第9話 - 二人の将来に幸せがいっぱいありますように
しばらくしてみんなホールに集まった。
大王のそばにはカイスが、階段の下にはシャルと妖精たちが立っていた。
カイスは槍で底を打った。
大王が謹厳に言った。
「シャル!あなたはすべての試験を時間内に無事にパスした! 君は願いを叶える資格がある! 願いを言え!」
「私の願いは。」
シャルは指輪をはめた手を高く上げた。
「この指輪を私にくれた彼といつまでも変わらず愛させてください。」
シャルは手を下ろした。
大王はびっくりしたが、すぐ顔に笑いが広がった。
カイスも嬉しそうな笑みを浮かべた。
大王は椅子から立ち上がり、指揮棒を高く上げた。
「シャル!君の願いを叶えてあげる! 君の願いは叶った!」
大王は再び席に座り、カイスは槍で底を打った。
シャルの目の前がだんだん暗くなり、いつの間にか気を失った。
シャルの部屋。
開かれたバルコニーに朝日がまぶしく入ってきている。
ベッドに横たわっていたシャルはゆっくりと目を開けた。
シャルは立ち上がってあたりを見回した。
「夢だったかな?」
着ている服を見た。
妖精の王国でずっと着ていた服だった。
「パジャマを着ないで寝たんだ。」
時計を見ると朝7時だった。
シャルは手を見た。
大王からもらった指輪がその指にそのまま挟まっていた。
シャルはうれしくて驚き,むちゃくちゃにやっほーと叫んだ。
家族は土曜日なのでまだ寝ている。
シャルは外に出た。
街は誰もいなくて静かだった。
シャルは芝生の上に立ち,さわやかな朝の空気を吸い込んだ。
その時、穏やかでほのかな音楽が聞こえてきた。
パーティーで大王様と踊る時に聞こえたあの音楽だ。
シャルは黙って聞いて振り向いた。
大王が白いシャツにズボン姿で立っていた。
シャルは腰を少し曲げて
「 大王様! 」
とあいさつした。
大王は微笑みながらシャルに近づき、パーティーの時のように音楽に合わせて踊った。
「シャル、これからは私の名前を呼んで。」
「グレーク、そうします。」
シャルは彼の胸に頭をもたげて静かに踊った。
バルコニーにもたれかかったカイスは二人を見下ろしながら微笑んでいた。
彼もシャツにズボン姿で、片手からは光が出た。
その光から音楽が流れているのだ。
カイスは空を見上げて微笑んだ。
「二人の将来に幸せがいっぱいありますように。」
妖精のsarabande Whitestar @whitestar
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