第11話
《麒麟視点》
「なんで先生たちも出てきてるんですか」
俺は外にいるメンバーをみてそういった。しかし先生やクラスメイト達の視線はシェスカ姉さんに向いていた。
「えーっとそちらの女性が被害者なのよね。大丈夫でしたか」
先生がそう声をかけるがシェスカ姉さんは笑っている。その笑みに支部長とお偉いさんは顔を少し引きつらせていた。
それはそうだろう。目の前にはアメリカにいたはずの人がいるんだから。
「えぇ楽しかったですよ。あのドラゴンは」
「ドラゴン…もしやこいつが呼び寄せたのは…昨日のクイーンドラゴンか?」
支部長がつぶやいた言葉に俺は静かにうなづく。ドラゴンという言葉にクラスメイト達はざわついていたが先生がそれを鎮める。
「あー、従兄弟の麒麟がいつもお世話になっています。アメリカから移住してきました宇喜多シェスカと申します。ちなみに探索者ランクはSです」
その自己紹介に犯人が顔を青ざめた。理由など知りたくもないが。
俺はSランク探索者と名乗ったシェスカ姉さんがクラスメイト達に質問攻めにされてるのを横目にお偉いさんと支部長に目を向けた。
「あのーこいつの刑罰って何になります?それによってやり方変えないといけないんで」
「麒麟さん、彼は氷漬けの末に一刀両断という刑罰です。では早速執り行いましょう。あ、氷につける前に多少痛めつけてくださいね」
お偉いさんがそう言っていまだにざわついている人たちを鎮める。そして罪人を前に連行して膝をつかせた。
「これより刑の執行を開始する。
話を振られた俺は模造剣を取り出しながら宣言する。
「これより内容を言い渡す‼道楽悪天には氷漬けにした後一刀の末に逝ってもらう。さて、氷漬けにする前に…少し痛めつけさせてもらう‼」
俺はそういいながら奴の体に剣を5回ほどうち込んだ、というより5か所で肉を少し抉り取った。そして奴が叫ぶ前に結界を作り出し水を入れ足元から凍らせていく。
奴はもう気絶していたがお構いなしに凍らせていきついに全体が凍った。
俺はそれを確認すると魔力で剣を作り斜めに一閃…。すると氷とともに奴の体がずれ崩れた。
「これで刑の執行を完了する」
俺はそういって剣を消滅させた。
「1分も経たないって…思ってたより早かったね」
支部長が少し驚きながら声をかけてきた。
「いつもその言葉言ってません?あ、その氷1時間したら消滅するんで早く持って行った方がいいですよ」
「確かに言っているね…。で、シェスカさんが日本に移住することは聞かされてないんだけど?」
呆れ顔をする支部長に俺は苦笑いしか出来ない。何より俺自身もさっき聞いたばかりなのだ。
そうして少し話した後に授業が再開され何事もなく終わるのだった。
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