多く、そして様々な。

春色の雪解け。

深夜のテレビ

 深夜。

 入浴中に寝落ちしたり、何もかもめんどくさくなってソファに身を投げたり。

 そんな時、ふと目を覚ますとテレビがついていたりして。

 何でもない、何も知らない画面の中に、つい焦がれてしまったりして。

 名も知らない番組の、名も知らない俳優。

 彼ら彼女らの言葉に、思いがけず救われたりして。

 ある時は笑い、またある時は泣く。

 朝焼けの空を眺めてみたり、沈みかける月に別れを告げてみたり。

 好きでもないアーティストの曲を聴いたり、プレイリストを開いてみたり。

 そんなふうにくだらないことで時間を消費してみると、案外すっきりしたりする。

 くだらないかな、私もそう思う。

 馬鹿だよなって、自分を笑ってみたりする。

 深夜ってよくない。

 だってこんなくだらないことばかり羅列してしまうんだから。

 でも案外そんな時間が大事だったりして、そこで出会った何かこそが運命的なものだったりして。

 徹夜とか、夜鍋とか。

 あるいは寝落ちとか。

 思うほど悪いものじゃないよなって、ぼんやりと考えてみた。

 LEDに照らされながら、彼方の宵闇に思いを馳せる。

 誰かと繋がっていたりしないかな、共感されたりしないかな、なんて。

 また眠らずに夢を見ている。

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多く、そして様々な。 春色の雪解け。 @Haruiro143

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