第16話

《麒麟視点》


・先の大戦を体験できるって何?

・意味わからな過ぎて頭がパンクする

・同じく

・ということはどういうことだ?


 そういうコメントが目立つ。俺も正直わからないが百聞は一見に如かずということで階段を下りると木の板が敷いてあるところに出た。


「ここは…もしや」


 そう思い後ろを振り返るとよくある軍艦の艦橋に黒板。黒板にはこう書かれてあった。

『真珠湾攻撃を成功させ米国の基地を破壊せよ』


「どういうことだ?」


・殿が飛行機で真珠湾基地を徹底的に破壊すればいいんじゃない?

・誰か歴史研究家はいないのか‼

・殿、誰か降りてきますぜ


 コメント欄が荒れる。

 俺はそんなコメントを見ながら茫然と考えていると後ろから声をかけられた。


「君にたのみたいことがあるのだがいいかね」


 声のしたほうを見るとそこには軍服に身を包んだ男性が立っていた。


「はい、何でしょう。というかまず自己紹介を、俺は宇喜多麒麟と申すものです。あなたは?というかここはどこなのでしょう」


「私は今は沖縄ダンジョン第二階層で探索者を待っているもの。南雲忠一だよ。そしてここは第一航空艦隊、航空母艦赤城の甲板だ」


・ふぁ‼まじかよ

・南雲忠一といえば有名な人じゃないか‼

・空母赤城だって?


 俺は驚いていた。目の前にいる南雲忠一と名乗った男性は自身が死んでいることを自覚しここがダンジョンの中であることも分かっている。


「司令長官殿でしたか。それで頼みたいことって」


 俺はそう聞くと南雲長官は俺の後方を指さした。

 振り向くとそこには一機の飛行機。プロペラが回っていてすでに飛び立つ準備ができているようだ。


「君はこのダンジョンを最後まで攻略するのだろう?なら教えてあげるよ。このダンジョンはかつて私たちが戦っていた大東亜戦争の戦いを体験してもらうんだ。もちろん敵はアメリカ兵に扮した魔物だが。そして攻略していくにはそれぞれの指示されたことをクリアすればいい。君はあの九七艦攻に乗って真珠湾基地を破壊してもらう。操縦に関しては気にしなくてもいい。君の思った通りに動くはずだ」


・うわーめっちゃ面白そうだ。

・殿、頑張ってくだせぇ


 俺は頷いて艦攻に乗った。コックピットはご丁寧に細かく作られているが俺が動かすのは操縦桿だけのようだ。

 手信号に合わせて俺は空母から飛び立った。

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