お昼ごはん
真由の鼻血騒動の後はいつも通り時は進んだ。
真由はいつも通りだったと言っておこう。
そして今はお昼休み。
「牧人ー。ご飯ご飯」
俺は真由に手招きされていた。
ちなみに一緒に食べるとかの約束はしていない。
真由の気分で俺が呼ばれる。
そしてそういう時に限っていつも真由と食べている人が真由に近寄らないため。俺と真由2人の昼食になるという。
「天気良いし。外で食べようか」
「俺何も言ってないけど?」
「決まり決まりー」
そして俺は1人でのんびり食べる予定が。そんなの聞いてももらえず。真由に連れられ。ちなみに俺も真由もお弁当派なのでお昼はちゃんとある。
真由も朝寝坊助でも親が作ってくれているので、忘れない限り。あれ?でもなんか真由飲み物しか持ってなく――いやちゃんと――。
「あー!そうそう牧人。今日ねお昼持ってくるの忘れた」
「……」
持ってきていなかった。
なるほどそれで俺が呼ばれたか――などと思っていると。俺たちは裏庭の空いていた階段へと到着した。
まるでカップルの秘密の場所でのお昼ごはんとか思うかもしれないが。別にである。周りにはちらほら人が居るし。俺たちが2人でも特に何もなしである。そりゃ学年が違えば――だが。わざわざ話しかけてくる人も居ない。
「ってことで、飲み物は私が出すからお弁当半分ちょうだい」
「……いただきます」
「ちょっと!牧人冷たい。酷い。人でなし!ケチー。童貞!」
「めっちゃいうな。って、食事中に何を言い出すんだ」
「事実を述べたまでである」
何故かえっへん。とポーズをとる真由。最後のはマジで余計だろうだが。事実なのであまり言えないというか。こんな場所で言うことではないだろ。これ誰か周りの人に聞こえているのでは?などと俺が思いつつちょっと周りを見ていると。
「――」
「何も言えないでやんのー」
勝手にそんな解釈をされた。
幼馴染の特権として蹴とばしてもいいだろうか?もちろん知らない人が見たら男が女に手を出した――になるだろうが。マジ蹴とばしたい。
「まあ、そんなかわいそうな牧人はおいておいて、いただきます」
「おいこら」
すると。普通に俺の弁当を食べだすいつも通りと言えばいつも通りだが――。
「あっ、飲み物ね。とりあえずここにペットボトルあるから。って、1つしかないから。牧人はキャップに入れて飲んで」
「おかしいだろ!?」
それこそいまさらというべきか。俺と真由別に同じ飲み物飲むとかはいつも通り。よくあることである。
「キャップに居れたらコップ替わりでしょ」
「キャップをコップにするなって、飲み物は用意するって、買ってくるんじゃないのかよ」
「買ってくるとは言ってないし」
「……」
この馬鹿の相手嫌だ。
「キャップでもちゃんと飲めるじゃん」
「チビっとじゃねーか」
「口付けたらみんなに言いふらす。牧人に奪われたーって」
「意味わからんことを言うな」
「あっ、飲み方わからない?こうやってキャップをおいて――」
「わかるわ!」
すると、真由はお弁当を一度置いて、ペットボトルのキャップを開けて置く。そしてゆっくりとキャップに注ぎだす。って、こいつは何をしているのか。
絶対こぼすだろ――と、俺が呆れながら見ていると。
「――よし!ギリギリ一杯!」
「……」
キャップに一杯。表面張力を使った限界を難なく入れた真由――と、思ったら。
「もう一滴――」
馬鹿の幼馴染。何故か追加をはじめ――。
そのあとはご想像通りだ。
「――ああこぼれ――きゃ。こっちに」
結局飲み物こぼすわ。何故か俺にかけるわと、騒ぎに騒いだ昼休みとなるのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます