが」

 

「まだ足らぬ。小娘、次の膳は?」


 

「あるけどホンマに大丈夫なん?」

「妃菜、大丈夫よぉ。今九分目だからもう少しねぇ」

「飛鳥が言うなら持ってくるわ」


ほへん、ほへもひふごめん、俺も行く

「ええからあんたは座っとき。みんなはお茶でええな?」


 おう、とみんなが返事を返して妃菜達がキッチンに消えていく。

…飛鳥大神を大きいままで顕現できてるんだな。妃菜も強くなった…。



 

 現時刻20:30。

 役所からちょっと早めに帰って来て、俺のうちでみんな晩御飯を食べたところ。

俺は例の捧げ物のご飯がまだ足りず、もう2時間くらい食べっぱなし。

 

 流石に疲れて来たな。


 

 

「真幸、ほっぺに米がついとる」

「んぐ。魚彦ありがと」

 

「うむ。最近出番が少なくてさびしかったのう…」

 

「今日は散々回復させて疲れたろ?ありがとな…お風呂一緒に入ろうか」

「そうしよう!背中を流しっこするんじゃ!楽しみじゃのう」

 

「ふふ、わかった」


 俺のほっぺから米粒を取ってもぐもぐしてニコニコしてる魚彦。

今日は一日中お世話になりっぱなしだったな。本当に助かったよ。


「はー、食べ疲れた…小休止…」


 

颯人が俺の肩を揉みつつ、ヤトが腰を支えてくれて、膝の上には累が寝てる。

すごい高待遇です、はい。

 

 ダイニングのでかいテーブルにみんながぎっちり詰まって座ってるもんだから、変な笑いが出て来てしまう。

 テーブル、もうちょっと大きいのに買い換えようかなぁ。こう言うの凄くいいなって思うんだ。みんなでご飯食べるれるとか…幸せで仕方ない。


 

 

「何かさぁ、まるで大家族みたいだな」

 

 ぽつり、と呟くと伏見さんが泣きそうな顔になる。俺が伏見家にお邪魔した時泣いたの知ってるもんなぁ。ちょっと恥ずかしい。

 


 

「はい、真幸。うどんと卵とじと麻婆豆腐、サラダ山盛りご飯もりもりやで」

 

「ありがと妃菜!やっぱり妃菜のご飯は美味しいなぁ」


「ん゛っ…せ、せやろな!?京都のご飯が好きなんやな」

 

「それもそうだが、妃菜のご飯が好きなんだ」

「……イイ」

 

「なんかそれ癖になってないか?」


 

 たまにあるんだよな、これ…妃菜は何がイイのかわからんが笑ってるからまぁいいか。

 

 手を合わせて何回目かのいただきますを呟き、うどんを啜る。

あー、美味しい。妃菜のうどんは出汁が強めで塩気が薄め、旨みがもりもりなんだ。

 食べやすいようにうどんを柔らかくしてくれてるからスイスイ入っていく。

おいしい。ありがたい。


 


「さて、では先に鈴村へ全てを話します。皆さんはお待ちください」


 鬼一さんと俺はおお、と思わず声を出す。よかった。妃菜にもようやく全貌が伝わるのか。


「やっぱりな、何か隠してると思たわ」

 

「はい。鈴村は心して聞くように。他言無用、人のいる場では話さない事。ここにいるメンバーと限られた神職のみの情報です」

「はい」


 

 

 妃菜が伏見さんに秘密結社の話を伝えて、飛鳥と同じポーズで顎を摘んで難しい顔して聞いてる…あの二人はホントに仲良しになったな…よかったよかった。


そろそろお腹いっぱいかな…。ちょっと懸念が…うーん。いつ言おう。


 

「まだまなこが戻らぬな」

「颯人、しっ」


「目がおかしいのか?」

「鬼一さん耳がいいな…そうなんだ。前みたいにサーモグラフィーじゃなくてなんかこう…人の周りに色が見える」

 

「色…?霊力か?」

「うーん、それも見えてはいるけど…なんか皆んなが何かを見ると、色が変わるんだ」

「なんだそりゃ?」


 

 

 妃菜と伏見さんは青い色。飛鳥も同じだな。

俺を見てる神様と鬼一さんは赤かピンク。颯人だけが七色のレインボーカラー。俺から目を逸らすとまた色が変わるな…なんなんだこれ。


 

「真幸、我は今何色だ」

「颯人は七色。…あ、ピンクになった」

「これは?」

「紫」

「これは?」

「赤」

「なるほど。感情や意思が色として見えているようだ」

 

「えっ、何それ?又なんか変な能力出て来た?」

「そうだな…あとで封じておこう」

 

「なんで?なんかの役に立ちそうだろ?別にこのままでも…」


 じっと見てくる颯人の色が炎のように真っ赤に染まり、ピンクや紫が混じってくる。なんで耳まで赤くしてんの?



 

「ならぬ。封じる」

「なんだよぉ…」


「なるほど、なるほど…ハァ」

「鬼一、命が惜しければ口を噤むのだ」

「ハイ、俺は何も聞いてない、見てない、わかってません」


 鬼一さんがふすふすため息つきまくってる。何かわかったの?教えてくれてもいいのにさ。颯人と妙に仲良しだな。


 


「さて、鈴村にも全てを伝えました。そちらのご歓談は終わりましたか」

「歓談なのかな。うん、落ち着いたよ。お腹いっぱいだし。ごちそうさまでした」

 

「ハァ…お粗末さんでした。ハァ…」


 妃菜までため息祭りしてるし。

 仕方ないといえばないか。


 

 

「では私から諸々のご報告を。

 秘密結社については管理部、運営幹部が確定、主軸は伏見一族となります。

 神社本庁、各都道府県の神社庁、宮内庁、警察庁、防衛省、政府関連党派、お寺さんの宗教法人等にも手を回しました。

まだまだ一筋縄とはいきませんが、中務所属を除き神社系の派閥は全てまとめ上げています。

 また、国護結界については芦屋さんが建立した社から力をつなぎ、各神社に広める手筈を整えました」

 

「おぉ?そりゃすごいな。俺の出張もお払い箱?」


「いいえ。申し訳ないですが芦屋さん自体が結界の要ですので、ククノチノカミが北海道に繋いだ時と同じく仮の繋ぎにしかなりません。

 出張三昧なのはしばらく続きます」

 

「おふ…しゃーなし。続きどうぞ」



 

「はい。我々エリートチームはすでに秘密結社内でメンバーとして周知されています。正式発表はまだ先になりますが、組織の体系はほとんど整ったという事です」


「私らはなんの仕事になるん?」

 

「今と変わりませんよ。しばらくは芦屋さん、鬼一、鈴村は中核メンバーとして秘密結社、裏公務員を兼任します。

 鈴村の懸念材料だったご親戚の方は敵方から奪取し、伏見家で修行されていますのでご安心ください」

 

「あっ、あー。名前も顔も知らんけど遠い親戚の神社庁の人やな。あれが懸念されてたんか…微妙な気持ちになるわ…」

 

「僕は懸念がチリほどでも、石橋を叩き壊すまで叩きますよ。芦屋さんの危険になるものは全て排したいんです」

 

「それはそうやな。納得しました」


  

「俺の実家にも話が来たって連絡があった。…褒められて悪い気はせんが…面倒だったろう」

 

「人の悪しきは見ましたねぇ。神道形態は歴史が古く組織化してますが、仏教系の反発が強いのでそちらの方が正直面倒です。

 鬼一一族は問題ありませんよ。根本は腐っていません。」

「そうか…」


 

 

「そうなると四国は後回しになる感じかな。あそこに結界張るなら神社じゃなくて四十八ヶ所の霊場に貼るべきでしょ?お寺さんがメインだもんね」

 

「芦屋さんのおっしゃる通り、その予定です。あそこはさまざまな力場が混在していますからね…なかなか難しいです。

 組織については僕があずかりとして全てを差配し、御三方に下ろします。両方の仕事をなるべく同時にこなせるよう、調整しますからご安心を。僕からは以上です」


「差配は助かるけど…伏見さん大丈夫か?省庁まで絡むなら、調整キツくなるだろ」


 お茶を啜った伏見さんが、ふん!と鼻息を荒く落とす。


 

 

「そりゃ大変ですよ。でも…今日の研修で芦屋さんに褒められたので、やる気満々ですから。

 さっさと裏公務員を脱却して黒幕潰して左手団扇で暮らしますよ。今日の芦屋さんと同じく手加減はしません。…本当に、最高の研修でしたね」

 

「…俺も聞いた。ありがとな、真幸」

「へへ、うん…」


 伏見さんと鬼一さんに言われて、ほわほわ胸が暖かくなる。

ちょっと意地張りすぎたかもしれんけど…二人が喜んでくれたなら、やった甲斐があったな。



 

「私は聞いてへんのやけど。何でなん」

 

「……妃菜はいい子だって言っただけだから気にしないで」

 

「なんやのー。真実を見定めちゃうで?」

 

「ダメ。あんまり言いたくないんだ。ごめんな」


 体を使ったなんて言われた事、聞かせたくない。本当にそう思われていたかはわからんけど。頑張ってる妃菜の耳に入れる必要なんかない。


 

 

「ふぅん…まぁええわ。伏見さん終わったんなら私次ええか?」

 

「はい…と言いたいところですが先に片付けをしてしまいましょう。一旦お風呂に入って休憩です」


「はいはい。ほなお皿食洗機突っ込んで、お風呂入ってくるわ」

 

「食器くらい片付けるから、気にしなくていいよ。でもわざわざ家に帰って入るのか?うちの使っていいのに」


 伏見さんと妃菜がニヤリ、と嗤う。


 

 

「私はここの左隣、伏見さんは右隣、鬼一さんは真下がお家やから。毎日皆でご飯たべれるで!」

 

「結局みんな引っ越して来たんかい!」


「俺だけフロアが違うんだ…」

 

「鬼一は下の守り、僕たちは左右の守りです。縁の下の力持ちは鬼一しかできませんからね」

 

「ふ、伏見さん!!本当か!?お、俺はついに伏見さんに認めてもらえた!くっ…」


 鬼一さんは素直すぎる…可愛いけどさ。伏見さんの悪い顔は見なかったことにしよ。


 

 

「これで真幸は盤石に守られるだろう。我は満足だ」

「颯人…今度こそ計画通りか?」

 

「伏見ではないが、我も石橋を壊すのは得意だ」


 嫌な特技を発表するなよ…。警戒して石橋壊したら元も子もないでしょ。もう。


 

  

「はぁ、じゃあ一旦休憩、又後でなー」

「おう」

「「はい」」


 三人が揃って俺の部屋から出ていく。

 両脇からパタンと閉まるドアの音に思わずつぶやいた。


「本当に引っ越してきたのか…」

  



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