冒険者ギルド入団試験
「身分証を手に入れるにはギルドカードを発行するのが一番楽だね」
「ですかあの方法ではあまりにもザルです。簡単に偽装できます」
「
王都エクスバータ、その中央区にある冒険者ギルド【
朝にも一度来たがその時はすぐに
「やはり私の格好は目立ちますね。お金が入り次第服を購入します」
「格好と言うか、髪の毛と言うか、顔と言うか、全て」
「では帽子も追加します。マスクもしましょう」
「それで隠せるとは思えないんだけど」
「そうですか」
冒険者は骸骨を被るようなクレイジーな格好の人もいるしお目立ち集団見たいな所でもあるが美しさと言う点で彼女は頭一つ飛び出して目立っている。服装も見ないものだからどこから来たのか、どう声をかけようか、皆考えているのだろう。
iは受付嬢に話しかける。受付嬢のマリアは見惚れて呆けていたが声をかけられていつもの接客スマイルになる。流石。
「冒険者になりたいのですが」
「わかりました。冒険者になるには試験を受けないといけないのですが大丈夫でしょうか?」
「私には魔力がありませんので体術だけでお願いします」
「魔力が、ですか」
iは魔法の無い国にいたみたいだし本人も魔力が無くて当然だろう。だけどそれは結構まずいな。体術だけの訓練となると合格ラインは相当高くなる。魔法が使えない分補えるほどの力が必要になる。
マリアさんも不安を抱いている様子だ。俺も不安だ。そもそも魔物とか、魔法とか、そういう類の存在を架空ではなく実在として初めて知ったばかり。しかもあったこと無い。そんな環境で育った彼女が戦えるかどうか……………
「その、少し言いづらいのですが、ドレスですけど」
「この服しかないので妥協します」
「そ、そうですか」
他にも色々と確認とかしているがiの変わらない表情と即答が相まって苦笑いしている。確認が終わると試験会場に向かう。パーティを組むうえで実力を知っておくのは必然的。その為ギルドの試験場や組手場は観覧可能(申請すれば不可にできる)彼女自身は別に構わないと言った感じだが流石にスカートはまずいと思い不可にした。(連れ扱いの俺は見れる)
試験会場には教官が一人いる。今回は体術のみと言うことで体術に特化した教官だと言う。
「いいねえ! こんな美人が腕っぷしの脳筋とは! がははははははは!!」
筋肉マッチョな教官が陽気に笑う。iは筋肉があるようには見えないがこの人からすれば腕っぷし=脳筋なのだろう。
「さぁて! どの武器を使う?! 何でもあるぞ! 全部木製だけどな!」
ずらぁと並ぶ武器。チャクラムとか言うマニアックな物まであるが全て殺傷力の無い木製だ。ブーメランとか誰か使うんだ? 一人しか知らないぞ?
iは一通り見ると棍棒と剣の2つ取る。
え? 随分と変な組み合わせだ。どう戦うのか想像ができない。
「ほう! それがお前の武器か! 珍しい組み合わせだな! こりゃ楽しみだ! 良し! 私が構えたら合図だ! 」
マッチョな教官は剣を持って定位置につく。
「それじゃあ!! ………………いくぞ」
一瞬にして真剣な顔になる。構え、始まる。
iが一直線に突っ込み左手にもった剣を振るう。だがあっさりと剣で受け止められた。
直後に棍棒も振り下ろし自身の剣を破壊した。
「な?!」
そのまま一歩下がると飛び散った破片の一部を打ち足元目掛けて棍棒を回転させながら投げる。
「武器を2つとも?!」
軽く跳んで棍棒をかわす。iは早々に武器を無くした?
その直後、教官の喉元に剣の先が止まる。
「………………………お前今どうやって」
何が起きた? どうして武器を無くした筈のiが折れた剣先を持っている? いつ回収を?
「剣先を私の手元に弾くように棍棒を投げました」
「なんだその常識外れな戦い方は。なるほど、自身の武器破壊で俺の混乱を誘ったな」
「そうです」
教官はしてやられたなとiを評価する。
「合格だ。冒険者は最初Eランクからだが、頑張れよ! ガハハハは!」
教官はまた陽気に笑った。
「ギルドカードを手に入れました」
自身の武器破壊。武器を無くす。無いはずの武器を持つ。全て混乱を誘った戦い方。あんな戦い方は見たことが無い。
後で聞いてみたがどうやらエネルギー消費、身体への負荷を抑えるためだと言う。武器は全部使えるらしい。えぇ。
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