金問題が解決した

 スケルトンジックと俺の魔法がぶつかり合う。その隙に二人が別方向から攻める。しかし周りのスケルトンが一斉にこちらに向き矢を構えて一斉に発射するしてくる。


「《シールド》」


《ファイア》の魔法を中止し前に飛び込んで姿勢を低くし《フレア》を避ける。避けた魔法はそのまま後ろのスケルトンに当たる。防御魔法シールドをiの背中に展開する。カタネは即座に刀を構え、足に力を入れる。


「流派流翼りゅうよく 空飛 流来ながらい!」

 

 高く跳び上がったカタネは空を切り薙ぎ払う。風の流れが変わり一瞬だけ強く吹かれた風が一部の矢の狙いを外し、iとカタネに当たることが無くなる。そのままiとシールドの間に着地して自身の身を守る。


 iはそのまま突っ込んで距離を詰める。スケルトンジックはiに標的を変えて《フレア》を放つ。しかし彼女は突っ込んで右手を前にして防ぐ。そのまま杖を掴んで握り潰してその手で殴って頭蓋骨を粉々にした。


「………え?」


 ゴリ押し………まさかの脳筋。魔法ごと全て拳一つで壊しやがった。それができたならさっきの爆弾作る意味あったか? 多分全部i一人で片付けられたぞ? ま、まあ初めてだし? わからないことの方が多いから仕方ないね。

 高貴な人に見えて実はお転婆お嬢様? 見ていたカタネも目を丸くしていた。できる奴はできるが数が多いわけじゃない。


 リーダースケルトンジックを失ったスケルトン達が一斉に散らばりだす。知能の低い又は無い魔物はリーダー格を倒すと本能的にパニックになりその場から逃げ出す。ある程度逃げると何事も無かったかのように元の生活に戻る。つまりその間は追撃チャンス。とは言ってもこいつ等は討伐依頼に入ってないし別に良いかな。自分たちの帰り道にいるやつだけでいいや。全方向に散らばってるのに三人で倒せっていうのも危険だし。


 依頼は無事終わったので依頼主に報告したら案の定文句を言ってきた。やれ「墓が傷ついた」やれ「依頼した時にはまだスケルトンは少なかった」やれ「修理費としてむしろ金よこせ」…………


「i、今すぐメレダに行ってガチ泣きするフリしながら今回の件広めてきてくれ。iの見た目やその高価な恰好ならどこかの貴族だと間違えて街長がすぐに飛んできてくれるよ」


「ぜひとも満額支払わせていただきます!」


 墓石の修理費との相殺で追加報酬口止め料は勘弁した。サブ報酬の語りの羽は当然カタネに渡す。

 墓場はアンデット族が出やすくなるからお祓いや結界を張る義務があるのだがやってなかったのを誤魔化すために今回のことをやったと推測できる。こんな状況じゃ俺が何も言わなくても遠くとは言え依頼を出した時点でギルドからメレダ側に話は言ってるだろうし、結局罰金等支払う羽目になるだろう。ざまあないね。偽装依頼、駄目! 絶対!


 帰路につくために馬車に乗る。


「《フレア》を受けたのに焦げ一つ無い無傷なんてどれだけ肉体強度が高いんだ? 」


「iはあんどろいど? て言って体は人工物みたいなんだ」


「へー、ゴーレムみたい」


「ゴーレムも頑丈だよな、iの素材も凄く頑丈そうなものかも」


「主にミスリル超合金です」


「「……………ミスリル?」」


「はい。すごく希少な金属です」


「……この話は外ではやめよう」


「わかりました」


「そう、だね」


 ミスリル? 今ミスリルって言った? あの超希少で貴族ですらなかなか手に入れられないぐらいのレア物。世界一の硬さと魔力伝導率を誇るあの? 超合金? 合金って金属を混ぜるあれだよね? あれ、すごくなるやつ。ミスリルを? 使った? 合金? = す ご く つ よ い


「………体力テストを受けてみればすぐCに上がれると思うよ。入団テストしてから10日以内なら半額でできるから」


「わかりました。報酬を受け取って服を買ったらすぐに」


 ミスリルの話を完全に切って次の予定を決める。カタネは呆気に取られた顔から暫く戻らなかったが服を買うと言う所で何かを思いついたらしく表情はもとに戻りiに提案をする。


「今着てる服に愛着が無ければ売るのはどうだ? それ、凄く高価そうだし、ある程度纏ったお金になるんじゃない?」


「このドレスはここの価値ではわかりませんが私の故郷では200万はします」


「200……価値がわからない。そうだな、参考に一般の店にあるシャツはいくら?」


「安くて500ぐらいですね」


「数字的にはこっちとあまり価値は変わらないみたいだね……200万」


「200万かぁ………」


「欲しいもの色々と買えちゃうよ200万」


「新しい刀がほしいよ200万」


「服以外にも耳飾り、靴下、靴、下着、これ全部合わせたらいくらだろ」


「あばばばばばば」


「売りましょう」


 絶対に手が出せない値段だらけ。しかも即決で売る!? 記憶喪失? とはいえそんな高価な服を簡単に手放せるなんて、でも確かに売れれば一気に金は解決できる。それを元手にミスリルで出来ている体を利用して相性の良い高価な武器があれば一気に割の良いランクのクエストが受けられる。全員がソロBになればAランククエストにも同行できる。


「と、取り敢えず売るのは用事が終わってからにしよう」


「そうですね。名家の人達に合うのに適している格好でもありますから」


「……頭が痛くなってきた。iの情報量が凄い。今考えるべき事じゃないし、寝よう。この話はもっとゆっくりしてる時にしたい」


 俺はそう言って馬車の中で昼寝する。カタネは暫く眼が金になってバグ挙動を興していた。




 










 

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る