多分、愛

【サンドラ】


急にゼブラ様が私を発砲してきた。まだ下手な時期で良かった。無差別に殺されるなんてたまったもんじゃない。いや、無差別なんかじゃない、確実に私を襲ってきた。

ゼブラ様の指がもう一度かかる瞬間を見て、首と腰を曲げる。マッハで鳴る弾が左耳をつんざき、それが何気に痛かった。銃が上に向いている間に走り、その勢いで、ゼブラ様の顎を肘で撃ち抜いた。

これ以上触らしたら私に支障が出そう。私はすぐに銃を取り上げ、しまって鍵を掛けた。

ゼブラ様は脳が少し揺れたのか、倒れたまま動かなくなってしまった。首を確認すると、脈が弱りつつも、まだ生きる力を残している。死なないようにゼブラ様を楽な姿勢にさせた。まあ爆発してないなら死んでないか。

ゼブラ様、気絶した顔も美しい…。ゼブラ様の顔を眺めて、少し胸を擦ろうと、手を添えた瞬間、ダグラス様の携帯が鳴った。

仕事の電話なら固定電話から来るはず。怪しみながら電話に耳を傾けたら、そこから聞こえたのはBの声だった。

Bはまだ私のことを覚えていた。私に唯一、仲良くしてこようとした失敗作。適当に返事をしたらすぐに電話を切られてしまった。この速さで電話を切って、相手はダグラス様。おそらく、殺しの依頼を受けるための電話ではない。ここに特質した何かがあるとするならば、目的はおそらく……。

なぜ気づいた。いや、あいつのことだから、しらみ潰しのつもりの勘が一発で当たったという具合だろう。

私は起きた時のために縛ろうとジブラ様の上半身を持ち上げた。すると、また携帯が鳴った。すぐダグラス様の携帯を手にしたが、振動していない。熱が突如として離れた。ゼブラ様が逃げて「B!」と歓喜に満ちた大きな声が部屋に響く。チッ。私は怒りに任せ、自前の銃でゼブラ様の手を撃った。走って、倒れたゼブラ様が手を押さえた瞬間に、そのまま後頭部を蹴り上げる。「ああああああ!!!」そして血のついた携帯を取り、Bに「殺す」とだけ忠告して、携帯を叩きつけて踏み潰した。

「ああ、さっき、俺のこと、好きだ、って」

悶え、苦しみ、呻き声がたまらない。

「ええ、好きですよ。あんな奴に奪われてたまるものですか」

あいつは調査団とグルなはず。負傷したゼブラ様を地上にお連れしたら、他のメイドに何を言われるかわからない。ことが収まるまで、ここに留まらなければ。そして恐らくここに来る刺客と対峙する。準備をしよう。

私は、ゼブラ様の可愛らしい泣き声を聞きながら、あらゆる銃の弾を全て抜き始めた。もし乱射なんかされたら運ゲーになってしまう。

「う、うう、痛い、痛い」

やっぱり気が散る。私は自分の服を破り、あてがおうとしたら、ゼブラ様が痛みに耐えかねて私の手を払い、触らせようしてこない。強引に両手首を右手で待ち、口と片手を使って、耳を抑えるように頭に結んだ。

「これでしばらくは大丈夫ですよ。ことが終わったら、治療してもらいましょう」

「何が始まるの。何が起きているの」

ゼブラ様は心が弱すぎる。だが頷ける。これぞ爆弾人間の器だ。私は少しでも落ち着くようにジブラ様の頭を少し撫でたあと、一つ一つ、弾を地面に散らばした。

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