第17話

《麒麟視点》


 飛び立ってから15分…俺の乗った艦攻は案の定撃墜された。どうやら司令官曰く想定はしていたそうだ。


「あー全てモンスターだらけだ。いやモンスターが銃とか使ってるんだが」


 俺の目の前にはゴブリンが銃や対戦車砲を構えて並んでいた。


・ゴブリンが銃持ってらァww

・笑い事じゃないぞ

・これは…最上層で階段が見つかっていない方が幸運だったね

・階段を血眼になって探していた人達には申し訳ないけど

・そもそもこの時点で普通の探索者が生きるのは難しいだろうよ

・おい、停泊してある軍艦、動いてないか?


 コメント欄が荒れる荒れる。

 ただ俺は最後のコメントに目が止まり停泊してある軍艦に目を向ける。


「いやー面倒だな…確かにあれ主砲も副砲も…いや全砲門こっち向いてないか?あ、ちなみに南雲司令官から軍艦が1隻だけモンスターによって稼働しているって言ってたよな。てことはあれは…アリゾナかな」


 俺がそう言った瞬間モンスターたちの持つ武器が火を吹いた。俺は反射的に剣に魔力を纏わせて弾き返す。


・ふぁ?

・弾き返したぁ?

・【国連アカ】各国の軍をここで訓練させればスタンピードも余裕で対抗出来る…?

・ふぁ!!国連の人も見とるw

・Sランク探索者なんだから見るだろ

・軍を訓練させるのか…死人出るぞ


「いやー結構減らせたようで何より…あ、国連の人…後で聞いときましょうか?ダンジョン攻略した後に」


・【国連アカ】お願い出来ますか?

・誰に聞くんだよ

・確かに

・南雲司令官じゃない?

・それにしても殿…全ての攻撃弾き返したけどまだ残ってるぞ


 俺はコメント欄を横目で見ながら口角をあげた。

 そうなのだ敵はまだ最低でも5000匹…アリゾナの船内で操作しているのも合わせたら5500匹いる。


「じゃあ…殲滅始めるとすっか」


 そういって俺は駆け出した。ゴブリンらは怯えることなく銃をぶっぱなしている。俺は自分とドローンカメラに当たりそうな銃弾だけ弾き返したり斬ったりしながら距離を詰める。


・やべえ…人間じゃねえぞこれ

・昨日ステータスを見せてくれたじゃねえか

・勝ったな…風呂入ってくる


 距離を詰めた俺はゴブリン達の前で急停止し一言。


「ここまで来たんだ…銃なんて捨ててかかってきな」


 俺のその言葉にゴブリンらは俺に銃を投げながら突撃してくる。それを俺は炎を纏わせた剣で一閃。

ビュゴオオオオ!!

 斬撃となって飛んで行った炎はゴブリン共を焼き尽くした。


「これで外にいるゴブリン共は殲滅できたな…あとはアリゾナの中なんだけど…よし沈めるか」


 俺はそういってかろうじて残っていた対戦車砲に圧縮した魔力の塊を装填して放った。

 塊はアリゾナに着弾する直前に5つほどに別れて海面付近の装甲に穴を開けた。

 間髪入れずに弾薬庫の辺りを目標にして塊を放つ。その塊は着弾した瞬間に火花を散らしそれが砲弾に引火。大爆発を起こしたアリゾナは沈没していくがそこは真珠湾。浅すぎるあまりに艦橋だけ海面上に残った。

 俺はそんな艦橋にゴブリンが持ってたありったけの手榴弾や火炎瓶を投擲。中で爆発を起こし一部だが吹き飛んだ。


「これで殲滅完了だな…それじゃあ赤城に戻るか…」


・何今の…

・魔力の塊だけでアリゾナを撃沈したぞ

・戻るって言っても撃墜されてるからどうやって戻るの?

・確かに


「あ、そうか…しょうがない。なんでかは知らないけどここに零戦があるからそれ乗って戻るか」


 俺はそう言って駐機してあった零戦に乗り込んで赤城に戻るのであった。

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