私の選択
西式ロア
私の選択
何かを選ぶとき、私はいつも「死」を考える。
これは、私が18の時からだ。
初めて考えたのは、大学受験の前日だった。
その時になって私はようやく気が付いたのだ。
10年も経てば祖父母は死に、50年も経てば両親が死に、100年も経てば自身も死ぬということに。
中学の3年と高校の3年とでは、圧倒的に後者は短かった。
私はこわくなった。すぐそこに死がいる気がして。
その夜は眠れなかった。
その時から私は、後悔の残る選択をしてきた自身を恥じるようになった。そして何か選ばなければならぬとき、私は死を考えるようにした。すぐそこにいる死を。
バイトを辞めたとき。告白をすることに怯えたとき。就職をしたとき。結婚をしたとき。会社を辞めたときも。
彼は勇気のない私に答えをくれた。人生の道しるべとなった。
だから、何かを選ぶとき、私はいつも死を考える。
私の頭いっぱいに死を考える。いや、もうそれしか考えられなくなっていた。
風が心地よい。
私は、自身にまた選択を迫る。ビルの屋上で。
私の選択 西式ロア @nisisiki_roa
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